第26話 説明
学院合同合宿……
そういえばそんなのあったなー。
学院合同合宿とは、のちにある、"大魔法大会"への練習試合みたいなものだ。
大魔法大会とは、16の魔法学院同士で競い合い、どの学院が1番レベルが高いのかを決める大会である。
いくつかの競技があり、総合して一番順位の高い学院が優勝である。
この大会は王国内ではいちばん注目が集まる大会で、優秀な成績を残した学校には数多くの生徒が集まるようになっている。
さらにこの大会で活躍した生徒には、賞金が出る他、高い名声を得られる。
将来賢者になるような人物は、だいたいこの大会で最優秀生徒に輝いた人物だ。
ちなみにアルバレスは、ここ数年、毎年最下位。
大会参加学院の中から外そうかと言う声も出ているくらいだ。
この合宿はアルバレスをいれて3つ学院で行い、大魔法大会でやる事を事前に体験しておくみたいな趣旨の合宿だったはずだ。
「えーと、今回アルバレス魔法学院と一緒に合宿をすることになったのは、ハルレーン魔法学院と……それからミルドレス魔法学院です」
な、なに?
ミルドレス?
「一週間後に開始して4泊5日で終わります。えー、何か事情で行けないという子は、今いってくださいねー」
ミローネがそういった。
ミルドレスと合宿を? ミルドレスとは結構距離が離れている。たいがい近いところ同士で合宿は行われていたはずだ。正直予想していなかった。ミルドレスと合宿を行うということは……
ミナと会えるのか? もう二度と会えないと思っていたが。
いやいや、仮に会うことになったとしても、俺にはアリスがいる。
ミナのことはもう忘れたはずだ。
……いや、でも友達だったのは事実だし、会って少し話くらいはしたいかもしれない……
偶然会ったとき、無視するわけにもいかないしな。
もし会った時は以前のようにただの友達として振舞おう……もし告白されたらきっぱりと断ろう。
まあ、ミナが俺のこと別に好きでもなんでもないかもしれず、ただ俺の勘違いかもしれないけど。
そうだったらちょっと恥ずかしいね。
「いないみたいなので、説明は終わりにして座学の授業をはじめまーす」
俺がそう考え終えたところで、座学がはじまった。
○
「ルド」
座学が終わった瞬間、アリスが話しかけてきた。
「合同合宿楽しみですわね」
「そうだねー」
「そういえば、ルドはミルドレスをやめてから、ここにきたんですわよね。ルドはミルドレスに知り合いとかいますの?」
「え? う、うん、いるけど」
少し焦って答えてしまう。
そんな俺に様子を見ていたアリスは、表情を少し険しくさせて
「……ちなみにその知り合いは、男? 女?」
と聞いてきた。
「え? そ、それはその」
「女ですわね?」
「い、いやそうだけど……なんでわかるの」
「女の勘ですわ。先ほど、合同合宿の話が出た時、なにやら考え込んでいたようなので、ルドがミルドレス出身だと思い出し、察しましたわ」
女の勘怖い……
「ひ、ひとつ聞きますけど……その女はただの知り合いですわよね……向こうに残してきた恋人だったりしませんわよね」
「そ、それはないから! ただの友達! 俺の恋人はアリスだけだ」
「ほんとうですか?」
「ほんとうだ。信じてくれ。俺が好きなのはアリスだけだ」
真剣な表情でアリスを見つめながらそういった。
すると、アリスは顔を赤らめ目を逸らして「……信じますわ」と言った。
少し焦ったけど、アリスはよく俺を見てるんだなーと嬉しくもあった。
とりあえず、アリスを誘うのは合宿が終わってからにするか。
その後、一週間経過。
合同合宿の日がやってきた。
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