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第19話 ハロルド戦

「せっかくギャラリーがいるのに、一瞬で終わらせるのもなんだから、しばらく私は攻撃魔法は使わない。防御魔法だけを使おう。君が魔法を使った瞬間から、決闘を開始するとしよう」

「余裕ですね」

「余裕さ。それから、しばらく一歩も動かないでおこう。下手くそでも魔法を当てられるようにな」


 予想以上になめてきているな。

 これは楽勝で倒せるかもしれない。


「勝敗は、どちらかが気を失うか、参ったと言うまでだ。決闘で殺傷はしてはならんという事になっているので、そこは安心したまえ」


 さて、何の魔法を使うか。

 殺すのは駄目でも、俺は回復魔法も使えるので、大怪我をさせても治す事は可能ではあるが。


 いくら相手が傲慢でムカつくからと言って、大怪我まではさせるのは流石に抵抗があるが、手を抜くわけにもいかないな。


 防御魔法は使うと言ったから、半端な魔法では駄目だな。


 よし、あれで行くか。


 その前に《フィジカルアップ》を使っておこう。

 それと、《マジカルアップ》も使っておこう。


 支援魔法は側から見たら、使っているのか使ってないのか、わかりにくいからな。

 無詠唱で使っても大丈夫だろう。


 俺は支援魔法を《フィジカルアップ》と《マジカルアップ》を無詠唱で使用。


 その後、俺は無詠唱で魔法を発動させ、カモフラージュの為の呪文を詠唱する。


「《大地よ、巨人の腕となり……》」

「……何!? この呪文は!」


 俺の呪文の詠唱を見て、ハロルドは急いで防御魔法の詠唱を始める。


「《敵を打ち砕け》!」


 呪文を唱え終えた瞬間。

 俺の目の前に岩で作られた、巨大な腕が作成される。

 土属性の上級攻撃魔法、《ギガントアーム》だ。

 ギガントと呼ばれる巨人の魔物の腕を象っている。


 巨大な腕は一直線でハロルドめがけて、飛んでいく。

 ハロルドは防御魔法、《シールド》使用し、目の前に魔法の盾を作成するが、《ギガントアーム》は魔法の盾を粉砕。

 その後、ハロルドにも攻撃が当たり、ハロルドは吹き飛ばされた。


 おおー! と観客から歓声が上がる。


「何だ今の魔法!?」「上級魔法じゃねーか!?」 「1年生だろあいつ!?」


 などと観客が騒ぎ始める。


 今のは、最強の魔法ではないが、ある程度威力はあったはずだ。

 これで勝負が決まれば楽ではあるが。


「ぐっ……貴様……」


 起き上がったみたいだ。


 ハロルドは体全体が土で汚れており、唇を切ったのか血が出てたりしてはいるが、そこまで大きな怪我を負っているようには見えない。

 だいぶ魔法の盾で威力を殺したらしい。

 やはり中々強い魔法使いらしいな。


「なぜ貴様のような、黒髪の学院生が……しかも平民がその魔法を使える……! 上級魔法ではないか……」

「何故でしょうね。それよりも動いちゃっていますけど、いいんですか?」

「っち……」


 ハロルドが忌々しげに、舌打ちをした。


「……なるほどな。決闘を挑んだのは自信があったから……くくく……分かった。これからは手加減無しだ。小僧、このハロルド・ル・ベリルフォーランに屈辱を与えた事…………後悔させてやる!」


 大声でそう叫び、魔法を素早く詠唱し始めた。

 早い上に正確だ。


 使った魔法は、先ほど俺が使った魔法と同じ、《ギガントアーム》

 自分にも使えるということを示したいのか。


 直線で来る拳。早いが避けれないスピードではない。

 わざわざ魔法で防ぐ必要もないので、俺は横に飛んで回避する。


「何っ!?」


 ハロルドは俺が避けられたのを驚いている。


 俺は魔法を使う。

 《マジックソード》という、魔力の剣を作り出す魔法だ。


 俺がカモフラージュの呪文を唱えると

 白く光る剣が作成される。

 俺はその剣を右手で掴む。


 このまま、一気にハロルドの喉に剣をつきつけて、参ったと言わせてやれば俺の勝ちだ。


 俺は全力で走り距離をつめる。


「ふん。上級魔法が使える上に身体能力も高いのか。黒髪のくせに気に入らんな。だが」


 ハロルドも俺と同じく《マジックソード》の呪文を唱える。


「それが自分だけだと思ったら、勘違いだ」


 ハロルドはそう言うと、素早い反応を見せ、俺の剣を自身が作り出した剣で受け止めた。


 これは予想外……! 魔法使いだが近接戦闘も出来るのか!


「ハリルフォーラン家の当主である私は、何事にも完璧でなくてはいかん。魔法だけだと思ったら大間違いだ」


 巧みな剣術を駆使して攻撃してくる。

 身体能力だけなら、魔法で強化している俺の方が上だが、剣術なら相手のほうがだいぶ上だ。


 俺は接近戦は不利と見て、一旦距離を取る。


 すると、俺の動きを読んでいたかのように、ハロルドは素早く詠唱を開始する。


「《灼熱の溶岩よ、敵を焼き尽くせ》!」


 上級の合体魔法、《ラヴァ・ストライク》の呪文だ。

 合体魔法とは、異なる属性を掛け合わせて使う魔法だ。

 使うのには、それなりに難しいテクニックが必要。


 《ラヴァ・ストライク》は火と土属性の合体魔法。

 大きな溶岩を飛ばして攻撃する魔法だ。


 一直線で向かってきた溶岩を、何とか避ける。

 っち。接近戦で決めるつもりだったが、少し計算が狂ったな。


 とはいえ、二度ハロルドが放った魔法を見て、どのくらいの威力で魔法を使えるかが分かった。


 この程度なら本気で戦わなくても勝てる。


 あの魔法を使えばそれでいい。


 現代には無い魔法なので、なるべ使いたくは無かったが仕方ないな。


「ふん、避けたか。ここで貴様に絶望的な情報を教えてやろう。私は今の魔法を5連射できる。無尽蔵な魔力量があってこそできる事だ。果たして全て避けきれるかな?」


 5連射ね。

 凄いけど、正直どうでもいい。


「安心したまえ、食らっても死にはしないさ。私は回復魔法も使えるからな。死にはしないが、何らかの障害が残る可能性はあるがな」


 ハロルドはそう言いながら、呪文を高速で唱え、《ラヴァストライク》を4発、立て続けに放った。


 俺はハロルドの放った溶岩を避ける事はせず、ある魔法を発動。カモフラージュとして、その魔法の呪文を唱えた。


 溶岩が俺の元に一直線に向かってくる。


「ルド!」


 アリスの叫び声が聞こえた。

 そして、溶岩は、俺に命中……する事なく、


 俺の目の前に作られた白い壁に当たると、そのまま跳ね返って、ハロルドめがけて飛んで行った。





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