転生前の準備時間 1
「西谷 和さん、貴方の人生は本日を持ちまして終了致しました、お疲れ様でした」
───ぱーどぅん?
目の前の美少女に唐突にそんな事を告げられ、高校二年の学生、西谷 和は心の中でそう言った。
「西谷 和さん、今から魂の記憶処理を行いますので、こちらへどう────」
「いや、いやいやいや。ちょっと待って貰えませんか?」
俺はマイペースに自分の後ろに回り、なんか変な光を放つ円みたいは物にずいずいと押しやる美少女に待ったをかける。
すると美少女はきょとんとした顔で
「…何故ですか?」
「いや何故ですかじゃなくてちょっと状況の説明をお願いしたいんですが──ってまた押さないでください!」
俺はまたぐいぐいと押し始める美少女に懇願しつつ、今の状況を整理しようと頭を回転させていた。
「えっと、さっき貴女、俺に死んだっていいましたよね!?死んだってどーいう事ですか?」
「死んだは死んだんですよ。貴方、友達と一緒に遊んでて「死んだら異世界行けんじゃね?笑」っていう話をしてて、陸橋の階段を踏み外して落ちて死にました。さぁほら円の中に入ってください。」
「あぁ~…思い出した。確かに俺は階段から落ちて────ってまた円に押さないでください!お願いです!……あ、あと聞きたいんですが」
俺が涙ながらにそう言うと、美少女は手を止めて「なんですか?」と聞いてくる。
「えっと、貴女って俺を異世界に送ったりする事って出来るんですか?」
「なんだ、そんな事ですか。勿論できますよ。私は死と生を司る神ですから。では円の中に入りましょう」
「いやいや!今の質問した時点で俺の真意悟ってくれません!?どうせあの円の中に入ったら記憶を消してもっかい地球にポイすんだろ!?」
「おぉ、理解が早くて助かります。さすがは学校生活を無下にしてラノベ読み漁ってただけありますね」
「いや、無下にしたとか言わないでくれます?一応友達とか居ましたし自分結構学校生活満喫してましたしあと押すのをちょっとやめて貰えたら助かりますね」
この神(?)の扱いになれてきた俺は押すのに逆らうべく体の向きを神の向きに変えて俺は元いた場所に戻ろうと逆に押し始める。
すると肩を持った拍子に神は頬をぽっと赤くすると、ぽつりと呟いた。
「いやんえっち」
「いやんえっちじゃないですよ。ほら、1度元の場所に戻って話をしましょう?ほらほら戻りますよ、戻りますからほら足に力を込めないですくださいお願いです円に入ってしまいます」
「俺は止まんねぇからよ…」
「いやなに鉄血のオ⚪フェ⚪ズの団長のセリフ呟いているんですかほらホントに円に入るからやめてください神様ぁぁああぁあ!?」
「のー」
「のー、じゃないです!?あぉぁ、ホントに辞めてください神様お願いです────ッ!?」
この小競り合いは20分続いた。
読んでくれてありがとうございます。
投稿は不定期なのでよろしくお願いします。