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仕事場

私は走り終わると仕事部屋に入った。仕事部屋にはたくさんのマスクが置いてある。いろいろな顔の、すでに亡くなった偉人のものもあれば、この世に存在しない顔まである。どれも整っていて、きれいなものばかりだ。そして、このマスクは私の叔母が作ったものだ。もちろん私も作ることができるが、まだ、未熟者で叔母のように完成度の高いものは作れない。叔母と私は顔の輪郭がとても似ていて、叔母が自分用に作ったマスクがぴったりはまる。しかし、容易にこのマスクをつけてはいけない。このマスクはただのマスクではないからだ。このマスクは時代すらも超えてしまう魔法のマスクなのだ。悪用しようとすればどんな悪事も思い浮かぶ。しかし、このマスクが人にばれることはない。絶対にばれてはいけないのは知っているし、もし、認知されるのだとしたらこれはたちまち悪用され、私はどこかの牢獄にでも入らないといけないことになるかもしれない。なぜここまでばれない自信があるのかというと、この仕事場は誰にも見つからない場所にあるからである。家に近くにあるこの仕事場は私以外誰も見ることはできないし、触れることすらできない。まるで私の夢の中のような何もない空間なのだ。だからこそ何かがある。周りの人は見えていないものだからこの場所に容赦なく建物を建てる。ただ、この空間は同じ空間にある違う空間だから問題ないのだ。その違う空間にある何もない空間にあるこの建物は誰もわからない私がこの空間に入るときに誰かが私を見つけておかしく思うことはない。だってだれも私に興味がないのだから。私はこのマスクをかぶった瞬間くらいしか他人と話すことができない。他人と目を合わすことはない。それがなぜなのか、それはわからない。しかし、このままの私を見ても誰も私を見てくれないのだ。私は幽霊なのだろうか?そう思ったことが何回かあった。でも、そうじゃないと思う。だって、私は昔いた町にいた人以外に私を見てもらった経験がないのだ。

生まれた瞬間から死んでいるとしたらそれはどうしようもないけれど。


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