第一章 -少年期 あ~葛藤編-
なぜだ!なぜのだ!早川たけしよ!
僕たちは今日何をしに来たのかわかっているのか!!
佐藤そうの頭の周りを「?(クエスチョンマーク)」が4個、メリーゴーランドのように回っていた。
たけしになぜかを聞きたい!
たけしは佐藤そうに歩幅を合わせ並んだ状態でゆっくり話をはじめた。
早川たけし「そう。俺たちははじめてのバイトをした。お前が大型スーパー。俺がコンビニ。」
早川たけし「お互い想像できないほどの変な客やしゃべり方がキモイ店長に耐えてきた。」
たけしそんな事があったのか!
早川たけし「夏休み中盤は本当につらく、休憩中は音量最大でロンドンナイツを聴いて耐えてきた。」
早川たけし「そして、やっと給料日。俺たちは辛い労働に耐えたこのお金を握りしめ、
今日その努力を形にしようとしていた。」
すると話に熱中していたたけしはめっちゃ怖そうな人にぶつかってしまった。
怖いお兄さん「おんどりゃー!どこ歩いとんねんっ、わりゃーー!」と唾めっちゃ出して怒鳴ってきた。
佐藤そうと早川たけしはバイトで体得したお辞儀の仕方とバイトで得た低姿勢で
この危機を乗り越えた。そう必死に謝ったのだ。
そしてダッシュで近くのビルの路地に逃げ込み、佐藤そうは言った。
佐藤そう「たけしよ!ぼくたちの人生はこれでいいのだろうか!なぜいろいろな事から逃げるのだ!」
早川たけし「そう」
佐藤そう「お前も僕もクラスでは下の下、顔も中の下、勉強もスポーツも下の下だ。
しかも女の子とろくに話もできず、日々悶々と少年ジャンプを読みまわし、
新作のゲームの進行状況を話すだけ」
早川たけし「・・・・」
佐藤そう「知ってんだぞ、たけし。お前が好きなあいちゃんに告白して振られたの!」
早川たけしの顔は衝撃のあまり固まってしまっていた。
佐藤そう「俺たちがやるのは今なんだよ!」
佐藤そう「わかるよ!この10万でゲームソフトや漫画を買いたいのはわかる!
しかし、それでは前と何も変わらないじゃないか!」
そうの声が次第に大きくなり、街をゆく人々の視線が集まってきていた。
佐藤そう「さぁ、楽器屋に言って、今すぐギターを買おうじゃないか!ギターを!」
すごいドヤ顔で佐藤そうは今までのうっぷんを早川たけしに伝えた。
早川たけし「けどな、そう」
佐藤そう「けどじゃないだよ!けどじゃ!俺たちはそういう言い訳をたくさんしてきて
今のようになったんだろう!」
早川たけし「だが」
佐藤そう「だがじゃねーー!」と佐藤そうの声は街に響き渡る。
佐藤そうが我に返り、街で叫ぶ自分を意識して顔を赤らめている時に
申し訳なさそうに早川たけしは話を始めた。
早川たけし「バイトで辛い思いをしたからこそ、いい楽器を買おうと言おうとしたんだ」
佐藤そう「えっ!」
早川たけし「それに楽器のパートをまだ決めてないだろっ!だから一回二人で決めてから。」
佐藤そうは世界で一番真っ赤なりんご並みに顔を真っ赤にして下を向いていた。
佐藤そう「だっ!だよなーー!俺もそれを言おうとしたんだよーー!(苦)」
おうちに今すぐ帰りたいと思った佐藤そうは、草原で追いかけっこしている佐藤そうと鶴井結子の姿を
思い浮かべ、必死に帰りたい気持ちを抑えた。
早川たけし「そうは楽器どれやりたい?」
佐藤そう「やっぱ、ギターだろう!」と腕組をしながら言った。
早川たけし「そうか!そうか!そうがギターなら、俺はベースかな!」
佐藤そう「よし!決まりだ!楽器屋に行こう!」そうは1人でしょうもない熱弁をした此処を早く離れたかった。
二人は先ほどのピアスのロン毛の店員さんを探して先ほどのギターとベースを売ってもらった。
会計時に財布から現金を支払う時には人生で一番高い買い物をした時の興奮感だけが残った。
二人は街をギターとベースを背負って歩いていた。
あ~、これがバンドマンなのかと二人は背負った楽器の重さを実感していた。
早川たけし「そう!早速練習しようぜ!」
佐藤そう「おう!しようしよう!」
二人は希望と喜びに溢れて街を後にした。
翌日、佐藤そうは絶望した。
なぜっ!なぜなのだ!ここまで僕の左手は動かないのか!
ギターを弾きながら「ちくしょう!」を連呼する少年がここにいた。
指はすぐに痛くなり、ギターを放り投げベットに横になった。
ギターってなんて難しいのだ!右手と左手を別々に動かすことがどんだけ難しいのだ!
あー、来週。早川たけしと練習するのにまいったなぁー!
佐藤そうは明日の学校にますます行きたくなくなったのだった。