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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン一つ目 ツンデレ編(63928文字[空白・改行含む])
8/111

第一目標はツンデレ以外なかった。

『ツンデレ』;

通常時には敵対的な行動をとり(『ツン』)、特定の状況もしくは人物に対して

非常に好意的な態度をとる属性の事である。(※ただし、美少女に限る)

(俺の、俺による、俺のための学園ハーレム化計画を始めるにあたって、

最初に落とすのはお前(ツンデレ)だと決めていた!)

教師のソフィアを除き、一番初めに関わりを持った美少女が

狙っていた属性を持っていることにユーシャは心を躍らせた。

だが、ツンデレに対してユーシャはそれほど好きではなかった。

ギャルゲーで最初に落とそうと思うキャラはだいたい『天然』で

『最初から従順』な『愛想のいい』キャラだ。

その次が『ドジッ娘』な『お姉さん』、表は『クールビューティー』中身は『純情乙女』と続き、

最後に選ぶものが『ツンデレ』である。

ユーシャの中でのツンデレとは、嫌いではないが敢えて最初に選ぶほどではない

という位置づけにあった。

多分、そうなった理由は現実でツンデレな女に会ったことが無いからだろう。

会ったことが無いから今一実感が持てない。だから感情移入がうまく出来ない。

そうユーシャは推測した。

だが。見方を変えてみよう。

もしギャルゲーにしか存在しないツンデレと会える現実があるなら、

それはギャルゲー的な世界と言えるのではないだろうか

なら、これからそのギャルゲーみたいなことをする第一目標として

それ(ツンデレ)を選ばないことには始まらないと考えたのだった。


ちなみに、この発想は第一ヒロインがツンデレというテンプレートが定着しつつある

最近のラノベをゲームの合間に読んでいたときにひらめいた。


「ちょっと。何、黙ってんのよ。汚らわしい目でじろじろ見ないでよね」

(っつっ。にしてもウゼえな。顔がブスだったらボコボコにするところだぞ!)

と、心の中で舌打ちするが、外見はかなり高いクオリティーなので、そっと受け流した。

「わ、悪い。そんなつもりはなかったんだ。

(だからそれ以上しゃべるな。俺への好感度が落ちるだろうが!)」

あくまで顔に出さず、腰を低く下手に出た態度をとる。

これが数十本のギャルゲーをプレイして学んだ技術である。

「こらっ。シャルロットさん。そんな言い方しちゃダメです。

神野くんは唯一この学校に転入してもいいと断言できる男性です。

あまり、毛嫌いしてはいけません」

隣にいてあまり迫力は感じなかったが、眉間にほんのわずかなしわを作ったところを見ると

どうやらソフィアはシャルロットと呼んだ女子生徒に怒っているらしい。

先生に叱られてシャルロットはしぶしぶといった感じで口をつぐんだ。

それに満足したソフィアはまたほんわかした顔に戻すとユーシャに目配せをした。

その意味を察し、ユーシャは一歩前に立って自己紹介を始めた。

「初めまして。神野ユーシャだ。いきなり転入することになったから、

正直混乱している。右も左も分からなくて皆に迷惑をかけるかもしれないが

多めに見てもらえるとありがたい」

あらかじめ用意してきたセリフを言ってみると、感心した風だったり、

面白がっていたり、あるいは迷惑そうに顔をゆがませたり。

もちろん、シャルロットがした反応は一番最後である。

「はぁい。では、どうして神野君がこの学校に来たのかについて

先生からお話しします。神野君の席は~、そうねぇ。

シャルロットさんの隣にしましょう」

「ちょっと待ってください!」

シャルロットはバン! 机を叩いて抗議したが

「いいえ、待ちません。初対面の方にあんな態度をとったシャルロットさんには

特に神野君と接して慣れてもらいます。

ネココさん、悪いけど他の空いてる席に移動してくれる?」

「リョーカイしましたにゃん!」

猫耳娘ネココは元気よく立ち上がると、机をひっくり返して中身をカバンの中へ放り込む。

「じゃあ、神野くん、時間が押してるので早く席についてね」

「ういっす。

(ナイスフォローだ、ソフィア。お礼にいつか攻略してやるからそれまで待ってろよ)」

そして、ユーシャは女子たちの視線を集めながら、

ツンデレ少女シャルロットの隣の席に向かう。

「悪いな。手間を取らせて」

「いいにゃ、いいにゃ。これから一緒に勉強する仲にゃから当然にゃ。それにゃ」

ネココはさっさと荷物をまとめて別の席に移っていった。

ピョンピョン跳ねる後姿は、まさに野生特有の奔放さがあり、

オレンジの毛に黒い縞がついていることで良いアクセントになっている。

ユーシャの中でネココを『猫耳野生少女』と登録した。

(猫耳か、なかなか可愛いやつだ。が、サブキャラっぽい感じがするな。

あいつの攻略はしばらく後に回そう)

ネココに軽い評価をつけて、ユーシャは席に着いた。

「これからよろしくな。シャーロット」

「気安く名前を呼ばないでよね」

「あ、はは。(本当にかわいくねえな、このアマ!)」

取りあえず軽い挨拶をしてみたが、やはり印象は良くないようだった。

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