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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン二つ目 バカ後輩編(84057文字[空白・改行含む]
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土下座って何だ(後編)

「…………」

読んでいくうちに理解したこのウラマリアchannelというのは

いわゆる学校の裏掲示板というものらしい。

そして、そこにシャルロットが起こした騒動が書き込まれ、

匿名を使ってどこかの誰かがコメントを送っているようだ。

現在もなお、書き込みが送信され続け、

更新ボタンを押す度に新しいコメントが追加されていく。

「なるほど。良く分かった」

ユーシャはスマートフォンをシャルロットに放り投げて、

玄関の方向に向いた。

「ちょっとこのサイトに書き込んだやつらと会ってくる」

「待って! 何をする気?」

歩き出すユーシャにシャルロットは追いすがり、狂乱した様子で問う。

「何をするかって? 首から下の皮をはいで生かしたまま校門の前に飾る。それだけだ」

「見せしめにするというの? 私がそれをして喜ぶと思ってるの?」

「邪魔すんじゃねえよ。見せしめにするなんて考えてもねえよ。

ただ何となくヤりたくなったんだよ。ムラっときたんだ」

「そんなことさせない。絶対にさせられない!」

「っとうしいなっ! 邪魔だっつってんだろうがっ!」

腰にしがみ付くシャルロットを振り払い、

離れて無防備になった顔へ腕もろともに蹴りを思い切り撃ち込んだ。

まともに受けてしまった彼女はそのまま後ろに飛ばされ、

タンスの角に後頭部をぶつけてこと切れてしまった。

「…………」

タンスにもたれかかったまま、気絶した彼女の額から

赤い線が一本、すぅっと引かれていく。

その線が下へ伸びるとともに、ユーシャの感情も熱を失っていく。

この日で二回目になる血の汚れが床に着いた瞬間、

思い出したようにシャルロットの傷を治した。


1つの部屋に同じ顔をした人物が複数人存在しているという光景は

実に異常で、全員がしかめっ面をしながら羽ペン一つで重要な書類を作っていた。

その空間と衝立で分けられた場所でユーシャと

書類を作る人物と全く同一な存在であるラヴが向かい合って座っていた。

「そうか。何もしないで、か。それがまぁ、一番なんだろうね」

ユーシャから自分がいなくなってからの事を聞き、ラヴは静かに目を伏せた。

「なぁ。これってあれだよな。いじめって奴だよな」

「うん」

「よくドキュメンタリー番組とかニュースとかでやってるあれだよな」

「うん」

「こういうのってさ。学校が責任取るんだろ?」

「うん」

「じゃあやれよ!」

ユーシャは固く握った拳で自分が座る椅子を殴りつけた。

「おいコラ、教師。なんとかしろよ。

テレビで言ってたぞ。教師が生徒に何かしらの期待を持ったら、

実際に生徒もその期待通りの結果を出す。ピグマリオン効果っつうんだっけ?

良く俺も分かってねえけどさ、他にも○○効果とか××法とか

色々小難しいことがあるんだろ? そういうの使って

今起きてるいじめを止めろ! なんかムシャクシャすんだよ」

先から静かに「うん」しか答えないラヴに腹が立ってきて

ユーシャは声をどんどん大きくしてがなり立てる。

挙句の果てに、これほど責め立てているというのに

「すまない」

の一言しか答えないものだからユーシャの怒りは頂点に達した。

「謝れって言ってんじゃねえよ。何とかしろっつってんだ!

こんな三流なドキュメンタリー番組みたいなモン、

見せられるこっちの立場になれや!」

感極まって手元の熱いお茶をラヴの顔に浴びせかけ、

彼の顔が赤く変色した。

ついにラヴは立ち上がり、二人の間の机を迂回して、ユーシャのすぐ横まで歩いてきた。

そして、

「すまない」

ラヴは土下座をした。

「は?」

彼のその発言は

やはり「すまない」の一言しか言わないことへの侮蔑であり、

ここまでされて反抗どころか屈服に近い行動をしたことへの驚きであり、

身近な存在だった人物がまたしても床に頭をつけたという虚無感に近い気持ちが

混ざり合った末の産物であった。

「すまない。僕ら(学校)には何もしてやれない。すまない」

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