問題って何だ?
事件はすでに解決した。そうユーシャは言った。
では、これから何をするつもりなのだろうか。
「犯人はシャルロット(確定)。
黒幕はエクスマ(仮定)。それが分かったところで何を変えられるっていうんだい?
仮にエクスマに唆されてやらされたとしても、
主犯がシャルロットであることは変わらない。
まさか教唆の事実を明るみにすることで、罪を背負うシャルロットの道連れとして
エクスマを犯罪者として突き出そうなんて殊勝なことを考えているわけでもないんだろう?」
「当たり前だ。教唆って言葉自体、初めて聞いた。
後、お前はまだ今起きている問題点を理解してねえ」
先を進むユーシャは自身の力で運転手付きのリムジンを創造し、
ラヴと一緒に乗り込んだ。
「今、一番しなきゃいけねえのは慰謝料の用意とか謝罪の練習とかじゃねえ。
そんなもんはどうでもいいんだよ。
どうせ『これ絶対死ぬだろ』って怪我も俺が治してやれば万事解決だろ?
だから、何人死のうが何十人怪我しようが全く問題じゃねえ。
だが、ヤったっていう事実があいつの心の中で
残ってやがる」
ユーシャは心底不愉快そうに腕を組んでいた。
「事実は変えねえ。変えたら後で面倒なことが
起きるかもしれないってことは先月の件で懲りたから。
かと言ってこのまま何もしなかったら確実にヤバい」
「ヤバいって、何が? 彼女に罪悪感があるってことだろ?
良いことじゃないか。正しい倫理観を持っている証拠だ」
「だが、それがあいつを追い詰める」
なにかのゲームから取ってきたようなセリフだったが、
ユーシャの目が本気であることを語っている。
「あいつは自分で自分の首を絞めるタイプだ。
『責任とって切腹します』とか本気で言い出しかねない」
「それは仕方がないだろう。彼女はそういう性分なんだ。
性分というものは一日二日で変えられるものじゃない。
人格ごと変えるなら話は別だけど、
それは君が今まで大切にしてあげた彼女とは別人になってしまうよ」
「いいや。そんなことする必要はねえ。
何の能力も無い奴でもすげえ簡単に出来る方法がある」
話している内に二人を乗せたリムジンは巨大な病院の前で停車した。
界立総合病院。
学校とコネクションのあるこの病院は有事の際、
生徒をここで預かることになっており、
現在エクスマが運ばれているはずの病院である。
リムジンを降りてエントランスの前に立つユーシャは
ここに来た目的を言った。
「エクスマがなんでハめたのかっつー理由を吐かせる。
どうせすげー身勝手な理由のはずだ。
自分だけが悪いんじゃないって分かれば
気が楽になるだろ?」




