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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン二つ目 バカ後輩編(84057文字[空白・改行含む]
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感電って何だ?

ユーシャとエクスマは恋人の関係を結んだ後、

さらに新密度が上がった。

「だよな、だよな! やっぱりそう思うよな」

「思いますよ。まともな頭の人なら

誰だってそう思う決まってるじゃないですか」

「だろぉ?」

そして今二人はエクスマがこっそり持ってきたジュースやお菓子をつまみながら、

たわいもない話に花を咲かせていたのであった。

もともと倫理観の乏しい者同士、近い感覚を持っていたおかげで

二人のテンションはうなぎのぼりになっていた。

ちなみに話のテーマは

『努力の結晶というものを完成間近に邪魔して

ぶっつぶすのは最高に気持ちいい』

という(彼らにとっては)ありふれた内容である。

「ふぅ、いや、お前と話すの楽しいな」

雑談に一段落着いたところでユーシャは腰をかけた。

そこで、思い出したように立ち上がった。

(ヤベエ、どうしよう)

「あれ? 先輩、もしかしてトイレですか?」

「ああ。そうだ」

エクスマからの告白と雑談で高揚していて忘れていたが、

ここにはトイレがない。(バケツは使いたくない!)

それにもかかわらず『出し』たくなるようなものをとってしまったことに

ユーシャは後悔した。

「大丈夫なんじゃないですか? 今、先生いませんし。

自習の時間なんですからトイレの時くらい勝手に出てもいいでしょう」

「あ~…………そうだな。それくらい良いよな」

エクスマの助言もあってユーシャはこの倉庫を出て

トイレに行くことを決めた。

(つーか早く行かねえと漏らしそうだ)

全速力で倉庫の扉に指をかけ、トイレに向か―ー


バヂヂヂヂヂヂヂヂヂッッッ!

「ふびゃっ!?」


倉庫の中と外の境界面。それに触れた瞬間、ユーシャの体に電撃が襲い、

漫画のような青白い光を出して感電した。

「すいません、先輩。そういえば先生が朝まで出るなって言ってたこと、

忘れてました」

感電して倉庫の内側に倒れるユーシャにエクスマははにかんでそう言ったが、

その言葉が届くことはなかったという。



「…………はっ」

ユーシャは何かの拍子で目が覚めて飛び起きた。

「おはようございます」

上半身を起こしたそばには、怪しげなサングラスを掛けたラブが

マイクをこちらに向けていた。

「良く眠れましたかふっ」

「ああ、おかげさまでな。てめえも一回食らってみるか?

星が見えたぞ。どういうつもりであんな罠を張りやがった」

「だって勝手に出歩かれたら夜通し遊ぶだろうと思ったから」

「出口を塞ぐとか色々方法があっただろうがよっ!」

「それは痛い目を見た方が分かってくれると

思いたいいたいいたいたいたいっ!」

堪忍袋の緒が切れてしまったユーシャは

ラヴにアイアンクローをぶちかました。

「あっ、ヤベっ学校遅れ…………いっか。

今日はずる休みしよう」

「おーい。だから学校関係者の目の前で

不健全な発現をしないでよ。見過ごせるわけないでしょ」

「うっせえな! 学校自体をぶっ壊して休みにしてやろうかっ!

って……………………あん?」

そこでユーシャは視線を自分の足に向けた。

もっと言うなら、アイロンをかけた跡まで

残った清潔な制ズボンだ。

「んん? (俺のズボン、こんなに綺麗だったか?)」

目を回りに向けてみると、なんと砂だらけでせき込みそうな

倉庫がいやに綺麗になっていた。

それはもう何かの痕跡を滅却してやるというくらい、

隅々まで掃除されている。

そんな部屋にいるとなんだか心までスッキリして

晴れ晴れした気持ちになってしまうではないか。

(んん? スッキリ? あれ?

そういえば俺、あれれ~?)

この妙な爽快感にある推論を立ててしまったユーシャは

力づくで目を細め口角を持ち上げた作り笑顔を

ラヴに向けて聞いた。

「なぁ大天使様? もしかしてぼくちゃん、昨日の夜

(*'ω'*)......『ヤっちゃいました』?」

その質問にラヴは指先一つ動かさない静止で答えた。

ユーシャは固まったラヴからサングラスを外してやると

その向こうにあった瞳は横を向いていて、

同じ方向に首が回った。

「あっはは。そっか。そうだったんで(^3^)/ね。

謎は全て解けました。(ノ∇≦、)ノ彡☆パンパンッ!」

そう。ユーシャはあることに気づいてしまったのだ。

それのせいでズボンが汚れ、新しいものを履かされていた。

ユーシャの心を傷つけないよう、それを隠すために掃除されていた。

そのあることとはつまり、攻略直後のヒロインの目の前で

『ヤってしまった』という事であった。

「てんめぇっ! 何やってくれやがったんだこのクソがっ!」

「ゴメン! 本当にゴメン!

僕も悪かった。やり過ぎたと反省してる!」

「『僕も』じゃなくて『僕が』だろうが!

ゴメンで済むか、大馬鹿天使!」

ユーシャはラヴを馬乗りにし左で首根っこを絞めながら

意志のように固く握った右で何度も殴打した。

「ということはよ? あいつにズボン脱がされたり、穿かされたりしたわけだろ?

つまり見られたわけだろ! どーすんだ、コレ!

もう顔合わせらんねえよぉ!」

両手で顔を隠すユーシャはその場で丸くなり縦横無尽に転げまわった。

「(実際は倉庫内を掃除したのも下を穿かせたのも僕で、

それまで漏らした服が外に投げ捨てられていて丸だし状態だったんだけど、

それを言ったらもっと怒るよね)

まぁ……その……本当に、誤って済むことじゃないよね、ハイ。

心中お察しするけど、ちょっと協力して学校まで来てくれるかな?

あっ、今日も特別に補習を無しにするから【スキップ】も好きに使っていいよ」

「あ?」

『学校まで来てくれるかな?』という言葉にユーシャは引っかかった。

「あれ? もともと今日は学校がある日だよな?」

「そうだよ。でも、臨時休校にしたんだ」

「臨時休校? なんだよ、それ。

まさか本当にぶっ壊れたか? もしそうなら笑ってやるHAHAHA!」

ユーシャの軽いジョークにラヴは間髪挟まず答える。

「そうだよ」

「へ?」

「校舎、半壊しちゃった」

「……やったあ?」

瓢箪から駒。嘘から出た真。

状況を読み込めていないユーシャは

とりあえず言った通り笑った時のセリフをだした。

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