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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン二つ目 バカ後輩編(84057文字[空白・改行含む]
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人間って何だ?

ユーシャは考える、自分が何のために生きているかを。

Q1,自分は何だ? A1,人間

Q2,人間とは何だ? A2,生物

Q3,生物の本懐は? A2,子孫を残すこと

つまり、自分は子孫を残すために生きて――

「はい。寝ないようにね」

ぼんやりとした頭を軽く叩かれてユーシャは現実に帰ってきた。

たった一つの窓ですら明かりが差し込むことはなく、

息の詰まりそうな部屋に電球一つ、

そしてノイローゼになりそうなチョークが黒板に当たる音と念仏のようなラヴの講義。

黒板のさらに上を向いて、長い針が1、短い針が5のあたりを指す時計を見たが、

結局何時かを理解できないくらい頭が働かなかった。

腰と両足首を椅子に括り付けられ腕から先しか身動きの取れない。

補習開始から三分後、エクスマと脱出を試みた結果、

このような状態になってしまったのだった。

「眠いなら『コーヒー飲ませてあげようか?』」

「ぅひっ!」

もはやその言葉を聞くだけでトラウマになりかけてきた。

何故だと思う?

眠いからコーヒーを飲んでカフェインを取る。

その考えは間違っていない。受験生も研究者もサラリーマンもそうしているだろう。

だがそれは、ちゃんとした用の足し方が出来るからだろう。

今のユーシャの場合は違う。

それについて補習前にラヴと話した方法、

あれを冗談とユーシャは思っていたのだが、ラヴは本当に実行しやがった。

ただ少しやり方を変えていて生徒がバケツの方へ向かうのではなく、

ラヴがバケツを生徒のトコまで持ってきてくれるのだ。

そこからは何というか、牛の乳しぼりの動画を横にしてみたような感じである。

(し尿便を使われた入院患者の気持ちが分かった気がする)

しかも、排出したものを捨てず貯めているせいで悪臭が部屋に充満しているのだ。

羞恥と眠気と悪臭の三重苦でユーシャはもう気が気でいられなくなっていた。

「いや、ちょっと待てよ。さすがにこれはやりすぎなんじゃねえの?

『拷問のような補習』って単語はゲームの中で見たことあるけど

これ本物の『拷問』じゃん」

「だってそれは君らがちゃんと授業を受けず、

勉強もせず、テストで赤点を取ったからじゃないか」『正論』

「だとしても限度っつーもんがあるだろう。

エクスマなんて瞳孔が開ききって、

さっきから呼んでも反応が返ってこねえんだぞ」

「何を言っているんだい。

彼女はちゃんと勉強しているよ。ほら」

促されて耳を澄ましてみると、確かに小さな声が聞こえた。

「いんいちがいち、にさんがきゅう、ごにきゅう。ろくろくじゅうに。

せんせいあってますか?」

「いいえ、間違っています。もう一度最初から最後まで、81通り全部言ってください」

「はい。いんいちがいち。にしきゅう。さんごじゅうはち。はっくよんじゅうなな。

せんせいあってますか?」

「エクスマーーーーーーっっっっ!」

九九の答えがあっているかユーシャには分からないが、

言葉を数えるくらいはできる。

「おい! いい加減やめろよ。何の罰ゲームだ!」

「なに? 退学したいのかい? 良いよ、別に。

こっちは全然困らないんだけど?」

「クソッたれ!」

いつもならチート能力を使って全て自分の思い通りに動かせているはずだが、

それがない今はこいつ(ラヴ)の好きにされてしまっている。

(覚えてろ! 能力が戻ったら同じ目に合わせてやる。

っつーか俺の能力を無効化できるっていうラスボスぶっ殺してやる!)

発狂しかけの頭で考えられることは補習後の仕返しの事だけ。

そんなユーシャにラヴは言う。

「大丈夫。学校に行かせることも考えて六時で切り上げさせるつもりだから。

はい、じゃあ時計見て。今、四時半だね。六時まで後どれくらいか分かるかな?」

「えっと六引く四と三十分だから…………三時間?」

「そうか。じゃああと三時間勉強しようか」


補習(地獄)はまだ終わらない。

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