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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
勇者の願い(4766[4543]文字)
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叶えてほしい願いなんて一つしかなかった

「願い事を叶えてやるだと?」

前触れもなく光と表れたのは、なんと白い布を一枚

体に巻いているだけの爺さんだった。

しかも、言うに事欠いて自分を神だと名乗る始末。

「また、面倒くさそうなのが――」

「神様ビィームッ!」

「にぎゃぁーー」

自称神様が技名を唱えると、天井から雷のような光が勇者を包んだ。

「説明しよう。『神様ビィームッ!』とは

『お前が神? はっ。だったら神様だって証拠を見せてみろよ』

というありきたりな挑発から、その後に繰り出される神業までの流れを

丸々ショートカットし、強制的に信じるように暗示をかけて

話を進めさせる効果を持つ技である」

神様、この時にしか出番のない技の説明をありがとうございました。


で、


「どうじゃ、何か願い事はないのか?」

「急にそんなこと言われてもなぁ」

勇者はその答えに困ってしまいました。

常にお金と家がないけれど、民家で勝手に寝泊まりし

道で会った人からもらったお金で遊ぶなど

わりと充実した生活をしていたので、

いざ、欲しいものはないかと聞かれると、

特に何もないのだった。

(普通に考えれば大金持ちになりたい、だ。

けど、金なんてすぐ無くなるしなぁ。

だったら金に困らない王様はどうだ。

いやダメだ。政治の事なんか考えたくないし

反乱を起こされて終わっちまう。

いっそ、神になるか! そもそも願い事を一つだけ、というのが間違いなんだ。

神になって自分でなんでも叶えられるようになればいい)

「おい神! 願い事が――」

そこで勇者はやっぱり言うのをやめました。

「む? どうした? 早く言うがよい」

「いやぁ~、ははは、もうちょっと待ってくれよ」

「そうか。一度だけだからよく考えてからいうのじゃぞ」

「お、おう」

まさにその忠告通り考えた結果、答えを変えることになったのである。

(あっっぶねえ。神になるとか言ったら俺も半裸のジジイになるじゃねえか。

あんな恥ずかしい姿で人前に出るとか、どこのМだよ)

「早くせよ。神を待たせていることを自覚しているのか」

「分かった。分かったから少し待て。すぐ言うから」

(聞いてきたのそっちだろ。あ~考えるのが面倒になってきた

もうなんでもいいや。三大珍味とか宇宙船とか

滅多に手に入らなかったり、もう戻ってこない物とか適当にすれば……ん?)

その瞬間、あるアイデアが閃いた。

「あったぞ。俺の叶えてほしい願い」

「うむ。では、申してみよ」

「俺は……」

勇者は神様に正面きってこう答えた。

「学校に通いたい」

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