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勇者は神様に頼んでギャルゲーの世界に転生しました  作者: 火村静
攻略ヒロイン三つ目 波際の精霊編
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灼熱の報復

「少し調子に乗りすぎたか」

入場ゲートの前で隠していた趣味を暴露されたことで

シャルロットの機嫌がすこぶる悪かった。

城の物をそのまま持ってきたような門を越えて、

最初にどこへ行くか、という話が上がったとき、

「あれ」

とだけ言ってゲート前にも劣らないほどの長さの列が並ぶ観覧車を指差した。

列の消化が遅く、それを一つ乗るためにどれだけの時間が浪費してしまうのかと、

顔を引きつらせる面々もいるが、散々からかってしまった手前、

強く言い出すことは無かった。


「あづい~。つかれた~」

亀並みに遅い消化速度の列の中で少女たちはだれ始めてきた。

日差し対策に日傘を差していても、魔法で冷気を出しても、

体力を消費することには変わりなく、

しかもそれで完全に厚さをシャットアウトできるわけでも無い。

整えた姿で会う彼女たちもこの暑さの前には、

上のボタンを二つ以上開け、服の中の蒸れを外に追いやろうと

襟を前後に動かした。

「あっ/// 今、ブラがッ♡

……っていうのがどうでもよく思えるくらいあちー」

能力で気温を過ごしやすくなるまで下げることも考えたが、

それは『夏の思い出』というコンセプトから外れる気がするのでせず、

甘んじてこの暑さをユーシャも受け入れているが、

この一行の中で最も精神的に幼い彼はとうとう地べたに座るようになった。

「これではほかのアトラクションに乗る時間が無くなってしまいます」

列に加わって一時間ほどに、さすがの女史たちも汗を流し始め、

(流し始めるってどういうことだ! 今までは暑くなかったってのか!?)

今さらなことを言いだした。

「このままでは日射病になるかもしれませんし、

二手に分かれましょう。

このまま観覧車に乗るグループと他に向かうグループです。

他へ行く方のグループには体力の限界を感じた人に勧めます。

引率は私とディラエラ先生がします。

ついて行きたい人は手を上げてください」

と、手を挙げたソフィアの後に続いて六人が手を挙げた。

自分(ユーシャ)を含めた挙げていない方の四人の生徒は

言い出したシャルロット、地縛霊の小夜、そしてやたらと尻尾の大きい獣人系(名前は覚えてない)。

そして引率はラヴときた。

「ふむ。

(めんどくさそう。触れない。触ったらさらに暑くなりそうな女子三人と

男の天使が一つ。

それに引き換えあっちは女子六人と爆乳のソフィとなんか怖そうなディラエラ)」

考える余地もなく自分も挙手しようとするが、

パシッとシャルロットに手首をつかまれてしまった。

「あんたはこっち」

「え゛」

よほど深く根に持っているらしくシャルロットの手は

うっ血させるほど強く握りしめている。

「それでは私たちは行きます」

「くれぐれも無理をしないように」

「ちょっ! 俺! 俺もそっち行きたいんですけど!?」

「あんたはこっち」

「あ、ヤバい。俺今、日射病にかかってるみたい。早く日陰に入らないと――」

「気合で何とかしなさい」

「できるかっ!」

【※気合で日射病は防げません。

 つらくなってきたらこまめな水and塩分補給や休息をとるなどして適切な対処を行ってください。

 行わない場合、死ぬか後遺症を作り、場合によっては一生を病院で過ごすことになります】

そうこうしている間にソフィアたちは離れていき、

他の客たちに紛れて見えなくなってしまった。

「あ」

ガクリと頭を落とすユーシャの肩に

ラヴが手を置いた。

「ドンマイ」

不憫な状況に陥ったユーシャの事を哀れみ、

同情の目を差し向けるラヴに、ふっと笑いかけ

置かれた手を取った。

「やかましいわぁっ!」

【《スキップ発動》 →新技・一本背負い

アニメの映画中のヒロインが悪党を成敗しているシーンを思い出し、

見よう見まねで再現する。

手首を引っ張り相手の重心を前に、

そして引っこ抜いたラヴの重心を自分の腰の上に乗せ、

身体全体に大きな回転をかける。

そんな仕組みを一切理解していないにもかかわらず、

見よう見まねで完璧な背負い投げをきめ、

長身のラヴを焼きつく地べたの上に叩きつけた。】

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