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夢であえたら

作者: エニュ

これは入院していた時の夢のお話。

僕が大学生の時盲腸になり、その日手術、入院を宣告され

手術が終わり、麻酔が効いて深く寝入っていた時の夢・・・


真っ白い平原みたいな場所・・・雪の平原なのかよくわからない場所。

自分はそこに立っているのだが全然寒くなく、逆に心地は良かった。

「なんなんだここは」などと考えていたら、向こうの方から3歳か4歳くらいの

女の子がこちらに走ってくるのが見える。

「誰だろ、見たことない女の子」

女の子は僕の目の前で立ち止まり、両手を上げて抱っこをねだるしぐさをしてきた。

僕は子供が好きだったので「どうしたの」と言いながら抱っこしてあげた。

女の子は僕の体にヒシっとつかまりしばらくそうしていた。

僕は女の子に「ねぇお父さんとお母さんは?一人で来たの?」と問いかけた。

女の子は走ってきた方を指さし「あれ・・・」と。

そっちの方を見ると遠くの方に二人立っている。なんだが見覚えのある顔だなと

思っていたらなんと自分の父と母だった。

「なんで親父と母さんがいるんだ?」なんて思って見ていたら、

父も母もなんだか悲しそうなのか嬉しそうなのかよく分からない表情を

しており、解りやすく言うと「しょうがないなもう・・・」みたいな

顔をしていた。しかしこっちに近づいてこない。遠くから見ているだけだった。

「ねぇ君はあそこの二人を知っているの?」と女の子に聞いてみた。

すると女の子は「おじいちゃんとおばあちゃんだよ」と答えた。

「えっ」僕は困惑した。僕は結婚していないしもちろん子供もいない。

1人妹がいるが、子供はいない。

誰の子だろ?と思い、「君のお父さんとお母さんは?」と聞いてみたら

・・・僕を指さした。

僕を指さして「お父さん」と答えた。

えっ・・・僕に子供はいないんだけど・・・間違えているのかな?と思い

なんて答えようかなと考えていたら、女の子は続けてこう話した。

「お父さん、私が生まれる前に死んじゃったから夢で逢いに来たの」

「お父さんに抱っこしてほしくておじいちゃんとおばあちゃんにお願いしたの」

・・・そうか。君が僕の子供か。なぜかすんなり受け入れて女の子をぎゅっとした。

そのとたん涙があふれてきて「あぁ僕は自分の子供に会う前に死んじゃうんだな」と

思ったら涙が止まらなくなってしまった。

しばらく子供を抱きしめていたら、「もう行かなきゃ」と女の子が言った。

女の子はまたねと言って父と母がいる方へ走っていった。

遠くの方で父と母も手を振っている。

・・・気づいたら誰もいなくなっていた。「そういえば名前聞かなかった・・・」

そこで夢から覚めた。


それから10年、自分はある女性と結婚し今は子供がいる。夢の通り女の子である。

名前は僕と妻の名前を一文字ずつ合わせてつけた。

もしお父さんとお母さんがいなくなっても、君の名前にいるから大丈夫だよという思いを込めて。

夢の女の子は、「私が生まれる前に死んじゃった」と言っていたが、

現在の僕は死にそうにない、このまま死んでたまるか!

もしまた、夢であえたら今度こそ名前を聞いておこう。



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