プロローグ
これは闇と光の物語。共存を願う闇とそれを滅ぼさんとする光。その二つは決して交わることなく、消えることもなかった。
そして、長きに渡る因縁の、一つの物語でもある。
デグラストル王国八代目国王殿下即位の日。レイグランビ・ダグラス・デグラストルはこの日十五歳を迎える。デグラストルは何か問題がなければ基本的に跡継ぎは十五歳で即位することになっている。前王の母はいない。彼が十五歳になるまでの代理は彼の父、魔王が務めていた。
「父上、遂にこの日を迎えることができました」
「……ああ、ようやくお前も十五歳だ。長かった。これで俺の役目を終えることができる。……レイラ」
物憂げな顔をした魔王だったが、この時くらいは少しは元気を見せよう、そう考え、顔を振り、ビシッとした表情で式典に臨んだ。
紫の髪色、左目の目元には魔族特有の紋章を印したレイビは大衆の前に立った。
「デグラストルの名の下において宣言する。我、レイグランビ・ダグラス・デグラストルは八代目デグラストル国王に即位することを誓う」
暗黒神を宿すレイビは、天地人と魔族のハーフなのだ。
次回、第一話 仮面舞踏会
偽りの姿に身を投じ、心を隠す。