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マタギの孫をなめんなよ!【書籍化】  作者: ハーーナ殿下
【下界 ベール王国 王都】の章

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66羽:姫の進む森

森の中を進む



宿場街の近くから大森林に入り起伏のある森の道をひたすら進む



この森の中の道も昔に比べて広く大きくなり、また地面も土を固めてあり歩きやすい



下界の馬車や軍馬は無理だが、森や山に住む悪路に強い山馬や山牛に荷車を引かせて荷物を運ぶのなら支障もなく、物資の運搬に一役かっていた



そう、2年前から下界と森の民で物流交易が始まり、その過程でここまで整備されていたのだ




(本当に下界との行き来が簡単になったものだ。歩いていても疲労感がまるで違う)



そう思いながら後ろを見る




「ぜぇ、ぜぇ、大村とやらはまだ着かないのか?」



お気に入りの桃色のドレスから着替え、地味なズボンと革鎧に着替えていた少女が荒い息で聞いてくる



「はい、この速度だと予定通り結構日数はかかります」



オレはいつも通りに答える



「ぜぇ、ぜぇ、それは着くのが楽しみね」



そう荒い息遣いで余裕なふりの返事をする



(こんなに辛そうなのに、この歩く速さにちゃんと着いてくるとは、見かけによらずガッツがあるのかもしれない)



そう思い少し見直す



周りにいる護衛の騎士達もこの森に入る前に、下界の宿場街で金属鎧から軽装の革鎧に着替えていた



流石に普段から激しい訓練を積んでいる彼らは、速度を合わせているとはいえ、オレ達に難無着いて来ていた



騎士達が手を貸そうとしてもその少女は断り、自分の足で森の中を進んでいる



また、最初にグラニス伯爵夫人達が大村に来た時のように、木製の輿を用意ようか、と言ってもそれを断り自分の足で一歩一歩進んでいる



(それにしても、この少女は何でそこまでして、大村に行きたいのか・・・)



その少女、ベール王国第二王女『桃姫様』マデレーン王女は額から流れる汗をそのままに森の中を黙々と進んでいる





オレ達は、下界のベール王国からのこの親善使者達を連れて、大森林部族の最大の村である『大村』を目指している



オレと研究軍師『知恵の実』セリナちゃんと森の戦士達と、この桃姫ちゃんとその護衛の騎士達、また姫の世話役の女官と結構な大所帯だ



そんなオレ達は森の中の道を、ひたすら大村を目指して移動している



すると真っ直ぐ大村に向かう道の他に、左側に一本側道が見えてきた



(・・・・確かあの道は)



オレは桃姫ちゃんの護衛騎士ヘルマンに相談し、少し寄り道して行く事にした





『聖なる泉』こと『温泉』に寄り道した



ここは以前は聖なる泉としてこの大森林に伝わる秘境だった



2年前に獅子姫に命令され、ここに来てみると実はそこは現世でいう『温泉』だった



その効能は疲労回復から美肌効果、怪我の回復など幅広い



オレ達が見つけた後は、温泉療養の小屋をグラニス伯爵家が建て、そこに湯治で泊まる事も可能になっていた



今回は王都から来た桃姫ちゃん達の長旅の疲れを癒し、ついでにヴェルネア帝国との戦いからここまで強行軍だった、オレ達森の民もキズを癒そうという目的だ





疲れと傷を癒すため、オレ達は早速温泉に入ることになった



湯気があがり、相変わらず硫黄の独特の匂いがする



硫黄系乳白色温泉だ



あまり人の手を加えず、天然の地形を利用した岩場の温泉の湯は景色共々最高だ



オレはいつものように、手ぬぐいを頭の上に乗せて、雰囲気出し湯を満喫する



男湯を見ると大砦の戦士達と桃姫ちゃんの護衛の騎士がいる



初めて入る者はオレの真似をして手ぬぐいを頭の上に乗せて、身体の疲れを癒している



・・・・気配を消してチラリと女湯の方を見る




男湯と女湯の境目には、誉れ高い『聖騎士』と人々に呼ばれる近衛騎士ヘルマンが、修羅のような睨みを効かせこちらを見ていた



『姫様が入っている女子風呂に近づいたら、その命頂戴す』



そんな、凄まじい殺気だ



獅子姫ちゃんと初めて激闘した時の、あの狂気の剣士の目をしている



(もしかしたらヘルマンは二重人格とかじゃないのか・・・)



そう思うほどの変わりようだ



オレが冗談で女湯を皆で覗こう、と言ったのがまずかったのかもしれない



この間までいた、大砦の激戦でも感じた事のないような恐怖感を、オレ達男子湯全員が受けていた



普段の温厚な聖騎士が豹変したその殺気に、騎士や戦士達は恐怖のあまり、湯から逃げて行く



・・・・・それでもオレは諦めない



(温泉のぞきマスターをなめるな!)



オレの孤独な戦いは今日も始まっていた





女湯には二人の女性が入っていた




桃姫様ことマデレーン王女と、研究軍師『知恵の実』ことセリーナ・ベルガーの二人だ



湯の側の岩場には桃姫ちゃんの女従者が服を着たまま控えている



王女の体や髪を洗ったりするのは彼女たちの仕事なのである






・・・・桃姫ちゃんより少し年下のセリナちゃん


普段は室内に引きこもりなので、その湯から見える肩やうなじは日焼けせずに白く輝いている



彼女は元々この大陸のどこかのお嬢様という噂があり、育ちも良かったのかきめ細かい肌が、まだこの幼い少女を見る者をドキリさせる



胸は残念ながらまだ小さな膨らみで終わっているが、これから成長期を迎える、大きく成長する頃には十分女性らしい体付きになるだろう



『いや幼い方が今の方がいい』



そんな背徳感もある身体だ




・・・・一方の桃姫ちゃんは意外にもボリュームがある体つきだ



年齢はオレや獅子姫ちゃん達よりも少し年下だが、その体は丸みを帯びている女性らしい体つきだ



お姫様なので色白なのは勿論の事、普段から侍女たちによるお肌の手入れもされているのだろう



湯の温度によりほのかに肌がピンクに染まり艶を出している



服を着ている時には気付かなかった大人な体つきだ



おてんば姫という事で、もしかしたら普段は着痩せする服を自分で選び着ているのかもしれない



女性として魅力的に膨らんでいる裸の胸や腰のラインは、見る者をうっとりさせる色気と気高さがある




誇り高い王女の乙女の裸体・・・・



その言葉だけで見る者を熱く興奮させる






「ふむふむ、さすがマデレーンはキレイな体をしているわね。肌もお湯を弾くほどきめ細かいし、なにより胸が大きいのね。いつもは分からないような恰好しているから勿体ないのだ」



とセリナちゃんは自分の小さな胸に手をやり桃姫ちゃんの体を見る



「そういうセリナもキレイな肌で可愛いらしい体つきだわ。森の民はみんな日焼けで色黒だから、その白さが一際際立っているわ。胸なんてその内嫌でも大きくなるわ。」



と桃姫ちゃんもセリナちゃんの体を褒める



王都からこの大森林まで一緒に旅をし、宿によっては同じ部屋にも泊まっていたこの二人はいつの間にか仲良くなっていた



年上ばかりに囲まれて育った環境や、年齢が近いのもあるだろう、仲のいい姉妹のようだ



「それにしても、セリナは本当は森で生まれた民でないのでしょう。一体どこの国で生まれて、この大森林にいつから住んでいるの?」



と気になることはすぐ口に出る桃姫ちゃんは聞く



「それは、今は内緒なのだ。機会があればそのうち話するのだ」



セリナちゃんはそう言い、質問をはぐらかす



「それなら、その時は一番に教えてちょうだいね。あーあ、私も城から出て自由に暮らしたいわ」



おてんば姫で自由気まま生活を夢見る姫様は、侍女の耳に聞こえないように呟く




「分かったのだ、その時は一番に教えるのだ。私の国も今はまだ住みにくいが、本当はいい国なのだ。いつかはその国にマデレーン様も招待するのだ」




とセリナちゃんも小声で呟く



二人の間に何とも言えない、女同士の友情的な暖かい沈黙が広がる




・・・・・



一方、オレが修羅化した近衛騎士ヘルマンの鬼の監視を何とか逃れ、ようやく女湯を覗けるポイントにたどり着いたのは・・・・




そんな女湯で女子話が終わり、またもや全員上がってしまった後であった・・・・







そんな何故かいつも邪魔は入る温泉を後にしたオレ達は、順調に大村に近づいていた




相変わらず桃姫様マデレーン王女は必死で着いて来ているが、セリナちゃんと励まし合いながら順調に進んでいた




・・・・そして、ついに目的地である大村に到着したのであった










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