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マタギの孫をなめんなよ!【書籍化】  作者: ハーーナ殿下
【下界 ヴェルネア帝国 侵攻】の章

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56羽:二つの大剣

・・・・何やら前線が騒がしい




先程までは敗走するグラニス伯爵軍を追撃し、こちらの帝国軍が押していた感じだった




相手を侮る訳ではないが、あの戦力差ならよほどの事がなければ、友軍の勝利は確実だ




しかも、指揮官の叔父上は、今はあんなだらしない風体だが、この帝国軍の中でも歴戦の指揮官だ




少々詰めが甘い所があるが、最近は大きな失敗をしないような保身的な戦術を行う




まぁ、その戦術に生意気に意見したオレは、こんな後方の補給物資を護衛する外れ場所担当になったんだが・・・




見ると、前線の方から次々と、必死で敗走してくれ仲間が見えた



ある者は武器や盾を投げ捨てて、また、大切な帝国軍旗さえを放棄して逃げ帰って来た




何かあったのか



オレは部下に警戒するように指示する




逃げて来た兵士達は、息を切らし、補給部隊の陣地内まで来ると座り込んでしまう





その内一人の見覚えのある兵士に近寄り問い詰める




一体何があったんだ!?




「はぁ、はぁ・・・前線と本陣は、突如現れた伏兵に横と背後を突かれ壊滅しました!」




と、息を切らしながら答える




伏兵だと?



しかし、警戒しながら行軍していたはずだ。あの叔父上の性格ならその辺はしっかりやるはずだ





「分かりませんが、突如森から矢を射られ、背面から歩兵により奇襲を受けました。

その・・・司令官も敵の歩兵と一騎打ちの形で、一刀両断のもと戦死しました・・・」



なんと!あの叔父上がだと!?




今の見た目はあの風体だが、元々は槍1本でこの実力主義の帝国軍で、司令官の地位まで伸し上がった、あの『大槍のギデオン』が一刀両断で!?

 



そんな勇猛果敢な兵士がこの伯爵軍にいたのか!




・・・・味方の敗走




その光景を目にしながら、オレは笑みを浮かべ、その先にいる強者に心躍らせるのであった







オレ達は今、追撃戦に取り掛かっていた




オレ達森の部族の奇襲より、侵略して来た帝国軍を壊滅させ、敵は蜘蛛の子を散らすように敗走して行った




この領内に逃げ隠れしている帝国兵士は、野盗にでもなると後々面倒なので、グラニス伯爵軍がしらみ潰しに追撃していた




・・・一方、オレ達森の部族の戦士達は、再び身を隠し敵の後方にある補給基地を狙う




偵察隊によると、そこには陣が敷かれており、補給基地を守る部隊と敗走した兵士達が合流し守りを固め、次の日の朝方にでも、自分たちの領地内へ撤退する気配だという




そんな訳で次の任務は夜中の奇襲



『夜襲』だ




前に女騎士ちゃん達に聞いた話で、はこの下界では夜襲は基本的に行わないらしい




夜目が効かないので同士討ちに成りやすく、騎士道から外れた野蛮な行為だという




しかし、オレ達は騎士でもなく、夜目も効くので効果的な夜襲をしない手はない




大森林の獣たちは夜こそ危険な生き物であり、そこにルールなどはない



『喰うか食われるか』だ




敵の補給基地から見つからない場所に、オレ達は身を潜め、夜が更けるのを待つ




こちらも大森林の中を走り抜け、すぐ先ほどの戦をし、しかもこの夜襲だ



幾ら体力に自信がある森林部族の戦士とはいえ、疲労は隠せない



しかし、やる時には徹底的にやらなければ、相手はまた兵力を増員して侵略して来る



弱い子供と子を産む雌には優しいが、戦う雄の戦士には容赦はいらない



森林部族とはそういう理屈の生き物なのだ





夜も更けて、いよいよ夜襲をかける




森林部族で構成された部隊で、敵の補給基地を音もなく取り囲む




遠くで野犬の遠吠えが聞こえる




『攻撃開始』




この部族の鳴き真似の合図のひとつだ




オレは見張りに立つ兵士に矢を射る



シュッ




急所に当たりその見張りは倒れる




他の弓兵を見ると、他でもどうやら上手くいってそうだ




オレは静かに部下に突撃の合図をする







突然の夜襲に混乱する補給基地を守る帝国軍



見張りの兵は音もなく消され、食料や物資を置いたテントから火の手が上がる




闇夜に紛れ剣や槍、弓を持った戦士達が襲い掛かって来る




聞いたこともない奇声が大声で上がる



寝起きに着の身着のままで逃げ回る帝国兵



火を着けるのも必要最小限に指示してある



狩りをした後の戦利品の獲得は必須だ




(よし、上手くいっているぞ!)



敵を全滅させる必要はない



恐怖感を与え、二度と歯向かう気持ちを無くせばいいのだ




・・・・・そんな中、逃げ回る敵兵士達とは違う雰囲気の場所があった



あそこは何かがおかしい



オレはその場を部下に任せ、その場所に向かう





・・・そこには目を覆う光景が広がっていた




こちらの部族の戦士達が斬り捨てられ、絶命して倒れていた




一方、敵の帝国兵も多く倒していたが、その士気は高くこちらを押し返そうとしている




その敵の前線の中心に、一人の男が仁王立ちしている




夜襲されたというのに鎧に身を纏い、その大柄な体に見合う大剣を持った男だ




油断をせずに寝る時でさえ鎧を着ていたのだろう




多くのこちらの戦士達を倒しているにも関わらず、その息は乱れてなく全身は返り血で赤く染まっている




元々銀髪であろう、その髪は真っ赤に染まっていた




その雰囲気を一目見ただけで、かなりの腕利きの戦士であると分かる




そして、今またその男はこちらの部族の戦士を一撃で斬り倒す




今回連れて来た戦士の中でも歴戦の強者の男だった




オレはその鬼のような剣技を目の当たりにして背筋が寒くなる




(これはマズイ・・・ このままでは戦の流れが向こうにいってしまう・・・)




その光景を見て、こちらの部族の戦士達の足が止まる




・・・・とその時、こちらの部族の輪から一人の戦士が前に出る




長身で色黒、手には大きな大剣を持ち、その鋭い眼光は真っ直ぐ、その赤い髪の大男を見つめる




女戦士『黒豹の爪』だ





大きく膨らんだ胸元や身体つき



明らかに女である『黒豹の爪』を見てその大男は怪訝な顔をする




しかし、その自分と同じ位大きな大剣を持つ女剣士の雰囲気を見て、一瞬でその顔を厳しいモノに戻す




「そうか、その大剣・・・お前がオレの叔父上を一刀両断したヤツか・・・」



独り言のように確認する




・・・大剣を持つ二人は引かれ合うように輪の真ん中に進み合う




その光景を周りの戦士と帝国兵は静かに見守る




お互いの剣の射程圏内までに近づく




「『黒豹の爪』だ」




女剣士は短く名乗る




「・・・・いい名だ。オレは『赤髪』ガエル・ド・リオンヌ。いざ参る!」





読了後の評価にご協力をありがとうございます^^


皆様の評価や感想を日々楽しみにワタクシ書いてました^^

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