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マタギの孫をなめんなよ!【書籍化】  作者: ハーーナ殿下
【下界 ヴェルネア帝国 侵攻】の章

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81/204

55羽:初めての戦場 ☆地図有り

後書きに地図があります


森の中を男達の集団が、急ぎ足で駆け抜けている




木などの障害物多く起伏のある道を、みな慣れた足取りで進む




大きな持っている武器や荷物の重さを感じさせない軽い足取りだ




その腕や足、胸板の逞しさから全員が屈強な戦士であり狩人だと推測される




また、何人かは戦士風ではない異民族の神官着を着た者もいた




大人数の急ぎ足だが、不思議と金属音などの騒がしい音はなく、不気味なほど静かに進んでいる




持ち歩く武器の刃以外には金属をなるべく使用しない装備




また、この規模の部隊であれば普通は必ずある、補給部隊である鈍重な輜重兵の荷馬車などもない



そして、小さい頃から聴覚や感覚が鋭い獣達を相手に生活しているので、自然と身に着いた歩行術なのであろう



とにかくその集団は静かに、そして素早く移動している




目的地地下近くに着いたのか、その集団は先頭の合図と共に停止し息を整える




すぐ向こう側に行くと広大な森が切れ草原が広がっていた






大砦を出発したオレ達は強行軍で森の中を駆け抜け、大森林と下界の切れ間に到着した




普段はあまり使わない最短ルートを飛ばして来たので、流石に強靭な体力を持つこの部族の戦士達も息を切らしていた




しかし、今回は侵略を受けていた側であるので、とにかく時間が勝負だった




そんなオレ達よりも、更に先行していた偵察部隊から情報を聞くために、オレ達は下界を目の前にして小休憩している




偵察部隊・・・・・いくら軽装とはいえ、オレ達よりも早く森を駆け抜けて行く姿に驚きを隠せなかった




今回の部隊の総大将の女戦士『黒豹の爪』を中心に小隊長のオレと各隊の副官たち、そして偵察かから帰って来た『影足』が集まり作戦会議をしていた





「その情報が確かなら、今そのヴェルネア帝国とやらの軍隊は、友軍であるグラニス伯爵軍と、この先でにらみ合い対峙しているというのか」




黒爪ちゃんは確認をする



・・・・そう、今回はヴェルネア帝国という国が軍を興し侵攻してきたのだった




この大陸にある国々のひとつで、どちらかと言えば大きい部類にはいる国で、これまで度々近隣の国に侵攻して領地拡大をしているという




グラニス伯爵家が所属する王国も、度々侵攻を受けていて敵対している国だという




今回の兵数は帝国の総力戦という訳ではなく、ごく一部の軍団らしいが、それでも一伯爵家でしかないグラニス伯爵軍の数を上回っている兵数だ




その帝国軍が出陣した情報を、早めにキャッチしたグラニス伯爵軍が出陣し牽制していた




まだ当部族の直轄地である宿場村は無事だが、このまま帝国軍と伯爵軍が正面衝突したら、数に劣る伯爵軍が負けて帝国軍は領地内に侵攻してくるという




「ふむふむ、成る程なるほど。それならこちらは遊撃隊として帝国軍の側面か、背後から奇襲をかけるのがいいわね」




軍師が提案する




・・・・・そう、研究軍師『知恵の実』ことセリーナ・ベルガーちゃんも行軍に着いて来ていたのだった




研究としてなのか、軍師としてなのか分からないが、今回の戦の話を聞いて居ても立っても居られなかったのだろう




半ば強引にオレ達に着いて来てここにいる




でも、下界育ちの彼女の国の情勢の知識と、その情報解析能力は侮れないので今回は頼りになる





森林部族の偵察部隊が2年前から密かに制作していた、この近辺の地図と情報を見ながら作戦を立てている




「よしよし、偵察部隊は帝国軍の動きを見張りつつ、グラニス伯爵軍の司令官と連絡を取り合ってちょうだいね。・・・・出来ればこの辺の地形に帝国軍を誘い込みたいわ」



と地図を指さしながら指示を的確に出していく




・・・・セリナちゃんを中心にして、詳細な作戦が決まった




オレは休んでいる森の戦士達に声をかけ行動を開始する




(いよいよ戦が始まる)






ヴェルネア帝国 東部方面 侵攻司令官は、こちらの歩兵部隊に押されて後退していくグラニス伯爵軍を馬上から見て笑みを浮かべていた




「進め!ヤツらを皆殺しにしてこの肥沃な大地を蹂躙し奪い取るのだ!!」




と勇む部下に号令をかける




部下たちは戦の後の略奪を想像していたのだろう




みな目に野蛮な色を浮かべ我先にと進んで行く




『何年か前から、この伯爵領はお家騒動が有り、その力を失っていると聞いている。それにしても脆いものだ。今回この侵攻が成功した暁には、オレも中央軍での昇進もあり得るだろう』




と進む軍を馬上から見ながら、自分の明るい未来を想像する






帝国軍は後退していくグラニス伯爵軍を、追うように軍を進めて行く




相手は後退しているが士気は高く、深追いすれば激しい反撃もしてくる




それでも戦力差はある




『後は力押しで大丈夫だ』



帝国軍の司令官はそう判断し軍を進めている




彼とて帝国軍に所属し、数々の戦場を経験してきた



若干深追いしている兵士達もいて、陣形が少し長く伸びてしまっていたが、勝ち戦に浮かれ急ぐ兵士や各隊長達を諌めすぎても、士気が下がるので仕方ないので好きにさせていた





・・・・ふと右手を見ると深い森が広がっていた




『相変わらず気味の悪い森だ。

想像も出来ないような魔獣がいるとか、蛮族が住んでいて人間を食らうとか、いろんな噂があるが、見るだけで背筋が凍るな』




幼い頃から昔話のように、大森林の怖い話を聞いていた指揮官はそう感じた




ん?




その森の奥で何かが一瞬光った




『何だ今のは?』




そう思ったと同時に、隣にいた副官が落馬する




その首元には矢が刺さり絶命していた




同じように次々と矢が刺さり倒れていく周りの兵士達




そこで理解した



大森林の森の中から矢を放たれていたのだ




(まさかこの遠距離で!)




突然横から奇襲を受け混乱する帝国軍




「敵襲だ!森に向けて陣形を立て直せ!盾隊前へ!」




見ると金属鎧を着た騎兵達も、その矢に貫かれている




(馬鹿な、この距離で金属鎧を貫くとは!?)




信じられない破壊力だ




(くそっ、何だこの矢は!しかも陣形が伸びきって各隊の動きが遅い)




そう思ったのも束の間、今度は後方から叫び声が聞こえる




後方からも敵襲を受けたのだ



(くそっ、どこから湧いてきたのだ!)




本陣の兵士達に矢の射程圏内から逃れ、森から離れ陣形を整えるよう指示をする




しかし、中々兵士達は言うことを聞かない




武器を捨て逃げ出す歩兵達もいる



突然襲い掛かる強力な矢の斉射と、後方からの奇襲を受けて混乱する帝国軍本陣




司令官は矢を逃れ、近衛兵を率いて後方に向かう




(後方の敵を壊滅させ、軍を立て直せれば!)




・・・・そこは異様な光景だった



決して大軍ではない敵兵に、こちらの後方部隊が一方的に惨殺されていたのであった



鎧ごと真っ二つにされた騎兵、身体の右半分が潰された原型を留めていない歩兵、一撃であろうか 首を見事に跳ねられていた兵士達の死体がそこに横たわる




後方を奇襲した相手は歩兵の小隊だった




「敵は少数だ!何をしている、囲んで押しつぶせ!!」




残っていた兵士達と、本陣から引き連れて来た近衛兵に指示する




(それにしても見たことのない鎧や武器を持ったヤツらだ。グラニス伯爵軍の伏兵か!?)




そう思い自ら槍を持ち直し愛馬の足を進める




目の前には敵の指揮官らしい、周りに大声で指示をする大男がいた




(このまま踏み潰してくれる!!)




そう思い騎馬の足を速める




「死ね!!」



正面から重量感のある軍馬ごと体当たりする




その大男はそれを素早い動きで躱す




(ちっ、ならば槍で串刺しだ!)




しかし、その鋭い槍先も寸前で躱される




間近に対峙し、相手の顔がよく見える




日焼けをした色黒の長身の・・・・




『女だと!』




そう叫ぼうとした瞬間、指揮官はその大女の大剣によって真っ二つにされていた







奇襲を受け、指揮官を失い敗走する帝国軍の兵士達




更に前方では、その奇襲に合わせたように、後退していたグラニス伯爵軍が向きを変え、帝国軍に激しい攻撃を加えてくる




敵の弱い部分を見つけ、突撃の陣形を以て切り裂く




その攻撃のなんと激しいことよ




グラニス伯爵軍の先頭を駆ける青年騎士を筆頭に、次々と帝国兵に襲い掛かっている





本陣が謎の奇襲により敗走し、後方も壊滅、前衛部隊も強烈な反撃を受けている




『皆殺しにされる!』




徴兵され異国の地まで来た帝国の兵士達は、蜘蛛の子を散らすように敗走し、また投降する者も出ていた




オレはその様子を森の中から眺めていた




(これが本当の戦か・・・・)




1回の突撃、矢の斉射で、多くの命が一瞬で消えていく様子に、何とも言えない高揚感と恐怖が混在する





しかし、感傷に浸っている場合ではない



傷を癒し、軍を再編し補給を済ませた敵は、いつまた侵略してくるか分からないのだ




「よし、みんな!これより追撃戦にかかる!侵略者に容赦はするな!!」




オレは自分を鼓舞するように、そう叫び平原に飛び出して行く


主人公の情報内での地図です

今後話が進んでいく内に情報量が増えていきます

測量技術が発展途上なので正確さに欠ける地図になります



挿絵(By みてみん)

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