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マタギの孫をなめんなよ!【書籍化】  作者: ハーーナ殿下
【大森林 大砦】の章

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52羽:大森林を巡る、めぐる


オレの年に1度の貴重な休暇が終わった・・・・





休暇は3か月間といっても、大自然豊かな大森林の中を歩いて行くので、殆ど移動時間が占めていた




特に今回は下界の人間である研究軍師『知恵の実』セリナちゃんも一緒だったので、移動に時間がかかった




実はセリナちゃんは意外と体力があり、歩くスピードも速い



大砦の自分の部屋に引きこもりなイメージがあったが、森の研究などで普段から歩き回っていたらしい




しかし、何にでも興味を持つセリナちゃん




「おー、これは素晴らしいのだ!大砦近辺にあまり生息していない『毒壺の花』の亜種ではないか。流石は大森林は宝の山だ」




と、珍しい植物や獣を見つけては大はしゃぎで足が止まる




下界から閉ざされた大自然は、未知の宝庫と言っていい



オレが小さい頃に、教育係りである『流れる風』のオッサンに連れて行って貰った、秘境の滝壺に行った日には、何日もそこで野営した



「ここは・・・不思議な場所だ。森が濃いといか、体の奥に力がみなぎるというか・・・・」



黒爪ちゃんも、その滝壺は腕利き戦士として何か感じる所があったのか、えらくお気に入りだ



なんでも、セリナちゃんに聞いたところ、そこは森の精霊色が非常に濃い所で、研究対象として非常に有意義な場所だったらしい


オレも目の保養ささせて貰ったので何も言うまい




そういえば、今回の旅はオレとセリナちゃん、そして女戦士『黒豹の爪』の三人で行った




本当は女2人で行く予定だったらしいが、同じく休みのオレが予定もなく暇そうだから誘ったとう事だ





一応上官の二人に、嫌々で最初は連れてこられたオレだが、



『幼い女の子だけど妙にギャップが可愛いセリナちゃん』に、



『大柄で筋肉隆々だけど、ナイスバディーで露出度が高い黒爪ちゃん』



二人との旅は快適で楽しい旅だった




内緒ですが滝壺の水浴びシーンなどでは、素晴らしい光景を見させて頂きました




そのうち『三人で仲良く水浴びや、添い寝なんかも・・・』



というオレの甘い期待もあったが、軟派な男に厳しい黒爪ちゃんに何度も頭を殴られ、オレはその甘い夢は諦めていった





それでも、オレもここ数年は大村や大砦にばかりいたので、昔みたいに大森林の中を旅して歩き回るのは本当に楽しい




そういえば、旅をしていて気付いた事があった




以前は森の中は獣道みたいな道が当たり前だったが、今では村々を結ぶ道が少しづつ整備されていた



森の木を切り過ぎない程度に道を広げ、地面の土を固めた程度だが、荷車などが通れるようになっていた




なんでも、下界の直轄村から穀物や保存食などの生活物資が各村々に運び込まれ、


また、森の村からは特産品などが大村に集められ、下界に行き食料と交換をする為に整備しているのだという




そのお蔭もあってか、見た感じで各村々の食生活が向上していた




前にも言ったような気がするが、大森林の村々での食生活は厳しいものがあった




獣の狩りや樹の実採取などが食事のメインであり、天候気候に左右されやすく、凶暴な獣や魔狩りが獣により狩りが出来ない時もあった



子供たちはいつも腹を空かせていて、オレも幼い頃お替わりが出来ずにひもじい思いしていたのを思い出した




それがどうだろう



森の旅の途中途中は、道沿いの村に狩ってきた獣を土産に、寝床をお世話になる事が多いのだが、そこで出された歓迎の夕食は質素ながらも充実した内容であった




定番の肉きのこ菜鍋に加えて、穀物を練り焼いたパンのような料理や、乳製品を加工した保存食もあった




村々の子供たちも、オレの昔の記憶に比べて血色も良く、身体も大きく成長していた




聞いたところでは赤子の出産数なども増えていて、大森林全体で人口が爆発的に増えていくと思える



下界との交流は、2年目に獅子姫様とオレ達が始めたこの制度だが、今のところ上手くいるように感じた




それでも、相変わらず基本的に貨幣は流通していないので、物々交換が主体だがそれで物流や経済が順調に回っているように変化している




『下界の悪影響が出ないかとい問題』



しかし、生まれた時から森と生きる事を大事にする部族で、生活は相変わらず森と共存し大丈夫そうだった



それでオレは、ここは文明に毒されず、このまま変わらないでいて欲しい気持ちもあった







そういえば、今回の旅の目的地である『山村』にもちゃんと行った




女戦士 黒爪ちゃんの故郷だ




その名の通り、オレの育った辺境村とは違い、森の中でも山側に近い村だった




村のすぐ裏には山穴族が住む鉱山もあり、そこでは、この大森林の部族が使う武具などの金属は彼らによって掘り起こされている




山穴族が住む土地はやせ細っていて食料があまり取れず、代わりに鉱石が豊富にある




森の民は彼らに食料と獣から守る警護兵を供給し、代わりに山穴族から鉱石や鍛冶職人を借りていたのだ



その山穴族との交流の窓口は、黒爪ちゃんの故郷である山村の部族が担当になり、また山穴族の警護の多くもその山村の戦士達が役職に就いていた




鉱山でとれた鉱石の多くは山村を経由し、この大森林最大の村である『大村』まで荷車で運ばれている



それとは別に、山村にも多くの鍛冶職人たちが住み、武器や生活道具を作っていた




何でも最近は下界からも多数注文があるようで、山村全体が活気のある金属音と刺激のある匂いで充満していた




「おー、ここが山村なのか!噂には聞いていたが森の中の村々とはまったく雰囲気が違うのだな」



これまた、初めて来る村で大興奮のセリナちゃん




数年ぶりの帰郷で実家に挨拶に行く黒爪ちゃん




オレやセリナちゃんも行く所なないので、一応着いて行く





家族総出で出迎えだ



代々戦士の家系である黒爪ちゃんの家族は、父親、兄たち皆大きく逞しい




「お前もいい歳だ。誰かいい男は見つかっていないのか?」



と黒爪ちゃんの怖そうなお父様が聞いている




「大砦の男どもは皆な軟弱が多くてな。今はオレの目に適う戦士はいない。今は・・・」



と、黒爪ちゃんは何故かオレの方をチラリと見て父親に答える



(オレにそんな視線を向けられても。オレの方が背は小さいし、筋肉も負けてるし。前に黒爪ちゃんが言っていた『理想の戦士』からは程遠いからな)




・・・・その夜は久しぶり娘の帰郷で、親戚一同が集まり宴で大いに盛り上がる




みんな飲めや歌えの大騒ぎで賑わう




16歳になり、年齢的に一応成人になったオレだが、まだ酒の美味しさはあんまり分からない



でも、上司の家庭に呼ばれているのだから、お付き合いでも飲まない訳にはいかない




山村の部族が好む山穴族秘伝の強くて美味しい酒を、黒爪ちゃん一家と共に皆で飲んだ



注がれたら杯を空ける、空けたら相手に注いであげる



延々とこれの繰り返しの飲み会だ




(・・・・うーん、やはり何杯カメを空けても味も酔いも分からない)



ん?




気付くとオレ以外の、黒爪ちゃんの怖い父親や兄貴たち全員が酔い潰れて床に寝ていた




(飲み会にオレが参加すると、最近こういう事が多いな・・・・)




オレは一人寂しく部屋に眠りに行く






朝になる




何故か、その次の日の朝から、妙に黒爪ちゃんの父親に気に入られた




『あれだけ、酒を飲めるとは気に入った。どうだ、うちの娘を嫁に貰ってうちの跡継ぎになれ』



とお誘いを受けた




しかし、大都会生活を夢見るオレとしては丁重にはぐらかした




そして、顔を真っ赤にして照れている黒爪ちゃん達と、共に山村を後にする





帰り道に



「毒素のある魔獣の肉を食べたり、酒に強い山村の男達を飲み負かしたり、お前の体はどうなっているんだ」




と黒爪ちゃんに突っ込みを入れられた




が、オレは聞こえないフリをして、森の中を急いだ






そういえば、帰り道に久しぶりに、オレの生まれた村に立ち寄った


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