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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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『君を一生離さない』と抱きしめてくる王子の腕力が【ゴリラ並み】だったので、物理的に骨が折れましたが、即座に完治させて追いかけました。

作者: 唯崎りいち
掲載日:2026/03/04

 転生者の私の、婚約者だった王子が街を襲ったゴリラ型のモンスターを倒したら、呪いでゴリラ並みの腕力になってしまいました。


 お救いしたいと思っている、私は健気で純真な聖女です。


◆◇◆



「ありがとう、聖女! 君を一生離さない」


 王子が感極まって私を抱きしめます。


 バキバキボキッ


「あぎゃー!!!」


 両腕と肋骨が数本、折れました!


「す、すまない、聖女。またやってしまった」


 王子は本当にすまなそうに青ざめています。


 でも、私の聖なる回復力で折れた骨は一瞬で治すことができます。


「大丈夫ですよ、王子」


 私は王子の前に両手を広げて、なんともないことをアピールします。


「さあ、もっと抱いてください! 王子のことならいくらでも受け止めます!」


 私の言葉に王子は感動して……


「ヒイいいィィ! 怖い怖い怖い! 骨を折られたのに向かってくる。サイコパス怖い!」


 壁際の隅っこで怯えて震えています。


「骨を折られたのは私ですから、怖がるのは私です」


「じゃあ、怖がってくれ! 怖がらないのが怖い!」


「怖がらなくても大丈夫ですから、私」


「話が通じない、怖い!」


 なぜか王子はプルプル震え続けます。


◆◇◆


 バキッ


 またスプーンが王子の握力の前に折れました。


「諦めて私に食べさせられてください、王子」


 王子が意地を張って自分で食事をとると言ってから、何十本のスプーンが無駄になったことか。


「他の者は……」


「王子を怖がって近寄ってきませんよ。私以外は、ちょっとでも皇子が触れるようなことがあれば、本当に死にますよ?」


 プルプル震えた後で、王子は諦めて私の手から食事を取った。


 怯えて青ざめながら食べる王子。


「王子が風邪を引いた時は、いつもこうやって食べさせてあげてるじゃないですか?」


「……普通の子だと思ってたから……」


「わあ、私、今は王子の特別な子になったんですね……!」


「……そんな事は言ってない」



 食事の後も王子はテーブルの前から動きません。


 危険すぎるので部屋から出るなと言われていて何もする事がないのです。


「私のこと、抱きしめてみます?」


 王子の前で腕を広げます。


「ヒイイィィ! なんで骨を折られて平気なんだ……!」


 王子が怯えて震えています。


「一生離さないって言ったんですから、慣れてください」


「む、無理だ! ゴリラの腕力で君を抱きしめたら、骨が折れるだけじゃ済まない! これから呪いでもっと腕力が上がっていくのに、君を抱きしめ続けるなんて出来ない!」


 王子は辛そうに言う。


「王子、安心してください! すでに、骨が折れるだけで済んでません! 内臓破裂してますが、そっちは速攻で治してるだけです!」


「え?」


 王子は呆気にとられる。


「私を抱きしめて、内臓の破裂音をよく聞いてみてください!」


「き、聞きたくないィィ!!」


 王子が逃げ出します。


 慌てて掴んだ椅子とテーブルは粉砕され、ドアノブもひしゃげて開けられなくなりました。


 王子に逃げ場はありません。


「ヒいいィィ……」


 怯え切った王子に私は提案します。


「王子が私を抱きしめて、私が回復出来なくなったら身を引きます。腕の骨が完全に折れて回復出来なければ、負けを認めましょう」


 私は王子の前に身を捧げました。


「……!? わ、わかった……!」


 王子は戸惑いながらも、意を決しって私の身体に手を回します。


 ——いざ、決戦の時です!


 バキバキバキバキ!


 パン


 骨の折れる音と内臓の破裂する音が聞こえます!


「ヒイイィィ! 怖い怖い怖い!!」


「あぎいいいいいィィ」


 私は、直ぐに身体を回復させます。


 でも、王子は私を離してくれないので、回復したそばから、骨が折れて行きます。


 バキバキバキバキ!!


 王子の目に涙が浮かんで来ます。


「も、もう嫌だ、聖女を傷つけたくない……!」


 バキバキ!!!


「王子! よく見てください! 私は全く傷ついていません!!」


 折れた骨を再生する以上の回復力が私の身体から溢れて、私と王子が光に包まれます。


 ……光が消えた後も、ギュッと王子が力いっぱい私を抱きしめます。


 でも、それだけです。


 ——骨は折れません。


「まさか……!」


「……多分、私の回復力が限界を突破して王子の呪いまで解いてしまったのかと……」


 王子の顔が明るくなります


「や、やったー! これで聖女を普通に抱きしめられる! 君を一生離さないよ!」


 王子が私の身体を抱きしめてくれます。


 王子の腕が優しくて……。


 ……虫が這っているよう……!


「うひゃあああ! やめてください! くすぐったいです!!」


 王子は私を離してくれました。


「せ、聖女……!?」


「……王子、骨が折れるくらいが気持ちいいですね」


 王子は青ざめています。


「怖い怖い怖い!!!!!」


◆◇◆


 王子は私をもっと強く抱きしめられるように筋トレに励んでいます。


 応援する、私は健気で純真な聖女です。


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