天国にいけない二人
1話完結です
小学生の男の子のお話です!!
キーンコーンカーンコーン
「はーい今日の授業はおわりー、終礼は、めんどくさいからいいや。みんな好きに帰って〜」
「はーい」
今日でこの適当な教師を見るのは何回目だろうか…時は少し前に遡り一ヶ月前。それはある日突然発表されたものだった。その日俺は休日だったがここはド田舎の孤島なので特にすることもなく、ボーッとニュースを眺めていた。ちなみに、なんでニュースかと言うとこの島のテレビは一番組しかつかないクソ回線だからだ。
『こここ、こ、こ、ここで情報が入りました…』
ニュースでよく見るお姉さんが今まで見たことないくらい噛み散らかしていて何事かと思ってテレビに釘付けになっていたら噛み散らかしたことなんて比にならないレベルのことがお姉さんの口から飛び出た。
『え、えーと、い、今地球に、きょ、き、巨大隕石が迫っているとじょ、情報が…一ヶ月後に、衝突とのことで、す…』
「あらー、地球ヤバいわねー」
隣に座ってた母さんがクソ軽い口調で喋っている。口調が軽い理由は、この島では天国の存在は確かだとかいう伝えが広まっていて、みんなそれを信じきってるからだ。俺もその考えを信じている一人なので、今から天国のご馳走が楽しみだ。…まぁ、こんななーんにもない島にいたら生への執着など消えてしまうのも理由の一つかもしれない。その日以降、もともとゆるーいムードだった島の人たちは今まで以上になまけたりするようになった。
そして隕石がくる2日前になって今に至る。
「もうちょっとだねん、山田くん」
山田とは俺のことだ。このウザったらしい口調で話しかけてくるのは後ろの席でいつもちょっかいをかけてくる女子…だったら良かったがこいつは普通に男だ。名前は佐藤。
「ねーえー、無視すんなよ」
「いでっ」
無視をきめこんで背を向けてると頭をグギッと、良くない音を鳴らしながら回された。この馬鹿力クソ男…
「ね!今日も一緒に帰ろ!山田くん!」
「謝りもしないのかよ…普通に痛かったんだけど……」
「あはっ、ごめーん!それより〜早く帰ろっ!」
腕を引っ張られ無理矢理立たされる。
「はーい帰りますよー山田くーん」
「い"だっ、おい、!ほんとにやめろ!」
なんでこいつこんな力強いんだよ
今日もなんもいない何もない山道を歩く。後2日でこの景色も全部消し飛ぶのかと思うとよくわかんない気分になる。現実味が無さすぎて。
「あっ、猫だ」
道に猫が飛び出してきた。可愛い。
「ほら、見ろよ佐藤。三毛猫だ、可愛いなぁ」
人懐っこい猫で足元まで擦り寄ってきた。それが可愛くて撫でていると佐藤が無言で近づいて来てその猫を抱え上げた。
「こんな畜生が好きなの?山田くんて」
「畜生ってなんだよ、そんなに猫嫌いだったのか?」
言い方に違和感を覚えて聞いてみた。こいつが汚い言葉を使うのを聞くのは初めてだったから。
「うーん…前まではなんとも思わなかったけど…今とんでもなく嫌いになったよ」
「はぁ?」
何を言ってんだコイツ?ついに頭おかしくなったのか?
「…」
さっきの発言の意図が汲み取れなくて何も言葉が出てこなかった。
"ニャー!"
鳴き声がして、猫に目をやると佐藤の腕の中で暴れていた。
「っおい!そろそろ、離してやれよ」
佐藤の腕を引っ張っていると、猫はスルリと佐藤の腕を抜けて走り去って行っていた。
「…なぁ、佐藤。お前さ、なんか…」
変だろ…
「帰ろ、山田くん」
結局、感じた違和感については何も聞けなかった。
翌日、隕石がくるまで後1日。つまり明日世界は終わる。流石に今日は休みで、各々好きに過ごせとのこと。好きに、というが家でやることがないので、外に出る。夏なのですごく暑い…
駄菓子屋やってるかな…アイス食べたい…そう思いポケットの小銭を数えてると後ろから耳に息をかけられた。
「うわぁ!?」
びっくりしてガバッと後ろを向くとニヤニヤしたあいつがいた。
「やほー山田くん。もう終わるねん」
いつも通りウザいが、昨日の違和感が無くて安心した。
「あぁ、そうだな。まぁ、終わっても俺もお前も天国で幸せに過ごせるんだからいいじゃん」
「…天国かぁ…山田くん、天国行きたいの?」
至極当然のことを聞かれてちょっとふいてしまった。
「行きたいに決まってんだろ。知ってるか?天国ってご馳走たくさんでるらしいぜ」
「ふーん、そーなんだ!知らなかった!」
いつもと違い素直にビックリしてるコイツは初めて見た、それに俺は気分をよくして、こんなことを口走っていた。
「最後なんだし、今日は一緒に遊ぶか?」
「え!いーの?やったぁ!」
思った倍以上喜んでいた。正直そこまで嬉しいか…?
遊んでいる途中、またあの猫が出て来た。
「…また来たね、あいつ」
「あいつって、可愛い猫じゃないか」
この前の人懐っこさが嘘のように距離を置いてくる。俺なんか悪いことしたかな…
しばらくすると猫は佐藤を睨むように一瞥してスタスタと去ってしまった。
「…猫って、勘が鋭いんだね!」
「はぁ?」
最後の日になっても、コイツのことは理解できない。
夜。おそらく最後の。佐藤と二人でその辺の草むらで星を見る。
「山田くんは、天国に行きたいんだよね?」
「ん?うん」
「残念だけど山田くんは天国に行けないかも。」
佐藤は、星を見上げたまま言う。
「ねえ、僕さ、山田くんが天国に行くの、嫌なんだ」
冗談っぽい声だった。
「だってさ!天国なんて行ったらみんな優しくてきっと僕のこといらなくなるでしょ?忘れるでしょう?」
俺は笑って返そうとした。
「何言って――」
佐藤は、俺の言葉を遮るように続けた。
「猫も人も天国も全部嫌いになったよ!…山田くんを取っていくから」
沈黙。遠くで、低い音が鳴る。
佐藤は、やっと俺を見た。
「だからね僕、決めたんだ!山田くんがどこにも行けないようにするって!」
佐藤が俺の手首を掴んできた。
「や、やめ、」
必死に振り解こうとしても、解けない
「大丈夫!僕がいるよ、山田くん!」
こんな疎い初心者の小説を読んでくださってありがとうございました!!




