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魔王と勇者の禁断の恋 ~異世界の悲恋譚~  作者: nekorovin2501


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第一幕の第3話:隠された子

異世界エテルニア大陸の人間界、王都アルティアから少し離れた森の奥深く。「隠れ里」と呼ばれる小さな集落は、勇者エリシアの幼馴染である老女・ミリアが住む場所だった。古い木造の家が点在し、周囲を高い木々が囲み、外界から隔絶されている。ここは、昔から王宮の秘密を預かる者たちの隠れ家。エリシアは、夜の闇に紛れて馬を走らせ、この里に到着した。腹部が目立ち始め、軽い鎧の下にマントを羽織って体を隠している。息を切らし、ミリアの家の扉を叩く。「ミリアおばあ……助けて。」

ミリアは白髪を束ねた老女で、かつて王宮の侍女だった。扉を開け、エリシアの姿を見て目を丸くした。「エリシア……お前、まさか……」 エリシアは家の中に入り、暖炉の前に座り込んだ。マントを脱ぐと、膨らんだ腹が露わになる。「妊娠したの。相手は……魔王ヴォルドラン。」 ミリアは息を飲み、すぐに冷静になった。「わかった。まずは体を休めなさい。ここなら、王宮の目も届かない。」 ミリアは薬草を煎じ、エリシアに飲ませる。温かな湯気が立ち、部屋にハーブの香りが広がる。

エリシアは涙を浮かべ、すべてを語った。城での出会い、仮面舞踏会の舞い、霧の森の密会。そして、魔の力が混じった妊娠。「この子は、魔と人のハーフ。生まれたら、世界が変わるかも知れない。でも、王宮にバレたら……殺されるわ。」 内面の恐怖と愛情が交錯する。ミリアは静かに聞き、頷いた。「お前は勇者だ。だが、母でもある。ここで産め。子を預かるのは、私が引き受ける。名は……アレンとしよう。強い子になるように。」 エリシアは頷き、手を腹に当てる。「アレン……あなたのパパは、優しい魔王よ。」 子が動くのを感じ、微笑む。

数ヶ月が過ぎ、エリシアの腹は大きく膨らんだ。隠れ里での生活は、静かで穏やかだった。ミリアの世話で体調を整え、時折ヴォルドランと影の魔法で連絡を取る。影が剣に浮かび、ヴォルドランの声が響く。「エリシア、無事か。我の子を、守れ。」 エリシアは涙を拭い、応じる。「大丈夫よ。でも、会いたい……」 二人は影を通じて、互いの温もりを確かめる。ヴォルドランの魔力が、エリシアの体を優しく包む。子への愛が、伝わる。

出産の日が来た。嵐の夜、隠れ里の家で陣痛が始まる。ミリアが助産婦を呼び、エリシアは痛みに耐える。「あぁっ……!」 汗が滴り、黄金の髪が乱れる。ミリアが手を握り、励ます。「もう少しだ、エリシア。強く!」 女神の加護が光り、影の力が混じって部屋を照らす。やがて、赤ん坊の泣き声が響いた。男の子。アレン。黒い髪に、赤みがかった瞳。肌に薄い黒い紋様が浮かぶ。「魔の血……でも、可愛いわ。」 エリシアは子を抱き、涙を流す。ヴォルドランの影が現れ、子を見つめる。「我の子……美しい。」 影を通じて、ヴォルドランは誓う。「この子を守る。人間界で育てよ。我の力は、子に宿る。」

エリシアは子を抱きながら、決断した。「アレン、あなたは私の子として育つわ。勇者の血を引く英雄に。でも、真実は、いつか伝える。」 ミリアに子を預け、エリシアは王宮へ戻る準備をする。別れの時、エリシアはアレンの額にキスをし、涙を堪える。「ママは、戦わなきゃいけない。でも、愛してるわ。」 アレンは小さな手で、エリシアの指を握る。魔の力が、少しだけ目覚め、影が揺らぐ。「この子、強いわね……」

王宮に戻ったエリシアは、仲間たちに「長期の偵察任務で体調を崩した」と言い訳する。リリアは心配げに、「エリシアさん、痩せたわね。大丈夫?」 ガルドも、「最近、影の力が強くなったよな。あれ、魔王の影響じゃ……」 エリシアは笑って誤魔化すが、心の中で思う。「秘密が、漏れそう……」 王はエリシアを呼び、魔王討伐の最終命令を下す。「勇者よ、魔界へ侵攻せよ。魔王の首を取れ。」 エリシアの心が痛む。「ヴォルドラン……アレンの父を、討つなんて。」

サブプロットとして、魔界の反乱が激化。ヴォルドランのライバル魔将が、クーデターを画策。「魔王は人間女に心を奪われ、弱くなった。俺が魔界を統べる!」 スパイが人間界に潜入し、アレンの存在を探る。隠れ里の近くで、怪しい影が動く。ミリアは気づき、警戒を強める。「この子を守らねば……」

エリシアは王宮の自室で、独り涙を流す。「この子を隠した代償は、大きい。でも、愛のために……」 第一幕の終わりは、子の誕生と別れの悲しみを描き、物語を次の段階へ移す。戦争の足音が、近づいていた。

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