あとがき(めいたもの) 拾遺スーパーヒロインズ!
当シリーズの前身は『スーパーヒロインズ! 八雲たつ霜月十一日』でした。小説を書く講義の最終課題に出した、問題作です。安達太良まゆみ先生の誕生日に騒動が起きて……というありふれた内容だったのを覚えています。
僕は、青春にどこか不満を感じていたのです。なんだってやり遂げられる若さをもちながら、現実にちょっと頭をぶつけただけで、世間に、他人に、自身に怒りを抱いておりました。
「日本文学課外研究部隊」は、僕のサークル活動で本当にしたかったことを詰め込みました。楽しかったはずなのに、あの時こうすればもっと面白くなっていたのではないか。こんな風にしたい! を仲間と顧問にうまく伝えていたら、より素敵な毎日を送れたのではないか。僕は後ろ向きな性格ですから、未来だけを見て進むことが苦手なのです。
『拾遺スーパーヒロインズ!』には、テーマが二つあります。「別れ」と「始まり」です。各話について、何が「別れ」で、何が「始まり」かを探すのも、拙作の楽しみ方です。
ちなみに、前作のテーマを一覧にしますと、
『スーパーヒロインズ! 神無月に集ひて』
→「非ヒロインがヒロインになるまで」
『スーパーヒロインズ! 霜月に参る』
→「将来」と「秘密」
『スーパーヒロインズ! 師走に起きよ』
→「本物と偽物」と「真実」
『スーパーヒロインズ! 卯月には障りありけり』
→「人の心は不要なのか」
『スーパーヒロインズ! ものぐるほしきことども』
→「なんの変哲もない日常」
『続スーパーヒロインズ!』
→「成長」と「絆」
です。もし国語のテストに使われた際、それなりに問いが作れるように、各話、無い頭をどうにか回転させて書いてまいりました。
主人公は、学生と教師です。それぞれの代表は、大和ふみか、安達太良まゆみ、としています。「ふみか達がスーパーヒロインになるまで」「まゆみがアヅサユミを継ぐまで」を、五十四話かけて描いてきたのです。
教師といえば。当シリーズに「呪い」が異能として出ています。最も強力な「呪い」は、教師ではなく学生が行使しているのですよね。成熟していない学生が、とんでもない力を持っている。教師には、彼女達の不安定さ、頼りなさを受け止めて、学生が思う「正しさ」へ導く存在であってほしい。そんな僕の願いを、日本文学国語学科の先生方に託しました。当シリーズを読まれる際、学生と教師の関わりにも、どうか注目ください。
空満に住んでいるような心地になった十年間でした。
当シリーズの人物達は、完結後も懸命に生きています。僕は、彼女・彼らの日々をほんの一部切り取って文章にしただけです。ですから、別れは告げず、こう挨拶しましょう。
「また、会おうね」




