エンディングのあとに
「はぁ…はぁ……。」
振り下ろした剣は見事ゴブリンの脳天へと当たり、ゴブリンは動かなくなった。
「………死んだ、のか?」
倒れ込んで動かなくなったゴブリンを観察する。気のせいか…気のせいだとどうか信じたい。ゴブリンの手のひらには母さんがよく着ていたTシャツに付いているレースが握られていた。
そのレースも赤く色染まっていて、いなくなった母さんはきっとこいつに殺されてしまったのだろう。…許せない。そんな怒りの感情で動かなくなったゴブリンを睨みつけると、指先がピクリと動いた。
「お前!!!母さん…母さんをっ!!!!!!!!!」
奴がまた動き出す前に、俺は再び木刀を振り下ろして、2発3発と奴の頭が潰れるまで叩いた。
「……ぃ…がぁっ……!!…ぃ"ぃ"……。」
痛みで再び気を取り戻し、断末魔を上げるゴブリン。そんなことなんて気にもせず、ただ生きるために何度も剣を振り下ろす。赤い血が顔と体に跳ね返る。それでも振り下ろし続けた。
「はぁ……はぁ…。」
気づいた頃にはゴブリンの頭部は潰れていた。一体元は何だったのか、形がわからないほどに。
そんなゴブリンの残骸を見ても、突然変異してしまった世界と殺されてしまった母さんのことを考えるとただ俺は咽び泣いた。
叫んで、泣いて。涙も、悲しみも怒りも吐ききった俺はTシャツの胸元で余韻で溢れる涙を拭った。…母さんは、もういない。
これ以上襲われることはないだろうと思った俺は、階段を降りてリビングへと戻った。
「ピヨ!!」
すると、一羽の小鳥が先ほどの割れた窓から飛び出てきて、俺の周りを飛び回った。
黄色い毛並みのその小鳥は、気のせいか少しだけ光を放っていて、キラキラと俺の周りを照らす。
「わっ、なんだよ!!」
「ピヨ!!ピヨー!!!!!!」
なんだか小鳥は悲しそうに泣いていた。悲鳴のようなその鳴き声は不安感を引き上げる。
「ピヨ!!」
胸の内を掻き乱すその小鳥は、まるでこちらに着いてくるようにと先ほどゴブリンが侵入してきた割れた窓から庭へと出て行く。
着いて行くと、そこには母さんの服があった。レースのTシャツ。袖のレース部分は少し千切れている。服には、赤い血がべっとりと付いていた。
「かあ…さん……。」
あまりにも残酷で唐突すぎる現実に、俺はようやく世界の惨状を受け入れたんだ。




