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混沌としたこの世界の終わり方  作者: 恵澤エス
エンディングのあとに
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エンディングのあとに

初めまして。この小説は18歳の頃に私が見た夢から再現された物語になります。現実世界なのにかなりファンタジーで、この夢を見た当時の私はずっとドキドキワクワクしていました。

この気持ちを皆さんにも味わっていただきたくて、これを小説にしようと思い立った所存です。自分だったらどうするのか、どんな風になるのか。想像しながらぜひ読んでください。この物語の中だけは、あなたは制限なくなりたい自分になりたいようになれます。



「…………なんだよ、これ。」


俺は気がつけば漫画やゲームの世界で目にしたような大自然に囲まれていた。マグマを流す黒い火山に、高層ビルよりも高い青白く光を放つ大樹。


そして、微かに残ったかつての街の面影を破壊していく化け物たちがいた。



-数時間前


まだセミが騒がしい夏のど真ん中で青年は悩んでいた。勉強机に腰掛ける青年は白紙のノートを閉じて溜息を吐く。それから、触らないようにと思って机の引き出しにしまった携帯を取り出して、SNSを開いた。


都市消失。

目に入る文字はどこを開いてもそればかりだ。


2019年、オリンピックに向けて都市開発が進む東京が突如、大地震に襲われた後に地図から消えた。それから立て続けに大阪、愛知と都市部から順に同じように大地震が発生し消滅していった。そしてついに3日前に福岡までも消えてしまった。


なぜ消滅と言われるのか。東京に車や電車で向かえば大きな壁に阻まれ、航空機で向かうと気がつけば元の場所に返される。隣接する県から、空から東京に向かおうとしても何故か辿りつかない。挙げ句、東京にいたすべての人間が音信不通である。故に、消滅したと表された。


それでもなぜ政治が滞っていないのか、政府の陰謀だとか、次はどこだ、原因はなんだと世間では噂されているが新潟に住む青年にとってはあまりにも非現実的で、都市部の消滅よりも自身の進学についての心配をしていた。


-これじゃ受験どころじゃないな。


慣れた様子で携帯の文字盤をフリックタップする青年は、文字をそこまで入力して削除した。ネットなんて誰にどう文句を言われるかわからない。臆病な彼にはこんなことを言う勇気がないのだ。けっきょく何をする気力も起きず、勉強机が備え付けられている椅子から立ち上がると側にあったベッドへとダイブした。


「海里ー!!お昼できたわよー!!」


その時だった。下の階から母の呼ぶ声が聞こえた。

青年は怠そうに頭を掻きながら横になったばかりの体を起き上がらせる。


「…はーい。」


シンプルな返事だけをして、夏の暑さのせいか足取りが重く、いつもよりドアノブが遠く感じる。

青年は6畳ほどの部屋を横断して、ドアノブへと手をかける。そして、それを合図にしたかのように脳みそに急激な痛みが襲いかかった。


「……痛っ!!」


思わぬ衝撃に顳顬を抑えた青年、海里はしゃがみ込んでしまった。下からは母の催促する声が聞こえてくる。脳の内側の線がプツプツの切れていくような酷い痛みに、呻き声を上げるしかできない海里の意識が遠のきそうになる。

しかし、彼の意識が消え失せることはなかった。そう、まるで目を覚ませと言わんばかりに床が激しく揺れたのだ。


地震だ。この地震大国日本ではもはや珍しい出来事でもなくなってしまった。しかしこの揺れは"またか"では済まされるほどではない。おそらく震度5、もしくはそれ以上の揺れである。しゃがみ込む海里は近くの壁を支えにして、揺れに耐えた。


…母は無事だろうか、棚は倒れていないか、津波は、友達は…。考え出したら止まらない不安に襲われ、息が荒くなる海里。


それでも頭痛は地震と比例するかのように激しくなっていく。バタリバタリと部屋の中のものが倒れていく中で、幸い扉の近くにいた彼の周りには何も落ちてはこなかった。

体感5分、けれど実際には1〜2分の出来事だろう。地震が収まるころ、気づけばあれだけ酷かった頭痛も嘘のようになくなっていた。


荒れ果てた部屋で1人意識が朦朧としていた海里は、つい数分前まで自分を呼んでいた母のことを思い出す。


「…母さんっ!!」


階段を慌てて降りて、母のいたリビングの扉に手をかける。しかしリビングの扉に隣接されていた食器棚が邪魔をしてリビングの中へは容易に入ることができなかった。せめて、母の生存確認をしようと海里は扉を叩く。


「母さん!母さん!」




何度呼んでも、何度扉を叩いても母親が声を発することはなかった。海里はその場で為すすべもなく崩れ落ちる。


本編を最後まで読んでくださりありがとうございました。まだ前置きで私がなぜあんなことを言ったのかわからない方がほとんどかと思います。読み進めれば納得されるかと思います。ぜひ次もお待ちしております。

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