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第四十五話 雨の降る村

浜辺に船をつけた。

立ち並ぶ家々はくすんだ色で、灰色の空と同化しそうだ。

ぽつり、ぽつりと雫が頬に垂れ、伝う。


「雨が降りそうだね」


愛が空の仰ぎ、手ですくう。

確かに、雲行きがあやしい。


「もうぽつぽつ降ってきているぞ」

「早く雨宿りする場所を見つけるのです!」

「……大変」


俺達は慌てて船から降りると、早足に街の方へ向かう。

同じく足早に移動する村の人々の横を通り抜け、宿に向かう。

雨はどんどん降り始め、俺達は村の家の軒下で雨宿りをすることにした。


「降ってきちゃったね」

「はくしゅん!なのです!」

「大丈夫?」


くしゃみをしたキューを気遣うマメイ。

少し濡れてしまった。

バサバサが体をぶるると震わせて、雨雫を辺りに飛ばす。


「いくら強いアイでも、雨に濡れちまったら風邪ひくもんな」

「ひくよ!エギーだってそうでしょ?」


ざあああと雨音が響く中、横に一列に並んで雨を凌ぐ俺達。

雨具を身に着けた人々が目前を早足で通り過ぎていく。


「少し止むまでここにいてるしかないな」

「その後は宿を探さないとね」

「宝を換金すればどれ程高い宿でも簡単に泊まれ……あれ?」


エギーが体をまさぐる。


「鞄がない」

「鞄?」

「あっ、ほんとだ。ここに着く前に持ってた鞄がなくなってるよ」

「船に置き忘れたのか?」

「いいやそんなはず無い!船から降りる時に持ってた筈だ。中には宝箱に入っていた財宝が全部入ってるんだぞ、どうしたものか……」


エギーが困り顔で途方に暮れる。


「ここに来る途中で落としたんだとしたら、もう無くなってる可能性が高いよね。だって中身が中身だもん。私でも持ち去っちゃうよ」

「鞄丸ごと落としたですか?」

「鞄丸ごと……ちょっと、不可解」


マメイの言う通りだ。

鞄を丸ごと落とすへまなんてなかなかしない。

エギーもそんなおっちょこちょいなタイプじゃないはずだ。


「雨宿りですかね」


人んちの軒下で騒いでいたせいだろう。

家の中の人が俺達の様子を見に来た。


「実はそうなんです」

「じゃあわしの家の中に入りなさい。外は寒いだろう」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「「「ありがとうございます!」」」


優しい人だ。

俺達はお礼を言って、家の中に入った。

雨足はますます強くなり、屋根の縁からはぼたぼた水滴が垂れている。

机の周りを囲んだ俺達に、ことんと音をたててお茶の入ったコップが置かれる。

重ね重ね有り難いものだ。

エギーがお茶をすする。

少し落ち着いたようだ。


「さっきは何を騒いでいたんだね」

「それがですね。手に入れた宝箱の中身を入れたバッグが丸々無くしてしまいまして……落とすはずもないものなんですが、いつの間にか無くなっていたんです」

エギーが項垂れる。村人は、眉を潜めた。

「スリじゃないかい、それは」

「スリ?」


エギーがはっとした顔で村人を見る。

そういや、村人が沢山行き来する道を通ったな。

あの時にまさか……。


「大きな声で言えませんがね、この村はスリが多いんですな。スリの集団がいるから」

「スリの集団!?そんなのがいるんですか?」

「有名なんでね。人の多い大通りは気をつけなければならん」


やられた!という顔でエギーは再び項垂れる。


「せっかくルテンがくたくたになってまで見つけてきてくれた財宝なんだ。何とか取り返したい!」

「それじゃスリの集団の潜伏先に向かうしかないの」

「潜伏先を教えてください!」


エギーが村人に頭を下げた。

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