第四十四話 すっかり疲れて
それから何度も海底を行き来し、合計六つの宝箱を見つけた。
空の宝箱が一つを除いては、皆バルスや宝石、アイテム、お宝等が入っていた。
夕暮れになり、波に揺られるいかだとエギーがオレンジ色に染まっている。
俺はへとへとになっていた。
「体力的にも時間的にももう無理だ」
「そうだろうな。アイが夕食の用意をしてくれている。戻ろう」
エギーが大の字になった俺を乗せていかだで砂浜に戻る。
砂浜では、愛が魚を焼きながら俺達の帰りを待っていた。
「エギー!どうしたのそのネックレスとか指輪とか、宝物!」
エギーは、箱いっぱいに詰め込んだ宝を持っていかだから降りる。首には何重にもネックレスをかけ、指輪をいくつもはめている。
「海底で見つけてきたですか!?」
「そうだ。正確に言えばルテンがイルカに乗って海底を探索してきてくれたんだがな」
「ありがとうルテン……です」
キューがエギーの首からつけたネックレスを面白いものを見つけたかのように眺める。
ああ、そうだ。
俺は愛が焼いているまだ焼けてない木の枝に刺さった魚をいくらか貰うと、岩場に近寄り口笛を何度か吹く。
ざばりと波間から白いイルカが顔を出した。
今日一日宝探しを手伝ってくれたイルカだ。
俺は、イルカの口の中に魚を放り込む。
今日一日ありがとうな。
イルカは、嬉しそうに魚を丸呑みにしながらきゅうきゅう鳴く。
イルカがいなければ、海底の宝は手に入らなかった。
とても感謝だ。
「ルテンー!魚が焼けたよー!」
愛が俺を呼んでいる。
餌を全てやり終わり、じゃあなと俺はイルカに別れをつげると俺は愛達のいる砂浜に戻った。
「これだけお宝があればバルスに換金したらどのくらいになるかな」
「大金持ちになれるのです!」
「当分寝泊まりや装備に困ることはならないだろう。マメイも仲間になって人数が増えた分、バルスは多いにこしたことはない」
魚を焼いている焚き火を囲み、談笑するエギー達。
俺は魚に塩をふって食う。
今日一日動いたからか体中がみしみし言っている。
もう大方海底を探索しきったから、もう宝箱はないだろう。
俺は砂浜に大の字に寝転ぶ。
ふぅ、疲れた。
疲れた体を、バサバサがつつきに来てくすぐったい。
「この島の次に行く場所だが、海を渡ってこの大陸に進もう」
エギーが地図を取り出して、次の目的地について愛達と話し合っている。
「レイン村か、ここに行こう」
段々とエギーの声が遠くなる。
疲れた俺は見張りをしなければいけないことも忘れ、すとんと眠りに落ちた。
「…きろ、ルテン!ルテン!!」
誰かの呼ぶ声に、俺は目を覚ました。
見ると皆、次の冒険地に向かう準備万端だ。
俺だけぐっすりと眠りこけていたらしい。
俺は慌てて飛び起きると、身支度を整えて舟に乗り込む。
「遅いよルテン」
「悪い悪い」
「さあ先に出発なのです!」
「……ですね」
エギーと俺はオールを漕ぐ。
と、さっそく目の前にスクイッドが出現した。
魔物だ。
『スクイッドに遭遇しました』
「……任せて!」
マメイが前に出ると、指先に水を召喚し、イカに向けて飛ばす。
ぬめぬめとしたスクイッドの身体は真っ二つになった。
『2000バルス獲得。経験値獲得。墨を手に入れました』
流石マメイだ。強い仲間ができて頼もしい。
「強いねマメイ!」
「この調子で次の街に行っても大丈夫そうだな。ずっとアイにばかり頼ってたんだ。これからはマメイにも宜しく頼むぞ」
「強さには……自信があるから」
マメイは照れるように俯く。
全く強い女子が増えたもんだ。
俺は海を眺める。
と、船を追いかけるように白いシルエットが水面に写る。
イルカだ!俺はイルカに向かって手を振る。
「ありがとなー!」
俺の言葉が分かっているかのように、イルカはヒレをひらひらさせる。
イルカとはここでお別れだ。
そんな俺達を乗せた船は、次の街に向かってどんどん海の上を進んでいくのであった。




