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第三十話 捕まるキュー

「へえ、貴女がエギーの言ってたバンパイアね。私はアイ。格闘家だよ」

「見逃してくださりありがとうございますです。あわわわ」

「そんなに怖がらないでよ、大丈夫だから!」

「強いのです!二撃だったのです!」


愛を怖がるキューに、エギーが吹き出し、愛はエギーを睨む。

確かに強いもんな愛は。

俺もまさか二撃とは思わなかった。


「それよりもどうする。五十体のバンパイアがダンジョンで息を潜めているらしいぞ。今もどこかでいるんじゃないか」

「バンパイアは今、計画の為に一箇所に集まっているのです。危険なのです」


あっさりと仲間の情報を売るキュー。

おいエギー、本当にこいつと親密になっていいのか? 


「とにかく、このまま計画が遂行される前に都市の皆に知らせなくてはならないだろう」

「どうするの?」

「どうするですか!」


愛とキューに判断を迫られ、エギーはう~んと唸った後。


「とりあえず呼びかけてみるか」


といい、懐からのペンを取り出して、紙にバンパイア注意!と書く。


「ビラを配ったり呼びかけたりして、都市の人々に注意を促そう」


随分古典的な方法だな!






と、言うわけで俺達は都市キュラの中心部の広場に来た。

エギーは大きな紙にバンパイア注意の文字を書いて旗のように広げる。

俺はバサバサと共に通りすがる人々にバンパイア注意のビラを配るが、ビラはすぐに無くなって手持ち無沙汰になる。

愛は大きな声で通りかかる人々に警鐘を鳴らす。


「三日後に都市キュラを侵略すべく五十体のバンパイアが来ますー!危険ですー!夜の戸締まり必須ですー!バンパイア対策をしっかりしてくださーい!」


いや、こんな方法で大丈夫なのか?胡散臭いぞ。

通りすがる人々も好奇の目を愛達に向ける。


「ダンジョンに隠れているのです!三日後なのです!注意なのです!」


キューも大声で仲間を売っている。

というか、バンパイアに注意を呼びかけているのも十人殺したバンパイアだぞ!?おかしいだろ!俺の思った事は通りかかる人々も同じだったらしい、一人の男が立ち止まり、キューを指差す。


「バンパイアに注意も何も、その子はバンパイアじゃないか!?」


男の声に、今まで素通りしていた人が次々立ち止まる。


「きゃああああ!バンパイア!」


女性が叫ぶ。

何だか事態は良くない方向に向かいそうだぞ。


「キューは確かにバンパイアだけど、エギー様に血をちょっと貰うだけのバンパイアになるのです!もう人は襲わないのです!」

「バンパイアだ!」

「最近事件があったよな」

「相手は一人だ!取り押さえろ!」


民衆の目は一気にキューに向き、男達がキューを取り押さえにくる。

俺はキューの元に向かおうとした矢先に転び、大勢の人に踏みつけられる。

痛てててて!何でだよ!


「待ってくれ!キューは仲間だ!」

「そう!悪いバンパイアじゃないよ!」


愛とエギーがキューの前に立ち民衆を言い聞かそうとするが、二人もまた取り押さえられる。

悪いバンパイアじゃないってわけでもないんじゃないか?と思ったのは内緒である。


「お前達、バンパイアの肩をもつバンパイアの仲間か!?」

「違うのです!エギー様達はキューとは関係ないのです!」


今まで散々仲間を売っていたキューは、俺達を庇った。

なんだ、人を庇えるじゃないか。

そう思うもつかの間、エギー達は街の人々に取り押さえられ、キューもどこかに連れて行かれた。

呼びかける手段は明らかに失敗だったよな。

しかもキューを連れてだ。

場に残ったのは、俺である。

どうやらビラも持たずエギーや愛達と離れていたので仲間だと思われなかったらしい。

しかし、ビラを配っていたのがバレるのも時間の問題だ。

俺は何処かに連れて行かれる愛達を尻目に、隠れるようにその場から姿を消した。

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