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第二十九話 バンパイア達の企み

「静かに、誰かいるぞ!」


エギーも前方から聞こえる話し声に気づいたらしい。

同じ冒険者達だろうか、それとも……?エギーは俺と愛、バサバサに進行ストップをかける。

ダンジョンの扉の奥からそれは聞こえてきており、扉に耳を当てるエギー。

俺と愛も、エギーに続いて扉に耳を当てる。

冒険者であれば、こんなことをする必要はないのだが……。


「……それで計画通りだな」

「あと三日か。待ち遠しいな」

「我らバンパイアが街を支配する日がくるとは」

「もう少しだ、もう少し……」


我らバンパイアって言ったぞ。

やはり扉の先にいるのはバンパイアだ。

俺達は息をひそめる。

気になるワードが沢山あるのだ。

計画通りとは?街を支配?あと三日?何の事だ?


「既に五十体のバンパイアがこのダンジョンで用意してるようだ」

「間違いないか」

「都市キュラは吾輩達バンパイアが奪う。きっとだ」

「ここ最近タルンタルンという村も魔王の配下により陥落したらしい」

「吾輩達も後に続くぞ」

「そうだ。時間帯は深夜一時で良かったか」

「誰もが眠りにつく時間帯だ。就寝している者に忍び寄り根こそぎ殺していく」


都市キュラをバンパイアが奪う?タルンタルンの名が出るとは思っていなかったが、随分物騒な話だ。

この巨大都市を五十体のバンパイアで陥落させる?本気なのか?確か、タルンタルンの時に現れたニーズヘッグは千体程だった筈だ。

ちょっと無茶な計画のように思える。都市キュラはでかいじゃないか。


「でも夜中にひっそりと血を吸いに襲撃するような事を言ってるね。もしこの計画が実行されたら結構な被害が出るんじゃない?」


愛が囁く。

確かに、陥落はしなくとも死人がたくさん出る事件になる事は間違いない。


「我々バンパイアの名誉がかかっている。吾輩達も参加し、都市キュラを支配しよう」

「そうしよう」

「しよう、なのです!」


最後に聞こえた声にはっとした。

今の少女の声に聞き覚えがあったからだ。

エギーもまた動揺しており、扉の持つ手に力が入ったのか、扉がぱきりと音をたてる。


「誰だ!」


まずい、今の音に気づかれた!


「戦うしかないみたいだね!」

「そうだ、覚悟しろバンパイア!お前達の企み通りにはさせない!」


エギーと愛が扉を開けて前に出る。

案の定、バンパイアは三人いた。

一人は若いバンパイア、一人は少し年季の入ったバンパイア、そして、最後の一人は俺達の部屋に侵入した、キューだ!


『バンパイアと遭遇しました』

「キュー!」

「エエエ、エギー様?!」

「悪いが、この二人を倒させてもらうぞ」


キューがこちらの様子に気づいた時にはエギーが弓ネギを構えて、バンパイア二人に放っていた。

愛も老けたバンパイアの方に回し蹴りを放つ。

愛の回し蹴りを食らったバンパイアは吹っ飛び、壁にぶち当たり唸る。

続けて愛は止めのかかと落としをバンパイアに喰らわせ、霧散させた。


『3000バルス獲得。経験値獲得』


この間なんと一分も経たず、二撃!エギーの攻撃を食らったバンパイアが愛を恐れ、キューと共に逃げ出す。


「逃さないよ、エギー!」

「任せろ!」


エギーは弓ネギをぎりぎりと引いて、放つ。

飛んでいったネギは若いバンパイアの背中に刺さる。

続けて愛が飛び蹴りを喰らわせ、またエギーがネギを放つ。若いバンパイアは霧散した。


『3000バルス獲得。経験値獲得。レベルアップしました。』

「ひいい!お許しを!お許しをー!」

「キュー!」


エギーがキューに駆け寄る。

キューはまた地面に頭をつけて謝っている。


「エギー、知り合い?あっ、まさか昨日忍び込んできたバンパイアって……」

「そうだ、この子だ。キュー、今の話は本当か!」

「本当です!本当なのです!お許しをー!」


キューは地面から頭をあげない。

エギーはキューの元に膝をついて肩をたたく。


「キューは見逃してやる。しかし、五十体のバンパイア達は見逃してやるわけにはいかない。俺達はタルンタルン出身だ。俺達の村と同じようにされる計画には潰れてもらおう」

「見逃してもらえるですか!良かったです!感謝なのです!」


いや、仲間のバンパイアは皆殺しってエギーは言ってるんだぞ。

良くはないんじゃないか。

キューの仲間に淡白な一面に俺は引っかかる。

人型をしていてもやはり魔物か。

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