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第二十五話 押し売りに捕まり主人公

翌日、俺達はホロホロ森付近の村を離れ、次の村へと歩を進めていた。遠くに大きな建物が見えてくる。


「都市キュラだって。賑やかな町並みだね」


大きな広場に人が沢山あるいているのを指差し、愛が感嘆のため息をつく。

村というより、巨大な都市という感じだ。

その手には俺とエギーのレベルアップ修行するときにも食べていたスコーンのチョコレート味のものを持っている。

バサバサがスコーンにも興味を持ちつついているが、愛はあげないよー!とバサバサの猛攻を華麗に避けている。

木々を抜けた先に、大きな門があった。

門番らしき人が門を通り抜ける人々を監視している。

俺達も怪しい者ではないですよ〜と、門番の横を通り抜けた。


「ようこそ都市キュラ一番街の商店、キュラドラキルキルへ!」


折角レベルが上がったので、商店へ立ち寄り装備品を買おうという事になった。

エギーはまた弓を見ている。

矢はネギから変える気はなさそうだ。

一方、愛は衣服を見ている。

新しい衣服を手に取ると、試着室に入り数分後。


「どう!?エギー、ルテン君」


着替えた愛がオレンジを基調とした鮮やかな色合いのアーマーを俺達に見せに来た。

うん、いいんじゃないか。

エギーも感想を告げる。


「前のアーマーよりもサイズが大きいんじゃないか?」

「どういう意味よ!」

「決まってるだろ。食べ過ぎでサイズが……いてててて!悪い悪い。似合ってるよ、アイ」

「もう!からかわないでよ!」


エギーの奴は相変わらずだ。

二人のやり取りを見ていてもしょうがないので、俺はバサバサの餌を見に行った後、自分のアーマーも新しい物を見つけて購入。

やはり防御力は大事にしなくては。

だだっ広い店内と沢山の人が行き来する中、店の中央にスペースを設けたとあるコーナーが気になっていた。


“バンパイア対策!これであなたの身を守れる!”


バンパイア対策?周りを見渡して、どうやらこのコーナーが店の目玉だという事が分かった。

近くにいる店員に話しかける。


「バンパイア対策にはこのにんにく線香が一番!他にも、十字架アクセサリーやにんにく香水等などバンパイアが嫌がる物をなんでも取り揃えております!お客様、何方の商品をお探しで!?」

「いや、バンパイアが出るんですか?この街に」

「ああそうですよ。最近の一番大きな事件は、宿場に泊まっていた男性十人が、部屋に侵入したバンパイアに寝ている間に血を吸われてコロリ!血を吸ったバンパイアはまだ見つかっていないそうで!いやあ、怖いですね!今すぐにでも何らかの対策を講じるべきです!」


宿にバンパイアが侵入だって!?宿には魔物の脅威はなく安全な場所とばかり思っていたが、この街じゃそうはいかないのか。


「宿の部屋に出たのは最近の話ですからねー。今までで前例の無い話ですから随分騒ぎになってますね。この街は他の街よりバンパイアの出現率が高いのですよ。だからこうして対策用の商品が充実している訳です!さあお兄さんもぜひこれを機にバンパイア対策グッズを!」

「いや、ちょっと泊まるだけなんで……」

「少しの油断が大きな事故を招きますよ!このにんにくクリームなんてどうでしょう!ささっと塗るだけで乾燥防止効果もありますよ!」

「いや乾燥とか大丈夫なんで……」

「そうですね、ではこちらのにんにくオイルなんてどうでしょう。髪にばっちり栄養をもたらしヘアスタイルもビシッと決まりますよ!」

「いや髪ににんにくの香りをつけるのは……」


このコーナー、よく匂いを嗅げばにんにくの匂いがむおっと広がっている。

いくらバンパイアから身を守れると言ってもにんにくの匂いを身にまとうのはちょっとな……。

せめて十字架のグッズなら買う気が起きるのだが、にんにく商品のキャッチに捕まってしまった。


「ではではこちらのにんにくスプレーなんてどうでしょう。寝る前に首筋にひとふき、バンパイアから確実に身を守ります!」

「え、ええーと……」


何か一つ商品を買わないと到底離してくれそうにない。仕方ない。


「じゃあにんにくスプレーを買います」

「まいどあり!1000バルスになります!」


俺はしぶしぶ1000バルスを渡して、スプレーを買った。

バンパイアから身を守るものとはいえ、愛やエギーにこれを勧めるなんてできないぞ。

特に愛に首からにんにくの匂いをさせるなんて冗談じゃない!それにキャッチに捕まっていたなんてカッコ悪いな。


「にんにくスプレーを買った事は二人には内緒だぞ、バサバサ」


バサバサにスプレーを見せると、好奇心旺盛にスプレーをつつきに来て、匂いを嗅ぎ、頭をぷるぷると振った。

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