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第二十二話 残酷な予知

元の場所に戻ってくれば、村人がヒール手当をされてその場に横たわっていた。

ジャイアントホワイトタイガーの姿も見えない。

これは愛、勝利したか?しかし愛の姿も見えない。


「ここで戦っていた少女……愛はどこへ行きましたか?」

「エギーという君の仲間を助けに向かいましたよ。いやはや、愛さんという方は本当にお強いんですね。爽快な戦いっぷりで、あのジャイアントホワイトタイガーを倒してしまうなんて」


成る程、愛がエギーを助けに行ったのか。

なら恐らく一回目の背中の痛みは愛がこの場で力を発揮した痛みで、先程の二回目の痛みはエギーの所で力を使ってホワイトタイガーと戦っているとみた。

よくよく見れば、魔術師が木に縛られている。

こいつは誰だ?皆似たような格好で一時間後の奴だが一日後の奴だがややこしいな。


「私は一時間後のチーノだ。まさか、こんなにあの少女が強いとは……」


予知できるとはいえ、一時間後だ。

相手の動きを予測するには少々不便な時間具合の魔法だ。

愛は特に予知の影響を受けずに倒せただろう。

問題のエギーの所は一日後のラテか。

こちらも予知魔法の影響は大丈夫だろうし、愛がいる。

尚更大丈夫だろう。

俺は二人が帰ってくるのを待つことにした。

バサバサに掴ませた一分後を予知するモカをチーノと同じように木にふん縛る。


「珈琲を……珈琲を飲みたい……」


モカが縛られてぐったりしながらそう言う。

カフェイン中毒か!俺は木に縛り付けていたモカを手が使えるように縛り直してやると、自前の粉を懐から取り出してお湯を入れ、珈琲を作る。

チーノも同じく手が使えるように縛り直してやると、二人で捕まりながら呑気に珈琲を飲み始めた。

なんだこれ。

そうだ、こいつらに聞かなければならない事があったんだ。


「お前達は何故村人を襲ってたんだ?」

「生きていく術です」

「魔術師は占いだけじゃ生きていけないのです」


何だ、サバナのように何か深刻な理由があるのだと思ったら村人を襲って生計をたてていたのか。

小さな魔術師達だと思ったのがとんだギャングに襲われたものだ。


「ルテンーっ!」


聞き覚えのある声が背後から飛んできたかと思えば、ホワイトタイガーを倒し終えた愛がエギーと共に捕まえた魔術師を連れてやってきた。


「ホワイトタイガーを倒せたんだな、愛」

「皆で別れて一体一にしてくれたおかげだよ!レベルも上がって今はレベル18だよ」


愛は強い敵を倒していくのでどんどんレベルが上がっていく。

かくいう俺はまだレベル1だってのに、差がありすぎだろ!いい加減魔物と戦わなければ倒せる魔物がいなくなってしまう。

という訳で、一日後を占えるラテを木に縛り付けた。


「もう村人を襲うんじゃないぞ」


エギーが三人に向かってそう言い放つ。

がっくりと項垂れる三人の魔術師。

どちらにせよ、三人が使役していたジャイアントホワイトタイガーを倒してしまったから、村を襲える強い魔物はもういないだろう。

あっ、洞窟のゴーレムは強いな、またゴーレムを使役して村を襲わないように俺達である程度倒しておいた方がいいかもしれない。


「ありがとうございました。これで村が平和になります」


村人は俺達に向かってお辞儀をする。


「村で貴方達を歓迎して、お茶会を開きます。よければ来てください」

「やったー!」


お茶会と聞いて愛が歓喜する。

エギーが愛と村人に泊まりの交渉をしている間、また三人の魔術師達は水晶を取り出して占いをしていた。


「なんだ、また何か占っているのか。お前達は悪い奴らだけど、珈琲は美味しかったし、占いは当たっていたな」

「未来は変わらなかった」

「貴方達の勝利で終わった」

「どうか我々を見逃してほしい」

「しょうがないな……」


俺は三人の縄を解いてやる。

三人は水晶をそれぞれ重ね合わせ、手をかざす。

俺達にまた何かする気か?


「私達は三人で力を合わせると」

「ずっと先の未来も占える」

「貴方達三人の未来を占おう」

「おお!それなら俺達が魔王と戦えるかどうか占ってくれ」


タルンタルンの魔術師は“対峙する運命”としか言ってなかったから、実際魔王に出会ったら俺達はどんな戦いを見せるのか分からなかったからな。

この三人に占ってもらおう。

すると三人は……顔を歪ませる。

何だ?結果が出たのか?


「アイは魔王城から落下して死亡」

「エギーは大量のニーズヘッグに襲われて死亡」

「ルテン、貴方は魔王からの呪いの波動を直に食らって死亡」


なっ……。

三人の予想外の予知に俺は言葉を失った。


「我々は貴方達が生き延びる未来を変えられなかった」

「未来は絶対で不安定」

「気をつけて」


なんて……残酷な予知だ。

心のどこかで絶対に勝つ未来を慢心にも思い浮かべていたが、その予知に愕然とした。

気をつけるどころじゃない、その予知が本当ならこの旅は……。

仮にやられても俺は転生するだけだが、いや、果たして転生するのか?これで人間として最後なんじゃないか?俺のことは全く分からないが、愛、エギーが死ぬのは御免だ。そんな未来は、御免だ。

俺は寒気が止まらなかった。

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