第二十一話 エギーの作戦
ジャイアントホワイトタイガー三体に苦戦する愛とエギーが、俺と村人の元に逃げるように駆け込んでくる。
「占いは本当なんだな。よし、それなら考えがある!」
エギーは俺と愛を呼ぶと、耳もとでもしょもしょと作戦を伝える。
なるほど、エギーの作戦に俺は乗ることにした。
しかし、相手は予知ができる相手だ。
予知ができるからこその作戦だが、上手くいくだろうか。
「よし、じゃあ作戦通りに愛と村人を置いて俺とルテンはバラバラに逃げるぞ」
愛一人に魔術師を含む強力な魔物三体は無茶だ、という事で、一体一にするために俺とエギーは別々の方向へ逃げることにした。
これで愛の勝率が上がるが、問題は俺とエギーだ。
案の定、魔術師達はジャイアントホワイトタイガー一体を引き連れてそれぞれ追いかけてきた。
俺はバサバサと一直線の方向に逃げる……。
北北西に向かって!
「北北西には確か洞窟があるんだっけか!?洞窟では、エギーが死ぬが俺は死なない予知だったな。俺の勝ちだ!」
エギーの作戦だが、俺はエギーが死ぬ北北西、エギーは俺が死ぬ南南東の方角に逃げるというものだった。
確かにこう逃げれば互いに死ぬ未来を防げる。
俺は森をどんどん走る。
方角は間違えてないよな?
「私、一分先の未来が見えるモカ。一分先、洞窟から大量のゴーレムが現れる。ルテン、お前は地獄に向かって走っている」
「それはどうかな」
俺は勝機を確信した。
一分後、目前に現れる洞窟の中に飛び込む。
巨大なホワイトタイガーは入ってこれない。
しかし、洞窟の中には大量のゴーレムが待ち受けていた!よし!魔術師が今俺を占ったのか、手をかざしていた光る水晶から手を引っ込めて叫ぶ。
「しまった!」
俺はバサバサに飛び乗る。
「空へ!」
大量のゴーレムが追いかけてくる。
先を先導するようにバサバサに乗って飛ぶ俺は洞窟から飛び出し、ジャイアントホワイトタイガーの側をくぐり抜ける。
俺は滑空し、地上を見守る。
ホワイトタイガーの攻撃は俺には届かずに、洞窟から出てきた大量のゴーレムに襲われている。
ゴーレムは空を滑空する俺に攻撃はできない。
一分後を予知する魔術師の方が追いかけてきたからどうなることか少々気にはなったが、思い通りに事は運んだ。
俺の勝利だ……!
「うがあああああ!」
勝利の余韻に浸っていた所で、背中の傷が全力で痛む。
空だってのに止めてくれよな!しかし、この痛みが出たという事は、愛が力を発揮したということだ。
ズキズキ痛む背中を撫でながら、俺は安心した。
愛が力を発揮すれば、ホワイトタイガーをきっと倒せるだろう。
「うわ〜!」
霧状に霧散したジャイアントホワイトタイガーの後に残ったのは、一分後を予知しながらゴーレムから逃げ回る魔術師モカだった。
ふふん、助けてやろうじゃないか。
俺は今だに痛む背中を撫でながらバサバサに命令し、地上を走り回るラテをバサバサの大きな足でがっちりと掴み、空へ舞い上がる。
「た、助かった……」
「これに懲りたらもう村人を襲うんじゃないぞ」
「いいや、まだチーノとラテがいる……」
そうだ、エギーはどうだろうと思って方角を変えようとしたが慌てて愛のいる方角へ向きを変えた。
いやはや危ない、確かにジャイアントホワイトタイガーと対峙して次に危険なのはエギーだが、エギーのいる南南東の方角は俺の死ぬ方角だ。
様子が気になってうっかり向かうところだった危ない危ない。
しかし気になる、エギーはバサバサもいないしどうやってあのホワイトタイガーを倒すんだ?一時間後と一日後を予知する魔術師もいる。
どっちが追いかけたのかは分からないが、上手くやってるだろうか。
確か南南東は……回復の泉がある場所だ!回復しまくたら、エギーでも大丈夫だろうか。
愛の方は、さっき背中に痛みが来たので恐らく大丈夫だろうが……。
「愛の方は誰が追いかけ……痛、痛た痛た痛た、ぐわああああああ!」
また背中が痛んだ!どうなってるんだ愛は!俺は地上に転がって悶絶したい気持ちを抑えると、愛と村人がいた場所にバサバサを着地させた。




