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第十七話 恋するサバナ

サバナが用意した肉にかぶりつく盗賊達。

アジトでは酒が用意され、宴が始まった。

愛は酒は飲まずにジンジャーエールを静かに飲んでいる。

俺も前世の記憶がまだ十七だろ!と語りかけてくるので、大人しくジンジャーエールを飲むことにした。

この異世界では二十歳にならないと酒を飲んではいけないという決まりはないし別に構わないと思うのだが!因みにエギーは余裕で酒を飲んでいた。

能天気だな、おい!


「なんだ酒は飲まねーのか。湿っぽいな」

「ああー世界がまわるぜ!おえっぷ、気持ち悪くなってきた!」


気持ち悪くなったやつはトイレに行け!俺は心の中でそう呟く。

まさか盗賊と仲良くなるとは思わなかった。

それに、なんと盗賊達は俺が持ち出しかけたアイテム、“爬虫類の骨”、10000バルス、ハムスターの毛皮、指輪、魔導書をくれたのだ。


「ほらよ、この先長いだろ。これくらいは持ってないと面倒だぜ」

「本当にくれるのか。ありがとう!恩にきるぜ!」


エギーがそれらを受け取り腕いっぱいに抱える。

さて、アイテムの方はいいのだが、今回の主役サバナというと、アイテムを装備し食事を再開した俺を毎度つんつんとつついてはエギーの事を聞いてくる。


「エギーさんて好きな人いるのか」


知らねーよ!


「エギーさんていつもネギ背負ってるのか」


背負ってるよ!


「エギーさんて趣味は何なんだ」


エギーに直接聞けよ!

と色々言いたいところだが仕方ない、教えてやる。


「好きな人はわからんが幼馴染みの愛としょっちゅうイチャイチャしてるぞ。ネギはいつも背負ってるな。普段はあのネギを研いだり振ったりして鍛えてるぞ」

「そうか。エギーさんて愛さんの事が好きなのか」


だから好きな人はわからんと言ってるだろ!なんだもうエギーの奴め……!俺はエギーを睨みつける。

それに気づいたエギーが、どうしたルテンこの宴でそんなむくれた面しやがって、と言う。

むくれたくもなるわこんな状況!サバナもエギーばっか見てないで母親のことを案じろ!


「エギーさんもタルンタルン出身か。家族はいるのか?」

「ごく普通に母親と父親がいてると前に聞いたな」

「エギーさんの好きな食い物とか分かるか?」

「あれだけ愛用してるしネギじゃないか?昼はいつもお手製のおにぎりを食ってる」

「エギーさんは鳥は好きか?私は好きなんだが……」

「今向こうでバサバサを撫でてるし、嫌いって訳ではなさそうだぞ。どちらかといえば動物は好きなんじゃないか?ハムスターも倒すけど嫌いって訳でもなさそうだったしな」

「エギーさんは何故勇者になったんだ」

「魔術師に予言を受けて、魔王と対峙する運命だと告げられたからだ。元のタルンタルンを取り戻すと俺達の目的は一緒なんだ」


と言っても俺は呪われているから、魔王にこの呪いは何なのかを聞きに行くためでもあるけどな。


「そうなのか。エギーさんは冒険者に……」


待て待てストップストップ!このままだとエギーの事で文面が埋まるだろうが!あとだからエギーに直接聞けっての!

サバナに質問攻めを受ける俺を助けるように、エギーに撫でられていたバサバサがこちらに向かって飛んできて、俺に撫でるようにせがむ。

よしよし、人懐っこいんだなこいつ。


「随分と懐いているようじゃないか。良ければ旅のお供にどうだ」

「何だって!?いいのかサバナ!」

「我々が使役する巨鳥はまだまだいる。向こうに並んでいるだろう?あれが全部そうだ」


確かに、サバナの指差す先にはずらりと横一列に並んだ数十羽の巨鳥が盗賊から餌を貰い、宴をする俺達のように飯を食っている。


「“命月草”があれば母親の病気が治るかもしれないんだ。そうなれば、わざわざ旅人から“爬虫類の骨”を頂戴しなくていい。これくらいの礼はするさ」

「ありがとう、サバナ!」

「良かったなルテン、お前巨鳥に乗れるじゃないか。ありがとな!え〜と、サバナか?」

「名前はバサバサだ……宜しく頼む……」


エギーに声をかけられたサバナが頬を赤らめて小さな声でそう言う。


「顔が赤いぞ?どうした?変な奴だなサバナは!バサバサ、宜しくな!」


バサバサを撫でながらエギーはそう言う。

うっとおしい鈍感だな、全く……!






翌日、俺達は盗賊のアジトを出た。

陽気に手を振る盗賊達と、ボスのサバナは少し寂しそうにしている。


「私達はまだカラカラ草原にいる。母親の病気が治るまでここを離れるつもりはないんだ」

「そうか、残念だな」


エギーの言葉に、名残惜しそうにエギーを見るサバナ。

別の盗賊が、この先の道をガイドしてくれる。


「ここから魔王城まで行くにはまずホロホロ森をぬけないといけないな。ホロホロ森には魔法を使う魔物もいるから危険なんだ。魔術師の家がその森にぽつんと建っているらしいから、困った時はその魔術師達に頼ってみたらいい」

「ホロホロ森か。色々とありがとう」

「魔王はシットリ湿原にいた奴らより遥かに強いぞ。頑張れよ」

「大丈夫だ!ありがとう!」


エギーが盗賊と握手を交わした。

俺と愛も盗賊に手を振り、バサバサを連れて俺達はアジトから離れた。

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