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第十五話 毒に蝕まれる

湿った地面を歩く。

カラカラ草原から北側、乾燥した空気は纏わりつくような湿気に変わり、地面は水浸しの湿地に変わった。

比較的見通しの良い為、モンスターに見つかりやすいのでできるだけ距離を置かなければならない。

俺とエギー、愛は湿地に辿り着いた後、巨大な花の魔物がちらほらと動いているのを遠くから確認する。

あと、カエルのようなものも沢山いる。

俺はびくびくしながらエギーと愛の後ろから様子を伺う。

なにせレベル1なのだ、どんな魔物も自分より強く見えるし、個体数が多いのもまた脅威だ。

あの中に放り込まれたら死んじまう。

バサバサが息苦しそうにばたばたと羽を羽ばたかせた。


「“命月草”ってあの花の魔物から取れるのかな」


魔物の様子を伺うエギーが愛の呟きに振り向かずに答える。


「戦ってみないことには分からないが、強さも未知数だ。個体数が多すぎるのも危険だな」

「遠距離魔法を使ってきたら離れていてもやばいよね」

「いざとなったらアイだけ巨鳥に乗って逃げればいいからな」

「そんな、皆を置いてけないよ」

「この中で一番生き残る可能性があるのはアイだ。アイが潰れたらそれこそ俺達も本当におしまいだぞ」


それはエギーの言うとおりだろう。

ああ全く、俺の足手まといは確実だ。

あの花の魔物も強そうだし何よりでかいのが恐怖心を刺激する。

ハムスターは小さかったからいくら数が多くてもこう恐怖する事はなかったのだが……。


「一匹だけエンカウントする手段はないものかな」

「難しいね。おとりとして出て行ったとしても全員で追いかけてきそうだし……」

「見晴らしがいいのも悪条件だな。いざ身を隠そうにもできないからな。さて、どうするものか……」

「ここは遠距離攻撃じゃない?一つの花にだけ石を投げてダメージを与えて、こちらに注目させられないかな」

それはいい方法かもしれない。ああ俺だけ巨鳥に乗って安全な空から石を落としたい。

「遠距離攻撃なら俺に任せろ」


エギーがネギの弓をぎりぎりと引き、飛ばす。

巨大な花の花びらにざくりとネギが刺さる。

こちらに気づいた花のモンスターがじりじりとこちらに寄ってきた。


『イビルフラワーと遭遇しました』

「よし、じゃあ行くね!」


愛が飛び出して、ネギの刺さったイビルフラワーに蹴りを喰らわせる。

花びらが一枚吹き飛び、収縮するイビルフラワー。

愛の攻撃は効いているようだ。

エギーもまた弓を構え、ネギを放つ。

俺は何をするかというと、巨鳥の後ろに隠れてやり過ごす。

仕方ないだろ!イビルフラワーの攻撃力が高かったら、一撃当たっただけで死ぬ可能性があるからだ!畜生!

何度も愛の攻撃を受けてしおれたイビルフラワーは、突然ぶわっと花びらを広げ大きくなり、花粉を辺りにまき散らす。

舞う花粉の中で愛が花びらを引っ張り、千切る。

ばらばらと舞う花びらは、軸と共に霧散した。


『1000バルス獲得。経験値獲得』


どうやら愛が本気を出す程もこいつは強くなかったようだ。

胸を撫で下ろす俺。

イビルフラワーを倒して帰ってくる愛。


「ただいま、ごほっ、ごほっ」


愛の様子がおかしい。


「どうしたんだ、アイ!」

「花粉を思い切り吸い込んじゃった。えへへ……ごほっ」

「えへへじゃないだろ!これは……!」


毒だ!俺とエギーは戦慄した。

愛の肌は花粉がついて緑色に変色している。

毒に蝕まれた愛は何度も咳き込む。

まずい!イビルフラワーは、近接攻撃はご法度なモンスターだったんじゃないだろうか。


「ぴいいいいい」


愛の様子に戦慄していると、バサバサが突然鳴いた。

そこで周りを見回すと、いつの間にかイビルフラワーと蛙のモンスターが俺達を囲んでいた。


『イビルフラワーと遭遇しました』

『ポイズンフロッグと遭遇しました』

「大変だ!一匹なら兎も角この数は……!」


次々とナレーションが入る。

一つ、俺にはアイデアがあった。

取り囲む蛙達に剣を差し向けると、俺は呪文を唱える。


「“カース!”」


俺は呪いで辛くした。

蛙達のその舌を!蛙達は自分の舌の辛さにひっくり返ってじたばらする。

蛙達はこれでいいだろう。

問題は花だが、残念ながら何の対策も思いつかない。

逃げようにも見事に隙間なく取り囲まれている。

エギーが何度もネギを放つが、大量にいるイビルフラワー全員には到底攻撃しきれない。

愛は毒に倒れている。

どうする?俺!

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