第十四話 再会
翌日。
「この巨鳥は見張り代わりだ。貸してやるから仲間を探せ。いいな」
盗賊の一人はそう言うと、俺を連れ去った巨大な黒い鳥を俺の横に立たせる。
まさかこれに乗れるとは思わなかった。
しかし……乗れるのか?俺。
「飛べ、と言ったら飛ぶし、下りろといったら降りる。名前はバサバサだ」
そんな簡単な説明では心許ない。
恐る恐る背中によじ登ると、巨鳥は羽をばさばさと広げる。
俺を連れ去った時といい、凄い迫力だ。
「バサバサ、飛べ!」
俺は心の準備を整えると、そうバサバサに命令した。
バサバサは一気に羽ばたき、宙に浮いた。
「うおっ、うおおおお!」
バサバサにしがみつく俺。
「しっかり掴まないと落ちるぞ〜」
遠くに離れて小さくなる盗賊がそう言い残して手を振る。
バサバサはぐんぐんと上昇し、荒々しく青空を滑空する。
ビビッてる場合じゃない!愛とエギーを探さなければ!何とか体制を整えると、南の方角へバサバサと共に向かう。
落ち着け、俺!俺が動揺してたらバサバサも動揺させちまう。
俺は抱きついていた腕を徐々に伸ばす。
滑空具合も安定し、何とか慣れようとする俺。
転生前に鳥そのものになったんだ、このくらいどうってことはない!繋いでいるロープを掴み、目下に広がる草原を見渡す。
うむ、少し慣れてきた。
よし、よし。
広々と広がる草原の上を風を切り飛ぶ。
慣れればこの空から見た草原の景色も悠々と楽しめるのだろうが、二人を探すのが先決だ。
と、遠くにぽつんと二つの小さな人影が見えた。
待てよ、あれじゃないか?俺はバサバサに「下りろ!」と命令すると、降下する。
うおお、かなり揺れる……!大きくなる人影は、見覚えのある形をしていた。
地面に着地したと同時にバサバサから飛び降りると、俺は二人に手を振る。
「ルテンーッ!」
愛とエギーが、こちらに向かって手を振り、駆け寄ってくる。
良かった、案外すぐに見つかったな。
二人は盗賊のアジトのすぐ近くまで来ていた。
もしや、俺を探してここまで来てくれていたんだろうか。
「商人の店で巨鳥の話をしたら、それは盗賊だって事を話してくれてね。アジトの位置を教えてくれたんだ」
「あれから探してくれてたのか」
「仲間だろ、当たり前だ」
エギーがニヤリと笑う。
「ネギー」
「俺はエギーだ」
「エギー、それに愛。盗賊達に見放してもらう条件に、ここから北のエリアにある“シットリ湿原”で手に入る“命月草”を手に入れなくちゃならないんだ。手伝ってくれないか」
「命月草?」
俺は二人にサバナの母親の話をする。
サバナですら手こずるレベルの場所だ。
愛はともかく、俺とエギーが行っても果たして無事に帰って来れるかどうかが問題だ。
「そういう理由なら仕方ないな。シットリ湿原に行こう!」
エギーが了承する。
エギーならそう言うと思ってたぞ、全く……このパーティーで一番弱いのお前だぞ。
すると……。
『ハムスターと遭遇しました』
またハムスターと遭遇した。
俺は倒したくないから逃げる!巨鳥に跨りかけたが、少し考える。
湿原に向かうんだ。
レベルを上げておかなくちゃならないんじゃないか?そう悩んでいるうちにエギーが弓を構えて放つ。
ネギは見事ハムスターに命中し、ハムスターが霧散した。
『500バルス獲得。経験値獲得』
ちょ、ちょっと待て!エギーの攻撃がハムスターに当たっただと?今まで全部スカしてたじゃないか。
俺が捕まっている間に何があったんだ!?
「ルテンを探している間何度もハムスターと遭遇してな。今の俺はレベル6だ」
「ちなみに私はレベル11だよ!」
いつの間にか二人のレベルが上がっていた。
じゃ、じゃあこのパーティーでレベル1なのは俺だけじゃねーか!一番弱いの俺だ!
「レベルも上がったし、大丈夫だな。早速シットリ湿原に行こう!」
殺す気か!俺はエギーを止めた。
待ってくれ、やっぱりハムスター倒す、ハムスターを倒してレベルアップしてから湿原に向かおう、そうした方が絶対にいい!
「ルテンはその巨鳥に乗れるじゃないか。凄い事だぞ」
巨鳥に乗れるだけじゃ、モンスターは倒せない。
「大丈夫だって。ルテン君が危なくなったら私が守るよ!」
そんな情けない目にあってたまるか!いやもうあってるが、これ以上あってたまるか!
「その巨鳥は盗賊の見張りなんだろ?見張りもいる事だし、何よりも母親が心配だ。急いだほうがいい」
「そうだねエギー。湿原に行こう」
「待て待て!止まれーっ!ハムスターと戦わせてくれー!」
ルテンの反対は虚しく、パーティーはルテンがレベル1のまま湿原に向かうのだった。




