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第十二話 脱出……しかし

さてどうするか。

閉じ込められた俺は考える。

両手、両足はロープで縛られている。

このままでもウサギ跳びの要領で動けるのと、後ろの手を使って扉くらいなら簡単に開ける。

試してみよう。

俺は扉に近づき、立ち上がり、後ろに組んだ手を器用に動かして扉の取っ手を掴む。

ガチャガチャという音がして扉は左右に揺れる。

鍵が閉まっているらしい。

当然か。

ならば鍵を開けて誰かが入ってきた時に決着をつけるしかない。

それには、手足を自由にしておいた方がいいだろう。

次に俺は刃物になりそうなものを探す。

部屋の中は冷たい石が組んでできており、棚も何もない殺風景な部屋だ。

窓の部分は格子になっており、床には俺への食事のパンと水が置いてある。

これだ!俺はパンを犬食いすると、パンをのせてあった皿を割る。

パリンと乾いた音がして皿は割れた。

これが刃物代わりになる。

後ろの手で、皿の破片をぐりぐりとロープに押し付け、まず足を開放した。

次に手だ。

ロープがぶちりと千切れる音がして、両手も開放される。

この皿の破片は使える。

俺は皿の破片をポケットの中に入れた。

後は、盗賊がこの部屋に来るのを待つだけだ。


「何をしているんだ。入るぞ」


皿の割れた音を聞きつけたのか、扉が開いて人が入ってくる。

今だ!俺は入ってきた人に突進し、その男の首を両腕で締めつける!


「ぐぎぎ、ぐあ、あ」


どさりと男がして男が倒れ込む。

落ちた。

そんなに力はないのだが、運良くひょろい相手だったので上手くいった。

いくつも連なる扉の鍵を盗むと、俺は部屋から出て辺りの部屋を物色する事にした。

おっとその前に、この男が気がついても追いかけて来ないようにしなければ。

俺は倒れたその男がいる部屋の鍵を閉めた。

地下の廊下はひんやりしており、静かだった。

音が伝わりやすいであろう、俺はできるだけ足音が立たないように慎重に歩く。

閉じ込められていた部屋から出てすぐに二つの部屋があり、右からは人の声がする。

左からは、鳥の羽ばたく音がする。

俺は右の部屋を扉の隙間から覗き込む。

盗賊らしい数人が昼食を食べているようだった。

机の上に並べられたスープの奥、そこに宝箱に積み上げられた骨がある。

あれが“爬虫類の骨”じゃないだろうか。

盗むにも盗賊達が邪魔だ。

さらにその奥には、ここに連れ込まれた時に見たこのアジトの出口の扉がある。

やはり盗賊達が邪魔で外に逃げ出せないだろう。

この盗賊達をどうやってこの部屋から出そう?その時、俺は思い出した。

全く使い道がなかったであろう俺の魔法がある事に。


「“カース”」


俺は盗賊達のスープに魔法をかけた。

盗賊達は激辛スープをがぶがぶ飲むこと数秒後……。


「辛……辛ぇ!」

「何だこのスープ、突然辛く……!」

「お前何か入れやがったのか!?」

「何もしてねぇよ!」


目論見通り、盗賊達が騒ぎ出した。

水を飲みに部屋の中にいた盗賊達が全員飛び出す。

それを扉の裏に隠れてやり過ごすと、最後の一人が部屋から出たのを確認し、部屋に滑り込む。

よし、よし、全てが順調だ。

俺は宝箱の中身を物色する。

“爬虫類の骨”以外にも、10000バルス、ハムスターを倒した時に手に入る小さな毛皮に、指輪のようなものと冊子がある。

俺はそれらを持てるだけ持ち出し、出口の扉に向かう。


「おい!お前……!」


背後からの声。

盗賊の奴らはもう水を飲んで戻ってきたらしい。

俺は部屋を飛び出す。


「待てー!」

「待ちやがれこの野郎!スープが辛くなったのはお前の仕業だな!」


洞窟の道を一直線に逃げる俺。

追いかけてくる盗賊達。

前方が白く明るくなってくる。

もうすぐ出口だ!その白い明るみから、複数の黒い影が出てくる。


「ボス!」


盗賊だ。

ボスと呼ばれた女性が俺の前に立ちはだかる。

溢れ出る金色の長髪に、鱗でできた衣服、巨大な爪の装飾。

しまった!一番強いやつに見つかったようだ!


「おーい!お前らそいつを捕まえてくれ!」

「俺達のスープを辛くしやがったんだ!」


盗賊の挟み打ちに遭った俺は数人の手で捕らえられると、体を数か所殴られ、持ち出したアイテムを根こそぎ奪われ、再び手足をロープでがっちりと縛られる。

痛ぇな……くそっ。


「ボス、こいつどうしてやりましょう」


女性が部下に荒々しい言葉で命令する。


「今度は目を離さねぇよう、中央の部屋の椅子にふんじばっとけ」


中央の部屋とは、あのスープを飲んでいた部屋だろうか。

盗賊共に担がれ運ばれる俺。

洞窟の出口であろう白い明るみは段々遠のき、やがて見えなくなった。

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