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ヨハネの名付け親

作者: 秋暁秋季

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳ありません。


個人的に一番のツッコミ所はただ一つ。

神話混ぜんな!!

ってところでしょうか?

俺は近所の美術館に訪れていた。今回の特別展は版画。白と黒で描かれた絵画のような版画が、A5サイズの額縁の中に世界を作っている。

その中でも人目を引くものが一つ。硝子ケースの中入れられた、本を貪る一人の男性。それを見て、俺は瞳孔が開くのを感じた。

「お前のようだ。此処に出てくる奴」

「あぁ、いいね。君はいい例え方をする」

共に美術館を訪れた女は猫のように瞳孔を大きく開き、ギラギラと視線を落としていた。

紀元前の聖書の一説を表した一つの版画。頭上に輝く太陽が、男に一冊の本を差し出した。男はそれを一心不乱に取り込んでいく。まるで吸い込むように。

それを見て、此奴と重なった。週末に数多の博物館、美術館を巡り、狂ったように経験と知識を求める此奴に。あぁ、そう言えば此奴の吐いた台詞に、こんなのがあったな。


――知識は幾ら食っても毒にならないのさ。食った分だけ蜜になる。あぁ、知識とは甘いものだね。もし、本を食って知恵になるのなら。私は..............。


大木に寄りかかり、分厚いハードカバーの本を読みながら、此奴は不敵に笑った。スカートを履いて立膝をつく姿は余りにも目に毒だった。だがそれ以上に毒だったのは、その口。舌を痙攣させ、今にも情報を喰らおうするその様こそ、余りにも猛毒だった。


「ヨハネ」

気が付くと、ぽろりと呟いていた。俺はまだ甘い空想の中を漂っている事に気が付いていなかったのだろう。その空想から現実に引き戻すように、ざらりとした声音で切り返した。

「あん?」

「『ヨハネ』って言うわ。お前のこと」

版画から目を離し、隣に佇む女を見る。俺の意味不明な言葉を馬鹿にすること無く、ヨハネはただに不敵に笑って見せた。まるで俺の言った意味を心行くまで味わうように。

「悪くない」

女の舌舐めづりは、ソップを見つけた三頭犬のようだった。

最近こだわっているのは、空間に連想させるように文字を選ぶことです。

今回の場合ですと、『食』という言葉を意識して、言葉を選んでます。

毒、蜜という表現が多いのもそのため。

知識は甘いですよ。いくら食べても飽きなんか来ません。

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