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転生保険とかいう悪徳詐欺を許すな  作者: 入道雲
第4章 ネルー湖・ネルー大湿地
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第103話 3部隊

いつも読んで下さり有難うございます!

詐欺女神からスキルを授かってから、あっという間に1週間が経った。雨季に入って以来、雨は降り続けている。


「いよいよっスね、コバヤシさん」


「そうだな。……レイドリスさんと2人だけになるけど、本当に大丈夫か?」


「何回訊くんスか!大丈夫っスよ!」


「了解、頼んだぞ。レイドリスさんも、ご武運を」


「ありがとう。コバヤシ殿の強さなら心配は無いですが、どうかご無事で。湿地までは少し距離がありますので、私達はこれで」


「えぇ、分かりました」


まぁ、あのペアなら万が一も無いだろう。


2人の背中が見えなくなったのを確認し、次のチームに声を掛ける。


「──ピピさん、集落の方々を守りながらの戦いになりますが、頑張ってください」


「なっはっは、腕が鳴るのぉ。お主こそ、集落を頼んだぞ?」


「はい、任せてください」


「とはいっても、無理はせんでよい。家などいくらでも建てられる。無駄に気負わず、作戦通りに、な」


災厄の内容や、戦力の配置に関しては嫌になるまで話し合った。結局、最初に金剛と話した布陣がベストだという結論に至った。というのも──


「ピピちゃんも無理しなくていいからね!何て言ったってアタシがいるんだもの!」


「なっはっは!心強いのぉ」


この通り、金剛が魚人族の言葉を話せるようになったからだ。


「意思疎通もバッチリだな」


「絶対に後悔したくないもの!」


100倍のボーナス倍率で“反動”が出るまで頑張ってくれた彼女には頭が上がらない。


「金剛がいるなら心配はない。作戦通りに頼む」


「任せなさい!じゃ、行ってくるわね!」


集落の住人と新しい長を連れて、ピピさんと金剛はネルー湖方面に移動を始めた。これで集落に残っているのは──


「ニャラさん、大丈夫ですか?」


「問題無い。長を引き継げた今、この命に未練などない」


「そんなこと言わないの!生きて災厄を乗り切るのよ!分かった?分からないなら分かるまで繰り返すわよ!昔から言ってるけどねぇ」


「リリさん!来ます!セリンさん」


「あぁ、あの穴だな」


前方数十メートルに突如現れた虚空。直径4メートルはあるアレが何かは分からないが、あそこから大量の魔力を感じる。間違いなく中にいる。あれは……、転移魔法なのか?


その場にいる全員が見つめる中、ソイツらは、姿を現した。


狼にサソリ、鳥に猪、エトセトラ、エトセトラ。大きさも種族も異なる、種々雑多な魔物がとめどなく。わらわらと溢れ出た魔物の群れは、瞬く間に集落を侵食し始めた。


「行きます!」


アイツが現れるのが確定している以上、可能な限り魔力は節約したい。であれば、パロッツに手入れしてもらったこの剣に魔力を──。


「ニャラ!下がっててちょうだい!」


「……ほう、中々やるようだな」


「……やっぱり、そうなんですね」


一息で虚空に近付き、現れた小型の魔物を蹴り飛ばすリリさん。雨音と魔物の胸が爆ぜる音に混じって、魔石の砕ける音が聞こえた。


常人には有り得ないレベルで安定した魔力出力を保ち、難なく俺の背後を取ってみせたリリさん。何のことはない。彼女もまた、こちら側だったのだ。


「リリに続くぞ、コバヤシ。あの2匹は貴様に任せた。今なら1人でも問題あるまい?」


「えぇ、了解です、セリンさん」


次々と魔物を屠る2人から目を離し、身を屈めながら虚空から現れた2匹の魔物に集中する。


「……大森林以来だな」


──ディオメナスとディアメナス。初見の時は生き延びることで精一杯だったが、今なら落ち着いて対処できる。


本能で危険を察知しているのか、2匹は真っ直ぐに俺の持つ剣を見据えている。よくよく見ると大森林で見たヤツらより若干小さいし、体にも傷が無い。最初に出会ったメナス夫婦の体は苔むしていた。要するに、コイツらは生まれたてだ。


「だったら、尚更恐れるに足りないな」


咆哮を上げて動き出した2匹がどう動こうとしているのか、手に取る様に分かる。筋肉の動きを読むって、凄いな。


「魔力を探知して──あった」


瞬間的にストレングスを発動して距離を詰め、一振り、二振り。金属に似た何かを通過した感触が手に伝わり、鮮血が噴出し、2匹の動きが止まる。


「うおっ!そっちには倒れちゃダメだって!」


慌てて蹴り飛ばした巨体が半瞬後に地面を揺らす。


「危なかった……ん?」


開いた傷口から覗くコアを見て、足が止まる。


「──同じだ」


リリさんが蹴り飛ばした小型の魔物のコアと、ディオメナスとディアメナスのコアのサイズが。


「今は考えても仕方が無い。集中しよう」


魔物はまだ、止めどなく溢れ続けている。

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