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転生保険とかいう悪徳詐欺を許すな  作者: 入道雲
第4章 ネルー湖・ネルー大湿地
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第101話 予知

いつも読んで下さり有難うございます!

「なんというか……、元気な方だね。殺気が無かったから手加減はできたけど……」


「寛大な対応、有難うございます」


良かったなヘラ、力量に差が無かったら死んでいてもおかしくなかったぞ。


「それで、私を呼んだということは……来るのかい?」


「はい。正確な日時まではわかりませんが必ず」


「ふむ。であれば、暫くの間はどこかに滞在しなければならないね」


「長の……あぁそっか、元長のニャラさんに訊いてみます。少々お待ちください」


──────── 


結局、災厄の待機中は2人とも集落の空き家に滞在することになった。ニャラさんの家にまだ空き部屋はあるが、今日の儀式で長の座を明け渡したことにより、ニャラさんとリリさんは1週間後に引っ越さなければならないのだとか。


長の家は集落につき1つ。故に、元長は雨禊の儀の後にすぐ家を移り住むらしい。忙しない引越は、最早恒例行事になりつつあると聞いた。


レイドリスさんとパロッツを言葉の分からない土地に長居させるのは忍びないし、日時だけでも判明してくれないかと願ったのは間違いないが……。


「上から見ていたのか?」


「えぇ、勿論ですとも──お久しぶりです。小林様、金剛様」


「アタシ達の夢に出てきたってことは……」


「はい、日時が判明しました」


「いつですか?」


「──1週間後の深夜2時。場所はネルー湖沿岸、湿地南部、集落内部の3カ所です。転移魔法により、侵入を防ぐ間もなく、確実に現れます」


「それは反則だろ……。集落内部、ってことは」


「派手な魔法は使えないわね」


いやらしい場所を選びやがる。1週間もあれば避難自体は容易だが、なるべく住居の破壊は避けたい。災厄の後、すぐに元の生活に戻れるのが理想だ。


「そのための体術と剣術ですよ、小林様」


「──そうか」


4日もあれば体術と魔法の合わせ技でピピさんを越えられる、と言っていた。しかし、魔法は使えない。そこでレイドリスさんとパロッツだ。彼らに剣術を習えば、俺の戦闘力もそれなりのものにはなるだろう。


「アタシも体術を習った方がいいのかしら?」


「それも1つの手ではありますが、金剛様にはもっと重要な役割があります」


重要な役割?──あぁ、なるほど。


「治癒魔法、ってことね」


「その通りです。今回の災厄では、夥しい数の魔物を相手にします。一体一体の戦闘力は魔人に遥かに劣りますが、数の差は馬鹿にできません。どれだけ工夫しても、多くの負傷者が出ます」


「だけど、治癒魔法が使える人は多くない。寧ろ、かなり少ない」


魔法の基本はイメージだ。その大前提に則るならば、治癒魔法は魔力制御が得意で医療知識を持たない者──別の言い方をするならば先入観を持たない者──か、逆に幅広い専門知識を持つ者にしか扱えない魔法と言っていい。金剛は後者だ。この世界において、彼女以上の使い手はいない。


「じゃあ、アタシは魔力総量を少しでも増やした方が良いってこと?」


「はい。その方が確実に被害を抑えられる未来に繋がります」


「となると、残るはチーム分けか……」


言葉が通じないレイドリスさんとパロッツを集落のメンツと組ませるのは、連携の観点からナシだ。この2人だけでもかなりの戦力だし、ペアでそのまま湿地方面を担当してもらうのがベターだろう。


「ピピちゃんをメインにした集落の主戦力は……ネルー湖を任せた方が良いわね」


「だな。魚人族の方が水場の戦いは上手く立ち回れる。……そうだ、集落の方々にはネルー湖に避難してもらおう。逃げ場の無い家屋に押し込めるより、まとめてネルー湖に避難してもらった方が安全かもしれない」


「そうですね。数ある未来の中でも、そのパターンが比較的好ましい結果になります」


「アタシはネルー湖で集落の皆を守りながら治癒に専念、って感じで良いかしら?」


「それが一番なんだろうけど……大丈夫なのか?戦闘面もそうだが、コミュニケーション面だって──」


「任せて、集落に入ってから2日経ったし、あと1週間もあるわ。それまでに5割程度理解できるようになれば、最低限機能する筈よ」


「頼もしいな。任せたぞ、金剛」


「任されたわ!」


よしよし、大体の方針は定まってきた。残りの1週間で準備を盤石にして、被害ゼロを目指そう。


「なんにせよ、前もって詳細情報を知れたのは大きいわね。良かったわ~」


「──それが、決してそうとは言い切れないのです」


「どういう意味だ?」


「アベリガレストが、現れます。分岐が多く、タイミングは断言できませんが、あの魔人の出現は確定です」


「……ウソ」


レイドリスさんですら、“勇者”ですら苦戦したあの最凶の魔人が、出てくるのか。


「──ん?待ってくれ、何故そんなことが分かる?アイツには“隠密”とかいうふざけたスキルがあるんじゃないのか?」


「そ、そうよ!どうして急に──」


「恐らく、祖なる者にスキルを譲渡したのでしょう。彼が離れているにも関わらず、私には祖なる者が認識できません。それもまた、大きな懸念事項です」


特大のバッドニュースだ。アイツが出張ってくるなら話が変わってくる。バランスが一瞬で崩壊する。被害なんて、とてもじゃないが抑えきれない。


「その通りです──バランスが崩れるのです。そして私は、この世界のバランスを保つ存在」


「戦闘に参加してくれるの!?」


「いいえ、金剛様。それは不可能です。私が世界に直接干渉することは許されていません」


まどろっこしいな。なら、一体どうやってバランスを調整するんだ?


「落ち着いてください、小林様。非常に単純な話です──お二人に、スキルを与えればよいのです」


「え!?」


俺と金剛に、スキルを……!?

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