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いつも大切なモノを盗った双子の妹に最後は婚約者まで奪われた姉です。そしてなぜか妹をいじめた悪い姉だと婚約者に罵られました。そうしたら、なぜか弟が悪だくみをしていたようで……。

作者: ゆず

「婚約を破棄する!」


 呆然と私はごめんなさいという妹と婚約者である王太子様を見ていました。


「お前は妹であるアレーナをいじめて、階段から突き落とそうとしたそうだな!」


 身に覚えのない罪状でした。しかし私は妹がうっすらと笑うのを見て、ああいつもの意地悪だなと悟りました。


 お姉さまがいじめるのぉというのがあの子のくちぐせでした。


 私たちは双子です。月の姉、太陽の妹、影の姉、光の妹とよくいわれました。

 容姿はそっくりですが、気性が正反対であったからです。


 明るい妹、暗い姉の隠喩というやつでした。


 比較としてはあまりいい例えではありませんよね。


「お願いですう、お姉さまはぁ、悪くないのぉ、アレーナが悪いんです。王太子様を好きになってしまったからぁ、お姉さまがぁ」


 ああ、間延びした話し方はいつものことですが……イライラはします。

 鼻の下を伸ばした王太子様、いつものことでした。


 私たちは双子ですが、中身は似ておらず、明るく社交的な妹はみんなに好かれました。

 私はおとなしく書物が好きな姉、引っ込み思案でした。


 そして評価としては似てない双子、姉はああだが、妹はいい子という対峙になりました。


 いつもお姉さまというのをあの子は強調しますが、双子です。

 あまり意味がないと思いますが……。

 同じ日に生まれたのです。


 しかしお姉さま、お姉さまといわれます。

 それは別によかったのですが……。


 お姉さまが私のなになにを借りて返してくれないがあの子の口癖でありました。

 しかしそれはあなたが失くしたからでしょう、借りたことなど一度もないということは言うのはあきらめましたのです。あなたが貸してお姉さまといって返してくれたことはありませんでしたが……。

 私が言うことは両親でさえ信じてくれませんでしたので。


 それは仕方ないのです。諦めました。

 一人だけ、弟が味方をしてくれました。それだけで十分でした。


 弟といっても、母の連れ子です。

 私たちの母は幼いころに亡くなりまして、今の母がきました。

 良い方ではあるのです。なので、妹のいうことを信じてしまいます。

 あの子はとても口が上手、私はとても下手で内気すぎました。


 亡き母を慕う私と、すぐ切り替えた妹なら妹がかわいいですよね……。


 弟はいつも私を慕ってくれました。

 反対に妹を嘘つきと嫌いました。


 嘘つきは大嫌いが彼の口癖でした。


『あいつ嘘つきだし、泥棒だよ!』


 その通りではあるのです。でも諦めました。

 何を言っても妹の味方である人が多いのです。


『いつか僕があいつをなんとかしてあげるよ!』


 弟はまだ十歳です。私は六歳上でありながら頼りない姉でした。

 でも弟はかわいかった。


 屋敷では肩身が狭いのですが、何とか生活をしていました。

 そして……なぜか私が王太子様の婚約者になり、なんで上から順番なのよと妹が物凄く怒り狂っていた時から半年たって、公爵令嬢であった私は断罪される場所に引き出されたのです。



「婚約を破棄し、妹であるアレーナが姉をかばい、大事にするなという言葉により、お前のみの追放とする、そしてアレーナと私は婚約する」


 私だけをぽいして、妹を王太子妃にしますってことですね。

 直訳してみました。


 もう諦めました。でも追放ですか、私は薄く笑いました。

 するとこちらを強い目で妹は睨みました。


 ああ、やはりこうなったかと思っただけです。


「……お姉さま、私をもういじめないでくださいね?」


 最後の捨てセリフがこれでした。

 天晴な妹でした。



 

 私は追放され、そして辺境に追いやられました。

 いつものことでした。

 弟に会えないことだけが寂しかったのです。弟からはよく手紙が来ました。

 それだけが私の楽しみでありました。


 そしてなぜか風の便りに妹が婚約破棄をされたことを聞きました。

 王太子が廃嫡されたことも。


 他国の王と王妃に無礼を働いた罪だそうですが……。


 そして私の追放は解かれました。

 醜聞を詳しく話してくれる人は誰もいませんでした。




「何があったのです? クレイ」


「あ、あいつがね~」


 実家に帰った私に嬉々として話す弟、天晴な妹でしたが、弟の悪知恵にまけたようです。

 頭のいい子だとは思ってましたが……。

 

「どうしてそんなことを……」


 ああ、まだ十歳なのですわ、なのにどうしてここまで……クスクスといたずらっぽく笑うクレイ、私が泣くと、泣かないでとはじめて悲しそうな顔になりました。


「大好きだよ、姉上」


 ぎゅうっと抱き着いてくる弟の言葉を信じられない思いで聞きながら、私はただ茫然とするしか…ありませんでした。

 

お読みいただきありがとうございます。感想、ブクマ、評価など頂けたら泣いて喜びます。

感想は特に喜びます。(あまりいただけないので…)宜しく御願い致します。一部修正

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん… なんというか、クライマックス突入寸前に公式からオチだけネタバレ食らった感というか 弟サイドの作品楽しみに待ってます
[一言] カレーパン食べようとしたらカレーが入ってなかったような気分
[一言] 弟が何をしたのか?が、知りたいんですが。
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