革命の裏側で
連載没案を短編っぽくしたら良さげになったので投稿しました。
一話完結です。
「私の後ろに隠れて下さい!」
私は彼女を後ろに隠し、拳銃を構える。
侵入者がこちらにやって来る。
私は拳銃の引き金を引く。
発砲音が建物内に鳴り響き、侵入者は倒れる。
後、何人の侵入者が居るのだろうか?
……残り弾数は3発。これはまずい。
せめて、彼女だけでも逃さなければ。
再び、別の侵入者が現れた。
私は拳銃を発砲。
しかし、相手が魔法陣を展開し、その魔法陣により弾は弾かれてしまう。
ちっ、防御魔法か。
薬莢が床に落ち、軽い金属音を鳴らす。
それと同時に敵は魔法を消し、サブマシンガンを発砲。
私の方に弾が次々と飛んでくる。
私も詠唱して防御魔法を展開するが、若干、遅れたせいで脇腹に一発貰ってしまう。
鋭い痛みが私を襲う。
脇腹から血が流れ出し、服を赤く染め、床に血溜まりができる。
なんとか意識を維持しつつ、相手の銃の弾が切れたと思われるタイミングで防御魔法を引っ込め、拳銃を構え、発砲。
相手の頭に命中し、また一人、侵入者を倒す。
とりあえず、この階の侵入者は一掃したはず。
「王女様、こっちらです」
私は後ろに居る彼女の手を引いて、隠し通路の方へと走り出す。
「……怪我してる。治癒魔法を」
「立ち止まっている暇はありません。私のことは気にしないでください」
私も治癒魔法がつかえれば良いのだけど……残念ながら、私が使えるのは下位の防御魔法くらいだ。
もう少しで隠し通路と言うところで私の身体が限界を迎える。
なんとか壁に寄り掛かって立つ。
こんなところで倒れてしまったら彼女が心配するからなんとか立たなければ。
白い壁が私の血で真紅に染まっていく。
息が荒くなっていく。
出来れば彼女と一緒に逃げたかったけど……無理そうだ。
「王女様、この先に隠し通路があります。どうか逃げて下さい」
「あなたももちろん来るのよね」
「私は……もう……限界です。どうかあなただけでも」
「そんな……あなたを置いていくなんて」
「私が行くと足手まといになるので……先に行ってください!あなたさえ生きていれば……王国は」
どうしてこうなったんだか……私はただただ、安全に出世したかっただけなのに。
いつの間にか、王女様とあんな関係になっちゃった。
「……絶対に帰ってきてね」
そう言うと彼女は、私の唇に自分の唇を重ねた。
突然のことだったので一瞬何が起きたのか分からなかった。
私の口の中に彼女の舌が入ってくる。
私の舌と彼女の舌が交わる。
私の身体が火照ってきた。
彼女の美しい銀髪が私の顔に触れ、彼女の甘い匂いと汗の匂いが混ざって甘酸っぱいような匂いが私の鼻腔をくすぐる。
もう少しこの感じを味わっていたいがもはやここは戦場なので彼女には早く逃げてもらわなければならない。
私はやや強引に彼女を私から遠ざける。
彼女の頬がやや赤くなっている。
……自分でしといて何今更恥ずかしがってるのやら。
「大丈夫、私は必ずあなたの元に帰ってきます。私はボディーガードですから」
「……絶対よ」
そう言って彼女は隠し通路に入って行った。
さて、帰るとは言ったものの、侵入者が何人居るかも分からない上に残弾は残り1発。
それにこの出血量。
恐らく死ぬリスクの方が高いだろう。
だんだん視界が暗くなっていく。
私は壁に寄り掛かってるのさえ困難になり床に倒れ込む。
でも、まだ私は……
目の前にまた一人、侵入者が来た。
「我々人民を苦しめた王女を庇うのか。ならば……死んでもらう!」
「お前ごときに王女様の何が分かる!」
2回の銃声が城内に鳴り響いた。
お読みいただきありがとうございます。
狙撃手の少女は観測手が欲しいと言う作品も書いているので良かったら読んでください。