34.バレた!
―――ドクンッ!!
一気に高鳴る心臓。
咄嗟に体を起こし、ベッドから飛ぶように離れた。
すると、そのタイミングで、寝室に"ルリア"が顔を覗かせる。
「ラファエル、ここにいたか」
「お、お姉さん……! 」
ラファエルは緊張と罪の意識で、全身の血管が沸き立つようにドクドクと強く鼓動打った。
また、それに呼応するかのようにルリアは怪訝そうな表情を浮かべて、言った。
「やはりな。キミは、そうすると思っていたよ」
「な、え……えっ!? 」
まさか、自分の行為がバレていたのか。
もしかして、窓からでも覗いていたのだろうか。
だとしたら、どう言い訳をすれば良いのか。
ラファエルの頭は、パンク寸前に追い込まれる。
「キミの考えはお見通しだ、ラファエル」
首を小さく左右に振って、残念そうに言う。
……やっぱり、バレていたんだ。
ラファエルは泣きそうになりながら、ルリアに近づいて「ごめんなさい」と頭を下げた。
「あ、あの、ボク、その! こんな事をするつもりじゃなくて、たまたま、気持ちが、抑えられなくなって、だから……」
言い訳しようとするほど、悪い方向に進んでいく。
一体どうすれば許してくれるだろう。
きっと、こんな行為を見て、お姉さんは自分を心底気持ち悪いと思ったに違いない。
(嫌われた……。ボ、ボクが馬鹿なことしたから……)
絶対にボクは嫌われただろう。
それでも、謝る他はない。
「ラファエル、キミは……」
……だが、しかし。
ルリアが次に言い放った、言葉は。
「本当に残念だ。私は、きちんとお昼ご飯を食べて、休んでいろと言ったというのに」
「へっ……」
「やっぱり剣を振ろうとしていたな。今日はゆっくり休むべきだと言っただろう」
「あっ……」
あれほど休めと言っていたのに、剣を振ろうとしたこと。
それについて、注意をしに現れたのだった。
「そ、そういうこと……。そういうことかあ~~……」
「そういうこと? 剣を振ろうとしていたワケではないのか」
「あ、いや! 剣は振ろうとしてた……けど」
「どうしてウソをつく。ウソをつく子は、私は嫌いだぞ」
「うっ。ご、ごめんなさい……」
ルリアは「はあ」と、ため息を吐く。
「今のキミの肉体的はズタズタで傷んでいるんだ。休息こそが鍛錬、それを忘れてはダメだ」
「は、はい……」
「キミの事だから、よもやと思って注意しに戻ってくれば案の定だ」
「……っ」
「でも、これで分かっただろう。今日はしっかりと休んでおくことだ」
やれやれ、と言いながら、ルリアは寝室に入り、床に転がった鉄鋼剣を拾い上げた。
「剣を握ろうとして、床にでも転がしてしまったか。今日は剣を触ってはだめだ。返事は」
「……はいっ。ほ、本当にごめんなさい。休む時は、しっかり休みます……」
「うん、そうだな。そう素直な子は、私は好きだぞ」
ルリアはニコリと微笑み、ラファエルの頭をポンポンと優しく撫でた。




