表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/162

第九十話 ディア王女

 何処だ?

 ディアは何処にいる?

 辺りを見回してもフードの子は見当たらない。

 もう移動しちゃったのか。


「リン?どうかした?上手くいかなかったの?」

「翼は上手くいったよ。でも、ここにさっきのフードの子が居たんだ。その子と話がしたい。この翼で何とか見つけられないかな」

「つまり、女神様だけじゃ足りないって言うの?」

「そう言う事じゃないないよ。僕の家族の知り合いらしいんだよ」

「家族?兄弟?」

「姉、、、かな?姉2人とあとは妹と弟」

「意外と多かった」

「まあ、血は繋がってないけどね」

「待って。それって家族って言えるの?」

「え?家族だよ?」

「そ、そう。何か腑に落ちない感があるけど」


 ああ、ディアって分かってたら、さっきフィアの事を話せば良かった。

 ディアもフィア達の事を探して、フォルクヴァルツまで来たんじゃないのか?


「対象、ディアマント=ツィン=ヘルグリューン」


 まだ、リストには残っていたから、ステータスを見てみることにする。



 名前 ディアマント=ツィン=ヘルグリューン

 性別 女

 年齢 13

 レベル 5

 職業 シュタール王国王女

 種族 エルツ族

 階級 なし

 称号 最高硬度の姫

 所属 なし

 加護 なし


 生命力 985/985

 CP 25%

 SP 252G/252G

 状態 正常


 スキル

 ・・・・



 おお、人のステータスを勝手に盗み見るのって、悪い事をしてるような気がするよね。

 分かってはいるんだけど、そういう魔法だし、天使だし。

 はあ。何言い訳言っても、罪悪感は残るもんだ。

 ここはもう開き直るしかないね。

 ………次からは知り合いにこの第六の翼は使わないようにしよう………。


 状態の欄を触り、入力が出来るようにする。


 状態 正常/光り輝く


 こう変えてみた。

 こんなステータス聞いた事無いけど、あ、ほら、あそこにいた。

 人がたくさんいる中、一箇所だけ眩しいくらいの光を放つ場所がある。

 そこに行ってみると、フードごと光り輝くディアが居た。


「何だ!この光は!神に召されるのか?!」


 ああ、こんなの混乱するって。

 ちょっと悪いしたかな。

 ステータスを元に戻すと、光は消え去り、元のフード姿に戻る。

 周りから注目を浴びていたけど、光がなくなった事で皆んな興味が失せたのか、散り散りになっていく。

 ディアに声を掛ける。


「あのさ」

「!!また貴様か。くっ」


 あ、逃げた。

 なんで?


「もう見えなくなったわね」

「逃げ足速いな。じゃあこうだ」


 状態 正常/移動できない/天から光が差す


 これでどうだ。

 おお?空から光が一点に降り注いでいる。

 そこに行ってみると、足を踏み出したまま固まっているディアに光が当たっていた。

 便利便利。


 目立つから天からの光だけ消しておく。


「これは、貴様がしているのか?早くこれを解け」

「話をしてくれるなら」

「………分かった、話をしよう」

「本当に?もしまた逃げたら今度は頭の上に、この人はディアです、って表示させるよ?」

「何を、、、ん?何故我の名を知っている?ディーとしか言っていない筈だが」

「その呼び方を他の人にさせたらフィアが怒るんじゃないの?」

「!!貴様!フィーちゃんを知っているのか?!」


 本当にフィーちゃん、ディーちゃんって呼びあっていたのかよ。



 流石にフィアの名前を出したら食いついてきた。

 逃げるどころか、早く詳しい話をしろと、ぐいぐい来るくらいだ。


「と、まあ、そんな感じで、今は王都に住んでいるんだ」

「なるほど。貴様にはラーちゃんを助けてもらったようで、感謝しなければならないな」

「ラーちゃん………。あ、ラナの事か。あと、マルモとブロンも知ってる?」

「ああ、我のメイドの子供達だろう?マーちゃんとブーちゃんだ!」

「………ああ、うん、そう。まあ、呼び方はどうでもいいや。もし、フィア達に会いに来たんだったら、一緒に行く?軍に王都まで連れて行って貰うんだけど」

「いや。我は王女だからな。万が一にも捕まる訳にはいかぬ。この国の軍ともなれば我を捕獲して母国との交渉カードに使おうとするものもいない訳ではない」


 そうだな。

 国王ですら、最初はエルツ族は排除すべきと頑固だったし、敵地みたいなものだよな。


「分かった。何も手助けできないのは心苦しいけど。フィアの所はこの場所だから」


 僕の家の場所を地図付きで書いて渡す。


「ああ、助かる。もし、我より先にフィーちゃんに会えたら、ディーが会いに行くと伝えておいてくれないだろうか」

「分かった。伝えるよ。あ、そうだ。さっきのお詫び」



 加護 アリアージュ・ミヌレの加護



 僕の加護を付けておいた。

 他の神様の加護を勝手に付けていいものか分からなかったし、僕のなら問題ないでしょう。一応天使だしね。

 ディアにステータスを確認して貰う。


「これは、、、貴様は、、、あなたは女神だったのか?」

「あ、いえ。えっと、一応、ただの人族なんですけど、天使っぽい事もちょっとできるので、ハーフ天使、みたいな?」

「そ、そうか。変わった属性もあるものだな。だが、このあなたの加護はありがたく受け取っておく。では、また会おう!」


 ばささあっとマントを翻して、颯爽と行ってしまった。

 そして、気がつくともう何処にも見えなくなっていた。

 何か隠密系のスキルでも持ってたんだろうか。


 ディアの事を早くフィア達の所に戻って、知らせなきゃ。


「ねぇ」

「ん?何?レリア」

「加護って何?」

「え、あ、何だろうね」

「隠すんだ」

「わ、分かったよ。説明するよ。と言っても、どんな効果かあるかなんて分からないから、御守りみたいなもんだよ。気休め程度。僕の天使の力が少しでもあの子を護れれば良いかなって思って、僕の加護を付けたんだよ」

「わたしも」

「え、、、っと」

「わたしにも、その加護を付けて」


 そう言うんじゃないかと思ったよ。

 仕方がないので、レリアにもアリアの加護を付けておく。


「言っておくけど、何も効果は無いと思うよ?それに、王都に帰ったらリンに戻るんだし」

「いいわ。それでも。ねぇ、これって、リンの加護ってならないの?」

「もっと意味ないじゃん、それ。ただの人族の加護なんて何にもならないよ」


 それでも良い、という事らしいので、リンとアリアの二つの加護を付けておいた。

 その後もレリアは自分のステータスを見てずっとニヤニヤしていた。

 何がいいんだか。




 翼を出さずに魔法を使えるようになったので、さっきのお店のおじさんの所にまた行ってみた。



「さっきのおじさん!腰をもう一回みせて!今度こそ大丈夫だから!」

「お?何だ何だー?本当に治せるのかー?言っとくけど回復魔法じゃ、一時的に痛み止めにしかならないぞ?教会で高い金払ってやってみた事もあるけど、次の日には再発してたからな」


 そ、そうなんだ。

 やっぱダメかも。


「ああ、それじゃあ、やめとこっかなあ、とか」

「リン!やってみなさいよ。戦場じゃ何でもやってみてたじゃないの!見た目が変わったら、気持ちも変わっちゃうの?」

「レリア………。そうだね。うん!やってみるよ!」

「おい、なあ、俺で何か試そうとしてないか、、、。チャレンジっぽいニュアンスがあるんだけどよ」

「おじさん!細かい事気にしてたらダメだよ!」

「ええええ、、、。細かい事かなあ」


 そうそう。細かい細かい。

 小声でセラフの翼を起動する。

 そして、第六の翼をこのおじさんに向けて実行する。

 あれ?



 状態 正常



 正常って出たぞ?

 腰痛くらいだと、バッドステータスにならないのかな?

 なんだよ、状態 腰痛、とかってなってたら、そこを正常に戻せば治せると思ったのにな。

 あ!こっちのこれか、、、、。



 スキル

 腰痛持ち SLv3

 串焼き SLv4

 商売 SLv1



 何だよ、腰痛持ちスキルって。

 しかもレベル3もあるし。

 腰が痛くなるスキルなのか。

 ああ、つまり、一時的な状態の変化というのではなくて、常に発動するパッシブスキルとして、いつも腰痛になる、って言う物なのか。

 これじゃあ、回復魔法で治しても、根本的には治らないよな。

 だって、この人のスキルなんだから、回復魔法で消せる訳ないよ。


 でも、この第六の翼なら、なんて事ない問題だな。


 スキル欄から腰痛持ちを消してしまう。



 スキル

 串焼き SLv4

 商売 SLv1


 よしよし。

 これでどうだ。


「どう?おじさん。腰まだ痛い?」

「おおん?お?なんだ?痛くねえぞ!おお!ほら!こんなに捻っても下向いても何ともねえ!ふはははは!こりゃいい!嬢ちゃん!ありがとよ!」

「おお、上手くいった」

「へぇ。何だい。腰に効く魔法でもあるんかい。ワシにもやってくれんかの」

「ええ、いいですよ」


 お店に来ていたご老人も、腰痛持ちスキルを消して治してあげる。

 ついでに、関節痛持ちスキルもあったから、それも消し去った。


「ほうぅぅ。こりゃスッキリしたわい。膝の痛みもなくなった気がするし、ベッピンさんに治してもらえたし、長生きしてみるもんじゃのう」


 おじいさんは、プルプル震えながらスキップして帰っていった。

 治しすぎたかな。

 まあ、お年寄りが元気なのはいい事だ。


 なかなか面白い使い方が分かって良かった良かった。

 さて、そろそろ帰るとするか。


「ねぇ」

「ん?帰るよ。僕は帰るったら帰るよ?」

「見ない振りする気?」


 やっぱりダメか。

 お店の前には行列が出来ていた。

 お店のおじさんだけでやめておけば良かった。

 さっきまで、よろよろだったおじいさんが、いきなりスキップして帰れば嫌でも目立つよな。


 マルブランシュの時と同じで、目の前で奇跡が起きればこうなるのは分かってたじゃないか。

 そして、あの時も大変だったじゃないか!


「はい、次の方。あ、おじさんごめんね?お店の端、使わせて貰っちゃって」

「ああ、いいさ。俺の腰を治してくれた治療費みたいなものだよ」

「うん。ありがとう」


 結局、腰痛のおじさんのお店を間借りして、臨時の治療院が開業した。

 大抵のお客は腰痛持ちや関節痛持ちだった。

 冷え性スキルとか、偏頭痛スキルというのもあった。

 皆んな大人は苦労してるんだな。

 またいつかはスキル持ちになってしまうだろうけど、しばらくの間は悩みの種とは離れられてスッキリする事だろう。


 皆んな晴れ晴れとした顔で帰っていく。

 やっぱりお礼を渡そうとする人が後を絶たないけど、全部断った。

 持っていた飴をくれるくらいなら受け取るけど、価値のあるものやお金そのものは絶対に受け取らないようにした。


 何となく天使の力ってお金儲けに使う物ではないと思ったから。

 中には風邪とかの病気の人も居たけど、その場合は、


 状態 ただの風邪



 と出ていたから、、、ただの風邪って何だよって思いながらも状態を「正常」に戻したら簡単に病気も治った。

 皆んなそんなに深刻じゃない困りごとだったから、マルブランシュの時と比べれば、のんびりとした治療院といった雰囲気だった。


 天使と言うよりは、町医者だね。


「あの、、、僕も治してもらえますでしょうか、、、」


 お年寄りばかりの中では珍しく、若い、、、10代くらいの男子が来た。


「はい。いいですよ?早速診てみますね、って脱がなくていいから!顔を赤くしないでよ!残念そうにしない!ふう、全く最近の若者はこれだから、、、、」

「リン?最年少はあなたよ?」


 そういうの言うってのは野暮ってもんだよ。

 こほん。気を取り直して、この若者を診てみようかね。


 んー?状態も正常だし、スキルも変なのは付いてないな。

 何を治すってんだい?

 ああ、、、、これか。



 職業 奴隷



 この男の子は奴隷なんだ。

 奴隷の首輪は服でうまく隠しているようだ。

 これは、でも主従契約の主人がいるはずだから、勝手に解約しても良いものなのかな?


「えっと。その首の物を取りたいって事でいいのかな?」

「は、はい!僕はノルドからの移民だったんです。始めはマルブランシュが移民受け入れをしてくれたんですけど、そこで、奴隷商人に捕まってしまって、この国に売り飛ばされたんです」


 本当に奴隷ってラナみたいに売られてくるんだな。

 そう考えると助けてあげたいな。


「うん。じゃあやってみるよ。ちょっとジッとしててね」

「は、はい!」


 職業欄の奴隷部分を触り消してみる。


『警告!この変更をすると、このアバターユニットの所有者に通知が送られます。変更を実行しますか?』


 よく分からないけど「はい」と答えてみる。


『このアバターユニットの職業を変更します。変更後、10s以内であれば、ロールバックする事が可能です』


 職業欄は空になった。

 それから10秒経った時に、


『変更が自動コミットされました。主従契約の強制解約を実施しました。このアバターユニットの所有者にステータス変更のお知らせを通知しました。奴隷職消失により、一部スキルが削除されました』


 これでいいのかな?

 何か色々問題が起きそうな感じがしないでもないけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ