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第四十話 図書館

 結局、ひったくり事件のせいで、みんなで帰り道に買い食いする、と言うのは無しになってしまった。

 まだ、学校初日だしこれからチャンスはたくさんある。

 明日また誘ってみるかな。


「ただいま〜」

「おかえり、ご主人。遅かったわね」

「ああ、うん、ちょっとね。って、そのお金、どうしたの?」


 みんながテーブルを囲んでいる中、その中央には大金貨が1枚置いてあった。

 勲章の報奨金はあと少し残っているけど、もう大金貨は無かったはず。

 大金貨と言えば確か100万フォルクだ。


「さっき王宮のクラウゼンって言う人が来て置いていったのよ。これが例の件のお金ですって。ねぇ、ご主人!何やったの?闇なの?人に言えない闇の仕事したの?」

「何を言ってるのさ。宰相さん、早速持って来てくれたのか。仕事が早いな。しかし、一度に渡してくれるなんて王宮は気前がいいな」

「リン。ちゃんと説明しなさい。わたしたち、さっきからあなたが学校に行くようになったせいで不良になったのではないかと悩んでいたのよ?」


 ああ、そうか、時間がなくて話が出来ていなかった。

 昨日、また王宮に行って王子と王女の護衛をする代わりに、正式な仕事として報酬が欲しいと言うことを頼んだんだ。

 こんなに早く持って来てくれるとは思わなかったな。


「この国の王女と王子が一緒に入学するのは前に話したけど、その二人の護衛を国王から頼まれていてさ。これはそのお給料だよ」

「でもこの金額はおかしくない?私がギルドで稼ぐお給料並みよね」

「え?これ一年分じゃないの?」

「クラウゼンさんは『今月分になります』って言ってたわよ」


 そんな馬鹿な。

 そう言えば昨日は金額をどうするかとか全然話さなかったな。

 こんなに貰うとなると、もうちょっとしっかり護衛しないといけない気がして来た。

 さっきのひったくり事件の時もフリーデを危険に晒してしまった。

 いくら彼女が強くてもあれじゃあ護衛失格だ。

 ユーリアさんはもっと失格だけど。

 あの人は実は護衛を装った友達枠なのかもしれないけど。


 とにかく、護衛は頑張るとして、お金は学費以上には稼げるみたいだから少し安心した。


「まあ、あれだよ、このお金はみんなで自由に使っていいからね」


 カーッ、こんなセリフ言ってみたかった!

 いやいや、10歳の子供が言いたがる言葉じゃないな。

 家族を持つと誰しもこうなるのだろうか。


「ちょっと待ってよ。リンくん、無理してない?だっておかしいわよ。ギルド職員ってこの王都でもかなりの高給職なのよ?それに近い額を子供のリンくんが貰うなんて、普通の仕事とは思えないわ!」

「そう、なのかな。軍で働いていた時にもお給料は貰ってたじゃない?あの時は数日だったから比較は難しいかもしれないけど、あのまま一月働けばこのくらいはあったんじゃないのかな?」

「だからダメなんじゃない!戦争に行くような仕事と同じ額なんてそれだけ危険があるってことなんじゃないの!」


 あ、あれ?そういう理屈なのか?

 それならレティも危険な仕事にならないのか?

 違うか、子供に与えるお金としては割に合わないと考えるべきなのか。


「そんなに危険な仕事じゃないはずだよ。学園の中なら危ない事にはならないだろうしね。さっきのも問題なかったし」

「さっきの?ねぇ!何があったの!」

「くんくん、これは!血の匂い!ご主人!誰をヤッタの?」

「いやいや、血は出てないし、誰も殺めてないよ!」

「つまり、血は出ないまでも何か事件が起きたと言う事なのね」


 うぐ、フィアまで参加して来た。

 仕方ないのでひったくり事件の事を話したらやっぱり怒られた。

 レベル差もあるし、王都の中なら特に問題ないのに、と言ったら、そう言う問題じゃなく内緒にしていたのがいけなかったらしい。

 これからは何か問題ごとに巻き込まれたら、必ず報告すると言う家訓が出来てしまった。

 家訓ってそう言うものなのだろうか。


「ねぇ、リンくんって魔法とかスキルが自由に作れるのよね?それならさ、お互いの居場所が分かるようなのってないのかな?」

「自由に何でも作れる訳じゃないよ。でも、お互いの居る場所かぁ。魔法とかスキルの名前の一部が分かるといいんだけどな」

「それだけで本当に作れるんだ。この間、謝りたい事があるって言われて、あの部屋で懺悔された時は思わずゾクゾクしちゃったけど、実際に見てみるまでは実感が湧かないものね」


 レティ、懺悔の感想がおかしいよ。

 居場所ねぇ。あとはみんなと連絡を取る方法が欲しいよね。

 今は遠くにいて会話出来るのはラナだけだからね。


「えっと、いばしょ。ダメか。いるところ。そんなスキル名ないか。んー、スキル一覧とかって無いのかな」

「今のが作れるスキルを探してるの?面白いわね。そんな風に変な言い方しないといけないの?」

「そこは気にしないで。最初に緊張してこんな声で言ってたらそのまま癖になっちゃったんだよ」




 みんなの居場所が分かるスキルとメッセージ以外の遠くでも会話が出来るスキルを探す為に、レティと二人で枢機院図書館に行く事にした。

 エルツ組はあまりスキルには興味が無いらしく、それ以上に図書館が苦手らしく付いてこなかった。


「レティの休暇をこんな事で潰しちゃってよかったの?」

「何を言ってるのよ!リンくんとお出掛け、より大事な用事がある訳ないじゃないの!」

「そ、そう。それならいいけど。なんで、普通の図書館じゃなくて、枢機院図書館なの?」

「スキル一覧なんて誰も読まない本を場所の限られている小さな図書館に置かないわよ」


 そうか、僕はスキルを作る為に必要だけど、普通の人は自分のスキルを知っていればいいんだもんな。

 見たこともないスキルを知りたがる人はいないか。

 なら何故そんな本が存在してるんだろう。


 枢機院図書館に着いた。

 ここは古い書籍がある本館と雑誌類がある新館に分かれている。

 スキル一覧の本は本館だろう。

 でも、始めて来た人は新館で利用者登録をする必要があるみたいだ。


 名前などを書いて登録を済ませると登録利用者カードという物が貰える。

 レティは既にカードを持っていた。

 流石、王国1等監査官だ。

 国家試験の勉強でよく利用したらしい。


 登録利用者カードを入り口の装置にかざすとゲートが自動で開く。

 この装置にはマナ感知の機能があるらしく、カードをかざすと利用者のマナがカードを通して装置に送られるのだそうだ。

 そして、そのマナ自体がゲートを開く原動力となる仕組みらしい。

 こんな機械仕掛けがあるなんて知らなかった。


 マナも人によって違いがあるようで、マナ紋と呼ばれる個人ごとに違うマナの模様のような物をカードに登録する事で、他の人がこのカードを使ってもマナが装置に送られることは無いという、安全機能付きだ。

 マナモン。なんか響きが可愛い。


 この中に持ち込める物は限られているようで、財布などの貴重品と筆記具以外は全て入り口で預ける必要があった。

 僕は何も持って来ていなかったけど、レティはバッグがあったので預けていた。

 その貴重品も透明な袋に入れて館内を持ち歩かないといけない厳重ぶりだ。


 ようやく中に入れた。

 連絡通路を通りお目当ての本がある本館に向かう。


 本館入ったけど本が殆ど見当たらない。

 椅子と机がずらっと並んでいるだけだ。


「ねぇレティ、ここって国内最大の図書館なんじゃなかったの?」

「?そうよ、ああ、本はみんな書庫にあるのよ」

「じゃあ早くそこに行こう」

「利用者は入れないわよ。ここで探して持って来てもらうの」


 レティが椅子に座るので僕も隣に座る。


「ここにさっきのカードをさしてみて」


 机に置いてある装置に入り口で作ったカードを差し込む。

 うおっ。

 目の前にウィンドウが現れた。



 王立枢機院図書館


 キーワード[         ]♪


 [検 索]



 これで閲覧したい本を検索するのか。

 見た目は殆どスキル作成スキルみたいなものだな。

 音声入力もあるし、やり方は同じでいけそうだ。

 声で入力をして検索をしてみる。


 [すきるいちらん]


 検索結果 254 件中 1-20 件を表示


 改定版 スキル一覧

 図書 魔導社


 わかる!スキル一覧 スキルマスター

 雑誌 スキルマスター編集部


 シリーズこの花が好き! ルイチ蘭の育て方

 雑誌 花畑社


 ・・・・


 一番上のでいいのかな?

 見たい本の申込ボタンを押して職員さんに書庫から出して来てもらうようだ。


「30分くらい掛かるからのんびり待ってましょう」


 そんなに掛かるのか。

 たった一冊の本を読みたいだけなのに。


 30分経ったら今度は「到着確認用」と書かれた机に行き、同じようにカードをさすと、頼んだ本がどのカウンターに着いたかが分かるようになっている。


 さっきの本が届いたようなので、「受取1」と書かれたカウンターに取りに行く。


「やっと読めるね」

「ここだと読めないからあっちに行くわよ」


 本館第一閲覧室と書かれた部屋に入りようやくお目当ての本が読めるようになった。

 ここまで来るのになかなか大変だな。

 せっかく苦労して手元に呼び寄せたんだからきっちり読まないとだね。



 スキル一覧の本には細かい字でビッチリとスキル名やどういう効果なのか、ビルドタイムや必要なSPまで丁寧に書かれていた。

 凄いなどうやって調べたんだろう。


 お、経験値増加スキルがあったぞ。

 何々、初代フォルクヴァルツ国王の持っていたレアスキル、か。

 結構凄いスキルだったんだ。


 あ、そうだ、スキル作成スキルはなんて書いてあるんだ?

 ス、ス、スキル、あれ?無いな。

 そんなはず無いよな、名前もウィンドウにちゃんと書いてあったから間違いないし。

 知られていないスキルなのかな。


 目的別索引から位置情報を得るスキルで探してみると良いのがあった。


  友達を探す SLv1


  友人や家族を登録しておくと、遠隔地でも位置情報を地図上に表示できる。



 こんなスキル名分かるわけないよ!

 このスキルを発動すると、登録と検索の二つの機能が使える。

 近くにいるときに登録をしておけば、遠く離れていても何処にいるのかがウィンドウ上の地図に示される、というスキルだ。


 あとは、仲間との会話が出来るスキルか。


  チャット SLv1


  友人や家族同士で文章による同時会話ができる。



 何だこれ。これで会話が出来るのかな。

 メッセージと同じで文字での会話だけど、複数人が同時に話せるみたいだ。


 よし、この二つを後で作ろう。

 ようやくこれでみんなと会話が出来るようになる。


「ねぇ。リンくんは名前が分かれば作れるでしょうけど、私はどうすれば使えるようになるの?と言うかエルツ組も使えるようになるの?」

「あ!そうか、僕がスキルを作ったとしても、みんなが使えないと意味が無かった」


 どうしよう。

 他人にスキルを作ってあげるっていうスキルは無いかな?

 いや、僕のスキル作成スキル自体がレア中のレアスキルみたいだから、そんなもっと自由度の高いスキルがある訳ないよね。


 スキル一覧でスキルを共有出来るようなものがないか探してみる。



  家族シェア SLv1


  家族同士で魔法やスキルを分けあえる。

  一か月に一人あたり10回まで。

  分ける人数分のCPが常に占有される。

  一人当りCP3%占有



 これならいけるか?

 あと似た名前のもあるな。


  家族シェア+ SLv1


  家族同士で魔法やスキルを分けあえる。

  回数無制限。

  分ける人数分のCPが常に占有される。

  一人当りCP6%占有


 これはこっちの方がいいよな。

 その代わりCPも作成時のSPも倍近く掛かるみたいだ。

 まあ、SPに余裕はあるし、プラスの方にしよう。


 まずはこれが無いと始まらないから作成しておこう。

 げげっ!ビルドタイムが92,234sだって。

 丸一日以上掛かるんだ。

 先に作ろうとして正解だった。

 もしかしてと思ったら「友達を探す」も「チャット」もビルドタイムは21,751sと19,825sだった。


 どちらも6時間くらいかかるんだ。

 一度に2つを同時に作れるから、片方は家族シェア+として、もうひと枠もチャットの方から作っておこう。


「ふう、何とかこれで目的のものは揃うかな。レティありがとね。暇だったでしょ」

「むふふ。リンくんがキリッとした顔で集中してるの、ゆっくり眺められたから幸せ!ラナは惜しいことをしたわね」

「うぐ、恥ずかしいなぁ」


 本は返却カウンターに返して、荷物が新館の入り口に預けてあるからまた戻ってから、ゲートをくぐり荷物を返してもらって、ようやく外に出てこられた。

 手続きは大変だったけど、なかなか有意義だったからまた調べ物があれば来よう。



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