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91 宝箱VSゴルオン ゴルオンのターン

前回:獣人の参加をかけてトシゾウとゴルオンが決闘することになった。

 レインベル領、訓練場


 レインベル領にある数少ない陸地。

 普段は訓練場として使用されている場所だ。


 今は俺と獣人たちが対峙している。


「ご主人様、殺さないようにがんばってください」


「トシゾウ様、武運を祈りますわ」


「閣下、ゴルオンは獣人の中でも屈指の実力者です。獣人は力を重んじるため、彼を倒すことは今後に良い影響を与えるでしょう」


 応援の声がかかる。悪くない。

 純粋な応援と言うよりは、別のことを心配しているようだが。



「決闘は神聖な儀式だ。死んでも互いに恨みは残さない。俺が死んだ場合は、部下が話を獣人に伝える。知恵ある魔物と言うならば手加減は無用だな。殺す気で行くから油断するな」


「俺を心配しているのか。ゴルオンは親切だな。良いだろう、圧倒的な力を示そう」


 スキル【蒐集ノ神】を発動する。


 ゴルオン

 年 齢:38

 種 族:獣人(獅子種)

 レベル:21

 スキル:【剛力ノ鬼】

 装 備:マッドマンティスの手甲 マッドマンティスの鎧 剛力の腕輪 


 レベルは21、スキル持ちか。

 マッドマンティスは25層相当の魔物だ。

 ゴルオンのレベルに相応しい装備と言えるだろう。


 迷宮を利用できない状態でこれだけのレベルを手に入れるのは並大抵のことではない。


 迷宮では瘴気が還元されることによって経験値にブーストがかかる。

 そしてレベル21という数字は、迷宮を利用しても一握りの者しか到達できない領域だ。


 経験値効率の悪い荒野でレベル21に達するとは。

 人生の全てを戦いに費やし、さらに格上の敵を屠り続けないとこの域に達することはできないだろう。


 迷宮を利用できていれば、あるいは最深層に到達し得る人材だ。


「…惜しいな」


 このような人材が迷宮に潜れないなどもったいない。損失だ。

 ゴルオンが迷宮に潜っていれば、俺の宝はさらに増えていただろう。


 獣人は魔法を使えない代わりに、それを補う身体能力を持つ。

 ゴルオンの装備とスキルも獣人らしく近接格闘戦に特化している。

 他の獣人の能力も同じような構成だ。


 獣人に圧倒的な力を示すなら、相手の得意分野で戦うか。

 魔法を使わず、基礎的な能力で圧倒するのがわかりやすいだろう。


 トーセーグソクは不要だ。

 俺はすべての戦闘装備を外した。



 トシゾウはスキル【擬態ノ神】を発動する。


 頭の上に白い耳が生え、臀部から白く豊かな尾が伸びる。


 レベルを50から60に。

 さらに人族から獣人に変化する。


 【擬態ノ神】は格下に擬態するほど、設定できる能力の幅は大きい。

 人族や獣人はオーバード・ボックスに格で劣るため、レベルやスキルを幅広く選択できる。


 トシゾウ

 年 齢:20()

 種 族:獣人(白狼種)(オーバード・ボックス)

 レベル:60()

 スキル:【剛力ノ神】【耐久ノ神】【敏速ノ神】(【擬態ノ神】【蒐集ノ神】【無限工房ノ主】)

 装 備:不死鳥の尾羽 主従のミサンガ



「準備完了だ。自由に攻撃してこい」


 トシゾウは簡素な衣服だけの状態で両手を広げる。


 …。


 擬態したトシゾウを見ても、取り囲む獣人たちに動揺する気配はない。

 油断せず、力を溜めている。


 一瞬の静寂が破られる。


「行くぞ!」


 先陣を切ったのはゴルオン。

 獣人の脚力は同レベルの人族を凌駕する。

 ゴルオンは一瞬でトップスピードに達し、トシゾウを射程に捕らえる。

 小細工は不要。それは両者ともに理解している。


 ゴルオンが指を折り曲げ、手のひらを突き出す。掌底打ちだ。

 指先に装備された鎌、マッドマンティスの手甲から突き出された3本の鎌が先行し、トシゾウへ迫る。


 手甲で獲物を貫き、そのまま正拳突きで押し込み、粉砕する。ゴルオン最強の一撃だ。


「はあぁぁっ!」


 ドゴォッッッ


 空気が震える。


 手の平がトシゾウの顔面に直撃した。

 それは先行する鎌が敵の顔面を貫いたという証拠。…これまではそうだった。


 ビキリッ


「ぐっ」


 くぐもったうめき声を上げたのはゴルオン。

 手首に甚大な負荷がかかり、骨が折れ曲がっている。

 通常ではありえない反動に顔をしかめた。


 生き物を殴った時の感触ではない。まるで巨大な金属の塊を殴ったような…。


 手甲を確認したゴルオンは驚愕する。


「…ばかな。マッドマンティスの鎌が、砕けただと?」


 激しい動きから一転、動きを止めるゴルオン。

 緑に輝く欠片が宙を舞っていることに気付いたのだ。


 鎌は貫通したのではなく、砕けただけだった。

 粉々になり吹き飛ぶはずの相手は、まったく変わらぬ姿でそこに立っている。


 掌底打ちで与えたはずの衝撃と爆風はトシゾウの髪を揺らすだけだ。


「…たしかに眼球を捕らえたはず。いったいどんな手品を使った?」


「なにも。ただ目を閉じただけだ。目に入ると痛そうだったからな。その程度の攻撃ではまぶたの薄皮が破れるかどうかだ」


 当然のように答えるトシゾウ。


 マッドマンティスの爪を加工した手甲はノコギリ状になっている。

 貫通まではしなくとも、殴りつけた敵の肉を削り取る殺傷力の高い武器だ。


 ゴルオンには、たとえ相手が50層の魔物であってもダメージを与えられる自信があった。

 だがそれは思い上がりだったらしい。


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