68 トシゾウの性欲とシオンの献身
シオンが俺の本当の所有物になった。
シオンは役に立つし、かわいい。
今日さらにかわいくなった。
そうだ。シオンはかわいい。そして俺のものだ。シオンもそれを望んでいる。
…。
俺はシオンを抱き寄せる。
「ご、ご主人様?」
シオンが慌てたような、戸惑うような声を出す。かわいい。もっと他の表情が見たい。もっと違う声で鳴かせたい。シオンの全てを蹂躙したい。そう、たとえば…。
人族の本能は正直だ。
いや、これは人族に擬態しているからというだけではない。
俺自身の欲求でもあるのか。
俺は今、猛烈にシオンを抱きたいと思っていた。
「シオン、お前は俺に抱かれたいか」
「ふぇ!?え、えぇと、その…はい…」
素直なシオンがかわいい。目を蕩けさせるシオンがかわいい。俺にもたれかかるシオンがかわいい。恥ずかし気に耳をたたむシオンがかわいい。…だが。
俺は必死に本能を押さえつけて、シオンを抱いていた腕を緩める。
「ご主人様?」
「…一年待て」
「一年、ですか?」
「そうだ。シオン、今日はお前が15年前に生まれた日だ。今日でシオンは15歳になる。そして一年後は16歳だ。その時にシオンの気持ちが変わっていなければ、俺はシオンを抱くと約束しよう」
【蒐集ノ神】による鑑定に狂いはない。シオンの年齢は15歳になっている。
「…わかりました。私は15年前の今日に生まれたんですね。初めて知りました。…でも、なぜ16歳なのですか?」
「今の俺は魔物だが、昔は人間だった。こことは別の世界で生きていたんだ。信じられないかもしれないが」
「信じます。ご主人様がおっしゃることですから。それにご主人様は時々、まるで人みたいだなと思っていました」
スキル【超感覚】があれば俺が嘘をついているかどうかは判断できるだろう。
だがシオンは俺の言葉だから信じると言った。…悪い気はしない。
「そうか。16歳というのは、その世界で女性が結婚を認められる年齢だ。いまさら前世の決まりを守る気はないが…。俺はシオンを抱くということに、ためらいを感じている。一つの節目というか…、そのようなものだ」
他の女を抱くことに抵抗がないのに、なぜシオン相手には躊躇してしまうのか。
同じ所有物でも、ベルと話をした時はシオンとは違った。
仮にベルを欲望のままに抱くことになっても、ためらいを感じなかっただろう。
自分でもうまく言い表せない。
言いよどむのはいつ以来だろうか。
今の俺はどのような表情をしている?
「わかりました。一年後にご主人様に抱いてもらえるようにがんばります。でも、その、いつでも気が変わったら言ってくださいね」
うまく言葉にすることはできなかったが、シオンは理解してくれたようだ。
「それとシオン。そのだな…。これからも俺は人族に擬態しているつもりだ。そうなると…」
「わかっていますご主人様。男の人はそういう生き物だとベルさんやアイシャさんに教えてもらいました」
「う、そ、そうか。だが…」
シオンが俺の口に人差し指を当てる。
ふわりと良い匂いがする。
「ご主人様、全てわかっています。私は、ご主人様の従者です。私は今、世界で一番幸せです。この幸せは、ご主人様がほかの人を抱いたくらいではまったく揺らぎません。いつものように、傍にいろと、何も問題ないと、言ってくださればよいのです」
ご主人様は意外と真面目ですね。シオンがいたずらっぽく笑う。
これ以上の問答は蛇足か。
「そうか。シオンは良い従者だな」
「はい!」
この一幕を他の者が聞いていたら何と言うだろうか。
だがこの場にはトシゾウとシオンしかいない。
何も問題はないのである。
「シオン、これを身につけていろ」
俺は懐から銀色の指輪を取り出し、シオンの左手薬指にはめる。
飾り気も、傷もまったくない、どこまでもシンプルな指輪だ。
「ありがとうございます。これは…?」
「【永久の指輪】という。状態異常を退け、装備者を最良の状態に維持してくれる指輪だ。これからのシオンに必要な指輪だが、それ以外にもいくつか意味がある」
「意味ですか?」
「そうだ。左手の薬指に指輪を身に着けることで、シオンが俺の者であるという証になる。まぁ、まじないのようなものだ」
「ご主人様のもの…!わかりました。大切にしますね」
やましさをごまかすためとか、単に贈り物をしたくなったとか。
野暮な理由は口にする必要はないだろう。
指輪を愛おしそうに撫でるシオンを見ながら、シオンはかわいいなとトシゾウは思った。
シオン
年 齢:15
種 族:獣人(白狼種)
レベル:30
スキル:【超感覚】【竜ノ心臓】
装 備:祖白竜の鎧 祖白竜の短剣 祖白竜の短剣 白王狼の靴 不死鳥の尾羽 始祖エルフのネックレス 永久の指輪
トシゾウ
年 齢:20()
種 族:人
レベル:50()
スキル:【火魔法ノ神】【武技ノ神】(【擬態ノ神】【蒐集ノ神】【無限工房ノ主】)
装 備:オークの鎧 オークの靴 鉄の短剣 不死鳥の尾羽 主従のミサンガ
宝から宝をもらうのは初めてだ。斬新だ。
俺の腕には白銀のミサンガが輝いている。
なんとなく強くなった気になる。
なんだか最終決戦の前みたいだなーとトシゾウは思った。
投稿決定ボタンを押すのを忘れていましたorz
本日二話投稿します。いつも読んでくれてありがとう!




