表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

212/239

第207話 手を取り合うには諦め切っていて

 ロボク村の開発準備が着実に進む中、唯一全く進んでいないことがあった。

 村人たちの合意である。


 ロボットの修理は、有多子とスラを中心に、遥人と任の手も借りて順調そのもの。

 治水作業の準備も武蔵とサティが指揮するアンドロイド部隊が的確に進めていた。

 今日から、リオと真姫による測量もスタートする。


 しかしいくら準備が進んでいても、着手にならなければどうしようもない。


 サティはロボク村の合意を得られる勝算が五部五部と言っていた。

 今更ながらにその言葉が重くのしかかっていた。


「まっずい……まっずいよ……このままじゃ、ものり、本当に役立たずだよ……」


 ナクラの家へと向かう道すがら、ものりは思い詰めた表情をしていた。


「ものりさんのせいじゃないよ。ロボク村とうまくいってないのは、完全にボクの責任だよ」


 先行する武蔵の後ろ姿を見ながら、栄介もまた少し気落ちした。

 今回、武蔵の手が少し空いて来たということもあり、武蔵自身がナクラに会いに行きたいと言ってきたのだ。

 正直に、武蔵の同行を、栄介はあまり快く思っていない。

 それでうまくいけば、また武蔵に負けたことになるからだ。 


「それだけじゃなーい!!

 えーちゃん、言葉覚えるの、早くないっ? なんなのっ? 秀才なのっ? 秀才だよね、知ってたよ!」

「いや、覚えたって言っても、まだ聞き取りが辛うじてできるくらいで、しゃべるのはまだまだだよ」


 サティやものりがいてくれるから、日々の生活に困ることはなかったが、それでもロボク村の人たちと話をするのにムングイ語を覚える必要があった。

 栄介も栄介なりに必死になって勉強したのだ。


 もっとも、これにもまた栄介個人の別の要因が絡んではいた。

 聞けば武蔵はこの世界に来て一か月くらいでは、この国の言葉を片言ながらしゃべれていたらしい。

 もちろん武蔵の場合、本当に日本語が通じる人が全くいなかったらしいから、生きていくための必死さがまるで違っただろう。

 それでも武蔵に出来たのだから、自分だってという気持ちはどこかにあった。


「それに、ものりさんとパールが教えるの上手かったんだよ」


 もう一つの要因がそれである。

 パールに意図せず告白してしまってから、ますます顔を会わせ辛かった。

 お互いがお互いを避けていた。


 そんなときにものりから提案があったのだ。

 ムングイ語のお勉強会をしましょう、と。

 毎日一時間。パールがしゃべる言葉を、ものりが通訳する。そんな場が設けられた。


 ものりとパールがいつの間にそんなに仲良くなったかは知らないが、栄介としては渡りに船だった。これでパールとまた気まずい雰囲気から脱却できるのではないかと思った。


 ――そう上手くいかなくて、まだちょっと避けられてるけどさ。


 ただ、これが栄介の頑張りに火を着けたのも事実ではあった。


 また、これが想像以上に好評で、武蔵と真姫以外は全員参加していた。


「うぅ……えーちゃんがさ、ちょっとヒアリングできるようになってきたのは、まだ納得できるけど、でも、前にロボク村に来たとき、はる君やタモさんも、村の子供たちと楽しそうにおしゃべりしてたんだよっ。会話としてかなり怪しかったけど! 本当に、かなり怪しかったけど! でも、なんか納得いかない」


 たぶん遥人や任にも、それぞれ頑張ろうとする理由があったのだと思う。


「きっと、ものりさんがいたから、あれだけ早く身についてるんだよ。

 みんな感謝してるよ。もちろん、ボクだって」


 ものりの気持ちはわかるけれども、そんな言い方をしたら頑張ってきたみんなが報われない。


「それに、本当にまだまだだよ。こうやって交渉事になると、微妙なニュアンスが大事になってくるから、やっぱりものりさんが通訳してくれて、あ、思ってたことと違ってたってなることもあるよ」

「ほんと?」

「うん、本当」

「うーん……これが子供が巣立っていく淋しさかぁ……」


 まだちょっと不服そうにしながらも、ものりはものりなりにその気持ちを飲み込んでいた。


「おーい、何してるんだ? 置いていくぞ」


 先行する武蔵からやや距離が空いてしまっていた。

 今日の武蔵はどこか生き生きとした雰囲気を感じる。

 ナクラとは面識こそあれ、それほど親しかったというわけではないらしいが――


「……みやむーって、もしかして、姫ちゃんと一緒なの、疲れるのかな?」

「え?」

「あっ――う、ううん、なんでもない。ほら、早くいこ」


 慌てた様子でものりは先に進んでいく。


 ものりの言う通り、今日の武蔵には真姫が一緒ではない。

 それはこの世界に来て、初めてのことだった。

 だけど、それが活気の理由なのだとしたら――もしかしたら、武蔵は……


「……考えすぎ、かな?」


 不穏な考えを打ち消すように独り言ちながら、栄介も二人の後を追った。




      ◇




 ロボク村の交渉が進まない理由は、とっくにわかっていた。

 それはキーパーソンがナクラではないからだ。


 村を何度も行き来して、村の人たちとも交流を進めていく中で、栄介は村の人たちがとっくに栄介たちを受け入れてくれていることを感じていた。

 この辺りは遥人や任の存在が大きい。

 村に訪れるたびに、子供たちと遊ぶ二人の姿を、村の人たちが好意的に受け取ったのだ。


 恐らく交渉の場にナクラ一人だけであれば、すんなり合意まで得られたと確信している。


 では、その妨げになっているのは誰か。

 同じく交渉の場に着くシータの存在だった。


 先ほどと真逆の話になるが、遥人や任と遊ぶ子供たちの姿に、父親がいればという気持ちも想起させた。

 どうしてもロボットに殺されたウルユのことを思い出されるのだ。

 その結果、村人たちはすんでのところでニューシティ・ビレッジを受け入れられず、最後の決断をシータに委ねているのだ。


 彼女自身が直接ニューシティ・ビレッジを拒絶するような態度を取っているわけではない。

 きっと村長であるナクラに押し切らせるという手段もなくはない。

 だけど、彼女の合意を得られずに進めてしまった場合、絶対にそれは遺恨を残す結果になる。


 それが遥人の犯した罪であるだけに、栄介たちもまた慎重だった。


 ――このときまでは。




 村長宅に赴いた栄介たちを待っていたのは、村長であるナクラはもちろんのこと、その秘書的なポジションにあるシータに、そして――


「……なんでカルナがここにいるんだよ?」

「……あ、あら、わ、わたしが、ここにいるのは、不都合かしら? あ、ああっ!?」


 たった今、差し出されたお茶を受け取り損なったビキニアーマーの女性を、武蔵はカルナと呼んでいた。

 栄介は初対面であったが、その名前には聞き覚えがある。

 ムングイ王国の騎士団長カルナ。

 この世界で最初にものりたちを保護した人物だった。


「カルナ様……大丈夫ですか? こちらお使い下さい。今、代わりのお茶をご用意します」

「ご、ごめんなさい。い、いいのよ、別に。気を遣わないで」


 カルナの言葉は全く意に介さずに、シータがテキパキと零れたお茶を片付けて奥の部屋に引っ込んでした。

 無視されたカルナはかなり居心地が悪そうだった。


「……なにしてんの、カルナ?」

「あ、あんたたちが、いきなり現れるから、びっくりしたんじゃない!」


 顔を赤くしながら大きなため息を吐くカルナに、この人がどんな人なのか栄介はすぐに察した。

 タイプ的には、きっと遥人と任を足して二では割らない感じである。


「村長……この人?」

「え、ええ……村の入口で途方に暮れていたのを見掛けて、声を掛けたのです。

 ところでエイスケ様はずいぶんと言葉が達者に成られたのですね」


 二単語で達者と言われても、苦笑いを返すことしかできない。


 ものりはカルナに対して「その節はどうもありがとうございました」と告げて無視されていた。

 びっくりしたのはお互い様なのだが、カルナは栄介たちの思っている以上に動揺しているのかもしれない。


「で……なにしてんの、カルナ?」

「あんたには関係な……くはないけど……ああっ、もうっ、クリシュナが突然いなくなるからこんなことにっ」


 頭を抱えて百面相。

 立場さえ関係なければ、きっと仲良くなることは容易だと伺えたが――カルナほどとは言わないが、栄介も内心ではかなり動揺していた。

 ものりも事態の深刻さを察してか、不安げな視線を栄介に向けていた。


 ここにムングイ王国の騎士団長がいる。

 それはつまりムングイ王国がロボク村に牽制を仕掛けてきたということに他ならない。


 もともと親バリアン派を増やすために始めたのがロボク村の開発支援である。

 反バリアン派であるムングイ王国が、これにケチを付けてくるのは当然の行動であった。


 これは言わばニューシティ・ビレッジとムングイ王国の陣取り合戦である。

 ロボク村をどちらが傘下に加えるのか。

 その争いがここで表沙汰になったということだ。


 カルナは間違いなく、そこまで意識していた。

 だからこそ、ここで栄介たちと接触してしまったことに動揺しているのだろう。


「……ナクラ、あんた、わざとあたしをこの家に呼んだわね?

 ムサシが来るってわかっておきながら、あたしに黙ってたわね?」

「さあ、どうでしょう?

 ただ、私としましては、この村を救ってくれたお二人とも、無下にするわけにはいきませんから」

「……ナクラ……あんた、まだ、お父さんのこと、根に持ってんの?」

「カルナ様が何をおっしゃってるのか、私には理解できません。

 ただ、私も村の代表として、やるべきことをやるまでです」


 カルナの父とナクラの間にどんな因縁があるのかは知らないが、いずれにしても今のやり取りで、カルナと栄介たちが鉢合わせたこと自体が、彼の計画通りだとわかる。

 そう思えば、今まで交渉場においてのらりくらりを決め込んでいたことが、村の立場を有利にする方策だったように思えてしまう。


「なぁ、カルナ……もう一度、ちゃんと話をしよう。きっと、俺たち、まだやり直せる」

「ねぇねぇ、えーちゃん、えーちゃんっ、今の今のっ、完璧に別れ話を切り出された捨てられ男の台詞だけど、やっぱり、みやむーって、カルナさんともあやしい関係だったのかな? かな?」

「そこっ! 勝手な邪推するなっ! そんなんじゃない!! そんなんじゃないんだからっ!!」


 ……緊迫した雰囲気だったように感じたけど、どこか締まらないのは、やっぱりカルナの性格故だろうか。

 ものりの存在も相まって、どこか普段の仲間内の様子そのものだった。


「……ナクラ、あんた、あたしたちを集めて、どうするつもり? なにをしたいのかしらっ?」


 大袈裟までに武蔵を無視しようと顔を逸らせながら、それでもカルナは警戒感と敵意を剥き出しにしていた。


「そんな怖い顔をしないで下さい。私たちは争いをしたいわけではないのですから。

 むしろ逆です。この場で、今までの諍いに決着を付けたいだけです」

「……諍いに決着? それって……」

「――和平だよ!!」


 ものりが大声で割って入った。

 ますます表情を険しくさせるカルナ対して、ナクラは微笑んで「はい、その通りです」と頷き返す。


「愛は全てを救う」

「は?」


 突拍子もないナクラの発言に、カルナは一瞬、真顔になった。

 ナクラは気にせず続ける。


「先日、とある女性からそう助言を頂き、私も心底驚きました。

 私はその女性が愛なんてものを持っているなんて、微塵も思っていなかったのですから。

 それほどまでに、私はその方を恐れ、忌み嫌ってましたから」

「……………」

「ですが、その方と話をしていて、そのお茶目さに、どうして私はこの方を恐れていたのか、わからなくなってしまいました。

 恐れる気持ちも、嫌う気持ちも失せて、気付けばもっと話をしたいと思うようになっていました」

「ほほぉぅ、それは、つまり、愛、ですね!」

「そうかもしれませんね。ただ、私がそれを伝えたところ、女性は悲鳴を上げると、暗に拒絶を仄めかされましたが」

「あらら」


 ものりの茶化すような物言いに、ナクラはさらりと返していた。

 栄介はそんなナクラの様子が余裕のある大人の男然として――格好良く見えた。


「……つまり、あんたが言いたいのは、もっと平和的に話し合えってことかしら?」

「状況は魔王がいた頃とは違っています。このようにニューシティ・ビレッジから手を取り合おうとしているのでしたら、私たちはその手を取ってもいいのではないでしょうか?」


 栄介とものりが顔を見合わせる。

 それは栄介たちの当初の目的でもあった。

 ロボク村に、ニューシティ・ビレッジとムングイ王国の架け橋になってもらう。

 ロボク村に最初からその意思があるのなら、これは願ったり叶ったりな話だった。


「そうだよっ! カルナさん! ものりたちは、争いたくなんてないんだよ!

 みんなが一緒に幸せになれるなら、それが一番!

 サラス様だって、そう望んでるんだよ!」

「――っ」


 途端、カルナはものりを睨み付けた。

 弛緩していた空気は一変した。


 ものりがカルナの地雷を踏んだのは、誰の目にも明らかだった。

 だだでさえ争い事が苦手なものりである。怒気を孕んだその視線に、ものりは竦み上がった。


「――それ、サラスが言ったの?」

「えっ……あの……その……」

「ほんとに――あの子が、そう言ったの?」

「……や、その……えーっと……」

「――あの子が、ほんとに、みんな一緒に幸せなんて……そんなの、あるはずないじゃないっ!!」

「カルナっ!!」


 鬼気迫る表情でものりに詰め寄るカルナだったが、その間に武蔵が割って入った。

 半ば正気を失ったような彼女の肩を掴んで、揺さぶり、真っすぐカルナの目を見て、


「なあ、カルナ……お前、あのとき、サラスと何があったんだ?」

「……………」


 カルナはすぐにまた武蔵から視線を逸らした。

 身体を捩り、その肩を掴む武蔵の手を拒絶した。


 相変わらず武蔵を無視し続けようとする様子に、よっぽと武蔵とカルナ、そしてサラス、三人の確執は強いのだとわかる。

 ただ、それでも武蔵の存在が少しは冷静さを取り戻させたようだ。

 カルナは改めてナクラに向き直る。


「……それはこの村の総意なのかしら?」

「……………」

「悪いけど、あたしにはそう思えない。

 この村に、肉親を魔法の杖で殺された人がどれだけいるかしら?

 その人たちが全員、あんたみたいに、こいつらと手を取り合いたいなんて思ってるの?」


 そのときカルナは、ずっと無視し続けて来た武蔵に、ちらりと視線を向ける。

 ほとんど一瞬の間だったけど、とても悲しそうに、辛いそうにして、また視線を外してから続ける。


「……手を取るなんて……できるわけないじゃない……。

 こいつらは、今も……魔法の杖を持ってるんだから」


 ――魔法の杖?


 何度か耳にした言葉だった。

 パールも魔法の杖の毒に侵されたと言っていた。


 爆発物であり、毒物でもある、魔法の杖――。

 魔法の杖とは、なんなのか?


「話し合いは決裂よ。

 ロボク村が、ニューシティ・ビレッジと手を組むと言うのなら、好きにすればいいわ。

 だけど、あたしたちもあたしたちで、やるべきことはやらせてもらうから」


 そう捨て台詞を残して立ち去ろうとするカルナ。

 だけど、最後の最後に武蔵は強引に引き留める。

 腕を引き、これだけは言わなきゃいけないとばかりに、早口で告げる。


「なあカルナ、俺たちは、魔法の杖を使ったりしない。

 ロースムも、サキさんも、もういない。俺たちに、魔法の杖を使う理由なんて、ないんだから」

「――それは嘘よ」


 それに対抗するように、カルナは武蔵をきつく睨む。


「だって、あんたはまた、帰りたいって思ってるんでしょ?

 だったら、あんたが……次の魔王にならないとも限らないじゃない」

「カルナっ……」


 怒りと困惑を綯交ぜにして武蔵はさらに強くカルナの腕を強く握る。

 しかしカルナはそれを振りほどくと、逃げ出すようにさっさと家から出て行ってしまった。


 さすがの武蔵も、もう追いかけようとはしなかった。


「……すみません。余計なことをしてしまいましたね」


 後に残されて呆然としている中に、ナクラがそう謝罪を付ける。

 ナクラはナクラで、たぶん栄介たちの目的に気付いて、できることをしようとしてくれたのだ。


「ううん……ものりが、余計なことを言ったから……」

「そんなことありません。私もサラス様ならそう望んだと思いますよ。

 それに、私も痛いところを突かれて、咄嗟に言葉が出ませんでしたから……ねえ、シータ」

「……はい」


 ナクラに呼ばれて、奥の部屋からシータが顔を出す。

 お盆にきっかり六つ分のお茶を用意して。


「……出しそびれてしまいました」


 盗み聞きするようなつもりはなかったのだろう。

 会話の流れから、なかなか入るタイミングを掴めなかったのだとは容易に伺える。


 そんな様子のシータに、ナクラは優しく告げる。


「あなたは、やっぱり、ニューシティ・ビレッジと手を組むのは反対ですか?」

「……わかり、ません」

「……そうですか」

「……ですが、子供たちが、最近、とても楽しそうで……それは、とても良いことだと思います」

「そうですか」


 それはつまりニューシティ・ビレッジを受け入れるという意味だ。


「――えーちゃんっ」


 さっきまで暗い顔をしていたものりが、途端に輝いたように顔を見せる。

 栄介もそれに笑って頷き返す――が、内心では全く逆の想いだった。


 ロボク村との交渉が妥結したのは、単純に喜ばしいことだった。

 しかしムングイ王国騎士団長であるカルナは敵対する意思を見せた。

 それは、当初の目的であるムングイ王国との和平という面において、まさに一歩進んで二歩下がってしまったと言える。


 ――魔法の杖。


 それが全ての原因であることは疑いの余地はない。

 それを持っているから、ムングイ王国は警戒している。

 しかし栄介は魔法の杖なんてものを知らない。


「……ねえ、武蔵――」


 未だに憮然とした表情で、カルナが出て行った出入口を見つめる武蔵に、そのことを問い質そうとした、そのとき――


「――宮本先輩っ! 大変ですっ! 樹先輩がっ、樹先輩が、き、消えちゃいました!」

「――っ!?」


 武蔵の見つめる先から、リオが飛び込んで来た。

 リオが何を言っているのか――突然のことに、一同呆気にとられる中、武蔵の行動は速かった。


「消えたっ? 消えたって、どうして!?」

「わかんないですっ! 一緒に地図を作ってたら、気付いたら村の入口にいて、樹先輩の姿だけが――っ!」

「――っ」


 ことさら真姫のことである。

 リオの言葉を最後まで待たず、それこそ消えた感じる速度で、武蔵は家から飛び出して行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ