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〔Side.A 一人称〕
なによその娘──さっきからずっと、そんな表情で美樹さんは僕を見つめている。
いい加減にしてくれ。なにをどうしたいんだ。僕の脳みそはドンドン混乱していく。その表情を見て、落ち着き払ってこういうのだ。
「なるほど、ど→う→り→で、死相が出ているわけよ」美樹さんはまるで名探偵が事件の謎を解いたかのようなドヤ顔をした。「私は、最初、あなたには強烈な、なにか、暗示のようなものが、かけられているんだと、私は、そう思ったの、だから、別の、強い暗示をかけ直せばいいと、私は、そう考えたんだけど……」
*
「美樹さん……こんな状況で……一体、なにを言い出すんです」僕はいった。「僕が美樹さんに隠れて、マキちゃんに会ってるからって……こんな仕打ちは……僕は美樹さんの恋人でもなんでもないんだから……」
「ねえ、落ち着いてよ、恭司くん」美樹さんはいった。「私、別に、恭司くんが、別の女の子と、イチャイチャしようが、キスしようが、SEXしようが、別に構わないだから、私といるときだけ、私のことを楽しませてくれたら、それでいいのよね」
「それは……それで……酷くないですか……」
「だけど、その娘だけは駄目だよ……きっと、恭司くんの身を滅ぼす結果になるから」
「美樹さんがマキちゃんのことを気にくわないのは理解できました」僕は声を荒らげていってしまった。さっき、マキちゃんに断られたばかりなのに……。「僕はマキちゃんと、幸せな家庭を築きます……だから、美樹さんは僕のこと……もう放っておいてください……」
「ねえ、恭司くん、さっきから、マキちゃん、マキちゃん、て、いってるけど……」そして、美樹さんは僕にむかって残酷な現実を突きつけた。「私には、そんな人見えてないよ、君のいっているマキって女性……一体どこにいるのかな……」
「?????」




