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夏の或る夜の夢の続き  作者: 横滑り木偶臣
第7章(花火と練乳・後編)
55/84

7-5

     *


 ドキっとさせられるところもあったが、そんなことを電話越しにいってくるユースケの無神経はどうかしてる。


 大方、なにか嫌なことでもあって、少し深酒したに違いない。酔っぱらいに絡まれるほど、僕は暇な人間ではないのだ。


 大変ウザく感じたので、電話を切ろうとした。だがユースケはやめようとしない。飲み過ぎにもほどがある。


「お前もきっとそうなる」電話越しに、奴は最後にこういった。「神はそれを奪うんだ。たとえどんなにお利口さんにしていても」


 ユースケのいう言葉の意味は、そのときの僕には一体なんのことだがさっぱりわからなかった。


 暫くして大きな落雷の音とともに、


 携帯になにもつながらなくなった。


 再び降りだした大雨にうたれて、あたりは静まり返っていた。


 花火大会の中断により、街を夜の静寂が嘘のように覆い隠す。


 ピチャピチャと聞こえるのは……そう、雨音だけ……するとサイレンの音とともに、まわりは急にごたごたと騒がしくなった。


 僕はなんだがとても落ち着かない気持ちになってしまった。


「なにかあったのかな?」


 いつもの能天気なマキちゃんの言葉にさえ、僕は落ち着くことはできなかった。


 頭のなかに最悪の事態が思い描かれた。たぶんそれが現実のものになっていく様を、ただ見守っていくしか僕には他に方法はなかった。


 そのサイレンの音は──警察のものなのか──消防のものか──それとも救急車──?


 僕は息を呑んで、人の群れを押しのけながら、その場所に近づいていった。


「おい、高圧電線から人が落ちたぞ」


 その言葉を聞いて、目の前の光景が現実のものであるのだと僕は心底理解した。さっきまで携帯越しに通話をしていた男が、丸焦げになって運ばれていく。


 指がないと誰かがいった。引きちぎられている。誰かがそう叫んでる。バカな──指を切断された状態で、どうやって電話をかけることができたんだ?


 霊柩車には死神がいて、ユースケは地獄に連れ去られていく。僕には目の前の光景がそんな風に映っていた。


 事故なのか?──それとも自殺なのか?──なにも原因はわからない。会話の内容からもユースケが高圧電線に登った理由はなにも想像することができなかった。


 なぜこんなことになってしまったんだ?


 あなたには死相が出ています──美樹さんのその言葉を僕は思いだし、次の瞬間背筋が凍っていた。     *


 ドキっとさせられるところもあったが、そんなことを電話越しにいってくるユースケの無神経はどうかしてる。


 大方、なにか嫌なことでもあって、少し深酒したに違いない。酔っぱらいに絡まれるほど、僕は暇な人間ではないのだ。


 大変ウザく感じたので、電話を切ろうとした。だがユースケはやめようとしない。飲み過ぎにもほどがある。


「お前もきっとそうなる」電話越しに、奴は最後にこういった。「神はそれを奪うんだ。たとえどんなにお利口さんにしていても」


 ユースケのいう言葉の意味は、そのときの僕には一体なんのことだがさっぱりわからなかった。


 暫くして大きな落雷の音とともに、


 携帯になにもつながらなくなった。


 再び降りだした大雨にうたれて、あたりは静まり返っていた。


 花火大会の中断により、街を夜の静寂が嘘のように覆い隠す。


 ピチャピチャと聞こえるのは……そう、雨音だけ……するとサイレンの音とともに、まわりは急にごたごたと騒がしくなった。


 僕はなんだがとても落ち着かない気持ちになってしまった。


「なにかあったのかな?」


 いつもの能天気なマキちゃんの言葉にさえ、僕は落ち着くことはできなかった。


 頭のなかに最悪の事態が思い描かれた。たぶんそれが現実のものになっていく様を、ただ見守っていくしか僕には他に方法はなかった。


 そのサイレンの音は──警察のものなのか──消防のものか──それとも救急車──?


 僕は息を呑んで、人の群れを押しのけながら、その場所に近づいていった。


「おい、高圧電線から人が落ちたぞ」


 その言葉を聞いて、目の前の光景が現実のものであるのだと僕は心底理解した。さっきまで携帯越しに通話をしていた男が、丸焦げになって運ばれていく。


 指がないと誰かがいった。引きちぎられている。誰かがそう叫んでる。バカな──指を切断された状態で、どうやって電話をかけることができたんだ?


 霊柩車には死神がいて、ユースケは地獄に連れ去られていく。僕には目の前の光景がそんな風に映っていた。


 事故なのか?──それとも自殺なのか?──なにも原因はわからない。会話の内容からもユースケが高圧電線に登った理由はなにも想像することができなかった。


 なぜこんなことになってしまったんだ?


 あなたには死相が出ています──美樹さんのその言葉を僕は思いだし、次の瞬間背筋が凍っていた。

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