7-2
〔Side.B 三人称〕
道路に沿って真っ直ぐに進んだ。
彼の額。汗がゆっくり滴る。タオルで拭き取った。図書館にむかって移動。図書館前の犯行現場から得ることのできた情報。ミイラ男のふたり組。
目撃証言。引き締まった肉体の男。包帯グルグル巻き。意識しているのかどうかはわからないが、人目を避けるようにしていた。
変態行動。
犯人は用意周到──かつ緻密──に、犯行を計画しているのかもしれない。
彼は図書館の前を通り過ぎ、第二の犯行現場である中学前の丁字路にむかった。
坂道。自転車に乗り坂をくだった女性教諭が犯行に遭遇している。
その場所は薄暗く、犯人の特徴はなにもわかってはいない。
中学前の丁字路からアビィ・ロードにむかう。ちょうど異常行動の進行方向とは逆向き。夕暮れ前のこの街は、まだまだ蒸し暑い。
メモ書き。犯行時刻をまとめてみると、
・中学前丁字路(下校時・日は沈んでいた)
・図書館前(閉館時・日は沈んでいた)
・駅の南口・バスターミナル(夜)
いっけん、だんだん遅い時間に犯行はシフトしているように見えるが、なんの法則性も存在しない。ランダムなカオス状態。
犯人が別々のグループの場合、なんらかの規則に従って行動する方がおかしなことだ。むしろ人のいない時間帯に、気まぐれに犯行は実行されているだけなのかもしれない。
推理──異常者の考え──彼はなにも理解することはできなかった。
自分たちが始めたことなのに、模倣犯たちなにを考えているのかなどなにもわからないのだ。本物が偽物を探す。バカバカしいと彼は思った。
それでも、なにかを探した。移動する。場所はアビィ・ロード。




