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〔Side.A 一人称〕
売店で二人してかき氷を食べることにした。
祭りの日にジャージを着ている。僕とマキちゃんのこのツーショットは、他の人間からするとある種異様な光景に見えるかもしれない。
だが本当に異常なことは、マキちゃんの今履いている下着は僕がいつも身につけている男物であるということの方なのだった……
マキちゃんが僕の手を握った。
その手にはお揃いの指輪。行きしなに露店で安物の指輪を買った。流石に左手の薬指につけるのは憚られて、僕は右手の薬指にその指輪をはめている。
マキちゃんはなんの躊躇いもなく、指輪を左手の薬指につけて指を絡ませてくる──10本の指──左手と右手の指輪同士が擦れあって、彼女の呼吸さえ伝わってくるようだった。
雨は嘘のように止んでいた。次々と音を立てて花火が打ちあげられていく。会場から少し離れている、この店の夜道を鮮やかに火花が照らしていた。
マキちゃんはとても美味しそうに、練乳をかけたかき氷をペロリとたいらげていく。練乳を見て、なぜか僕はマキちゃんとのSEXを連想してしまっていた。
雨に濡れた彼女の下着は、今、洗濯機のなかで僕の下着と一緒に洗われている。変なイメージを振り払うように、露天のコーラを喉に流し込んだ。
彼女の視線。僕の邪念など意味をなさない微笑ましい視線。瞳のなかに僕が写っている。茶色に染められた髪と青のカラーコンタクト。マキちゃんの眉毛はなぜか黒かった。
すっかり機嫌を直したマキちゃんは、いつものように僕に笑いかけてくる。
そして、いつものように、つまらない冗談を、いつも通りにくり返すのだ。
夏の熱気はすっかり夜に冷やされて、ただ時間だけがそっと過ぎ去っていった。
「もう、本当にバカなんだから──」僕の耳元でマキちゃんがぼそっといった。
マキちゃんと会話をしていると、冗談のネタに困ることはない。
それはテレビでタレントが喋っているネタ──もしくは、そのことについて友人が話している内容を、こっそり拝借しているだけなのだが、たとえ、その内容が大して面白くなかったとしても、彼女が笑ってくれるだけで、まるで自分がお笑いの才能でもあるかのように錯覚してしまうから不思議なのだ。
もし彼女と家庭を持ったとしたら、毎日こんな風に微笑ましく接してくれるのだろうか?──美樹さんといるときに、こんな安息を感じることはまずない。




